148話 相談 商談
さちこ視点です
入学して席が隣だったと言うこともあって
気になっていた椛沢由美さん
わたしのことなんてみえてないほど余裕がなかったのは
横で見ていて気づいていたから仕方ないなとは思ってる
そんな彼女だけど今朝
少しだけ雰囲気が変わったように感じて
いつものように話しかけていたら
色々と予想外な展開になっていて驚いたけど
それ以上にわくわくしている自分がいる
異世界だよ 異世界
ラノベをよく読んでいるものとして
アニメや漫画も好きなものとして
こんなわくわくする話ないよ
放課後 学校終わると
いつもは、そのまま家に帰るのだけど
幸正くんから貰った指輪もあるし
家に帰るのも楽になったので寄り道をしようと
幸正くんに話しかけてみて
色々話をして家に連れてくることになっちゃった
裏口に移動してやってくると
わたしはみんなに「ちょっと待ってて」といい
裏口から家に入り母親のところにむかう
「ただいま」
「さちこ おかえり 早かったわね いつもより」
「移動時間短縮出来たから」
「そうなのね」
お母さんは気にしてない様子で突っ込んでこない
「それで お母さんとお父さんに相談と商談あるんだけど」
「商談?」
わたしを見返して何事?という顔になる
「わたしのクラスメイトの椛沢さんの知り合い連れてきたんだけど」
「椛沢さん 両親亡くなって大変でしょ
知り合いの人いたのね」
「うん それで椛沢さんの学費とか稼げないかなと
商談なんだけど…お父さんにも確認してほしい」
「どんな内容?」
「牛肉とか猪肉 他にも鶏肉やマグロもあるようだけど
売りたいらしいの 日本産じゃないから…」
「ややこしい話なのね?」
「本人達に会ってから詳しいこと説明するから」
「はぁ…わかったわ その人達を応接室に通して」
「うん」
母親と別れ裏口に戻り
「おまたせしました」
「「いえいえ」」
みんなを応接室に案内して招き入れると
すでに両親が座っていた
「えっと 話し合いに参加するのは
幸正くんと…ゆかりさんでよろしいですか?」
わたしはふたりに確認すると
ふたりとも頷く
「それ以外の人は後ろの席に」
わたしは申し訳なさそうに言うと
頷きながら後ろに下がってくれた
両親とテーブルを挟んで対面に座って貰い
わたしは幸正くんをみる
「急な話で申し訳ございません」
「「いえいえ」」
「まず、ぼくたちはこの世界の人間じゃないのです」
「「えっ?」」
幸正くんの発言に???を浮かべる両親
それを見て幸正くんはアイテムボックスを展開して
何もない空間から牛肉の塊
見たところ50キロほどある感じです
それをとりだして両親に見せながら
「このように普通じゃない能力も持っています」
「「なるほど」」
「そして…この肉ですが…ぼくたちの世界にいる牛です」
「そうですか 見たところ霜降りもきれいな肉ですね」
「この肉を売りたいのですが無理なのでしょうか」
「食品衛生法や家畜取引法を考えると難しいですね」
「そうですか」
幸正くんががくりと肩をおろす
「やはり食べものは難しいというわけですね」
「そうなりますね 法律があるなら」
「わかりました 食べものがダメならば
金そのものはどうでしょうか?
ぼくたちが金の塊をとってきたとして
それをそちらで換金は出来ないでしょうか
換金手数料も取っていただいて構いませんので」
「金ですか…どれくらいあるのです?」
お父さんが冷や汗を垂らしながら幸正くんに問いかけると
彼はミアさんを見ます
すると…ミアさんが空間から金の塊をドサリと出しました
「「えっ?」」
お父さん達が青くなってしまってます
「ミアさんに確認して貰ったところ24金レベルです」
「そ、そんな高純度の…」
「税金とかあるでしょうし手数料ととられる税金も
差し引いていただければ」
「はぁ…」
「お父さん ちょっといい?」
「うん」
「彼 椛沢さんのおじいちゃんの弟さんなんだけどね
異世界に転生しているの」
「そうだったのか…だからか」
「あの子にお金あげたいというのもありますし
ぼくたちもちょこちょこ日本に買いものしに来たいので
日本円がほしいのです」
「なるほど わかりました
金の換金仲介は引き受けます
口座もこちらで作りますのでお任せ下さい」
「無茶苦茶なこと依頼してすみません」
「いえいえ」
「それから もう一つです ゆかり様…」
幸正くんはゆかりさんを見てそう言うと
ゆかりさんが口を開きます
「はじめまして 月宮ゆかりと申します」
「「はい」」
お互いに頭を下げた後
「年末なのですが…こちらの旅館に予約は可能でしょうか?」
「予約ですか どれくらいの規模ですか?」
「この場にいる13人の他にも
わたくしたちの世界に残してきている親族や使用人ふくめて
50人ほどはいると思います」
「そ、そんなにですか?」
「わたくしたちだけ今回来たのですが
それ以外の人もこちらの世界に興味が大ありなのです」
「なるほど 予約は可能です 住所はこちらの世界じゃないですし
どうしましょうか?」
「そこは…椛沢の住所を使っていただければ」
幸正くんがそう提案する
「なるほど わかりました 予約手続きしますね
年末…何日でしょうか?」
お父さんがゆかりさんに確認すると
「そうですね 27日~30日ぐらいで」
「畏まりました」
「ありがとうございます」
商談成立したようでよかったです
そのあと、ミアさんがわたしに声をかけてきます
「さちこ 金 とりあえず 1000キロ
1キロずつ分割してわたしますので
アイテムボックスにいれておいてください」
「あ はい」
わたしはアイテムボックスの移動承認を行い
ミアさんから金を受け取る
それを見たお父さんが驚きながらわたしを見る
「さちこ おまえ…」
「うん わたしもアイテムボックスやテレポート
使えるようになったから」
「「………」」
両親がフリーズしてしまいました
無理もないか
「お父さん 税金対策してね」
「あ…あぁ…そうだな ゆかり様 金はこれからも増えるんでしょうか?」
「そこは…幸正や美穂、未来達のやらかし次第ですね」
ゆかりさんは幸正くんを睨み付けながら言う
「えっと さちみおねえちゃんとゆみおねちゃん自身が
定期的にダンジョンで狩るかもしれないですよ?」
幸正くんがさらっと爆弾発言を言うと
お父さんがわたしを睨んで
「おまえ どういうことだ?」
「あはは わたしも向こうの世界に遊びに行こうとしてて」
それを聞いた両親が頭を抱えてます
「おねえちゃん達に危険がないように
ダメージ無効 状態異常無効
成長倍増 経験値倍増などなどチート機能付与しますから」
幸正くんも慌ててそう言う
「色々滅茶苦茶なことを発言してない? 幸正くん」
わたしも呆れ果ててしまいます
「なので…金集めなんて1時間あれば
かなりの量になりますし」
「そんなに?」
「あなた どうしましょ?」
「あぁ…贅沢はしないようにしないとな
金回りがよくなって人生狂うのもだめだしな」
「そうですね」
両親は諦めて人生狂わないようにしようと考え出しました
確かにそうだよね
わたしも無駄遣いしないようにしないとね
「さちこおねえちゃん ありがとう」
「うん 椛沢さんもこれで学費の心配がなくなるね」
「うん ゆかり様 お母さん達も日本円の確保出来たよ」
「「えぇ…さちこさん ありがとうございます」」
「いえいえ」
商談もまとまって、わたしはみんなを見送ると
みんな裏口に集まり瞬間移動していきました
そのあと、お父さんに金をまず10キロ分渡しておくことにしました
「さちこ 明日換金作業してくるよ あと専用口座も作る」
「めんどくさいこと押しつけてしまってごめんなさい」
「それは大丈夫だ 10キロで1億2000万か…」
「すごい金額だね」
「そうだな 税金にとられるとしても
それを差し引いても…」
「椛沢さんの学費も定期的に引き出せるように」
「わかってる やっておく
さちこも変なことにならないように気をつけないとな」
「うん お父さん達も悪い人にだまし取られないでね」
「あぁ そうだな」
こんな会話をしたあと
わたしは部屋に戻りながら椛沢さんに念話を送ります
「ちょっといい?」
「うん 仕事中だけど念話だし」
「幸正くん達 家に来て貰ってお父さん達と商談して貰ったの」
「えっ?」
「ほんとは肉とか売りたかったみたいだけどできないって」
「そうなのね わたしの肉 どうしよう」
「それで…わたしのお父さんに換金する仲介して貰うことにした」
「金を?」
「うん わたしたち 未成年でしょ?」
「うん 昨日も大変だった」
「だから お父さんに頼むことにして
手数料と税金にとられる分はお父さんにわたすことで」
「なるほど」
「だから わたしたちでゴールドゴーレム倒しまくれば
椛沢さんも気持ち的にもお金受け取れるでしょ?」
「あ ありがとう 幸正くんだよね それ提案したの」
「うん 椛沢さんにしあわせになって貰いたいと言うのもあるんじゃないの」
「そっか うん じゃあ、バイトも切りのいいところでやめることにするね」
「お金も他に稼げるもんね」
「うん ありがと さちこちゃん」
「えっ? 名前で」
「いやだった?」
「ううん うれしい ゆみちゃん」
「うん それじゃ、お客さん来たから」
「うん また」
わたしのこと友達として認識してくれたのも
うれしい
長かったなぁ 4月から…半年かかったなぁ
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