144話 由美の気持ち
由美視点です
昨日は夕ご飯を食べ終えて一度家に帰り
自分の部屋のものをすべてアイテムボックスに入れて
余計なところのコンセントをぬいて
仏壇等もアイテムボックスに入れてから
こちらの世界に戻ってきて部屋の整理をしました
なんというか部屋が広いです
この家自体が大きいというのもあるのですが
月宮の敷地内にあるみたいで
幸正くんがやらかしてしまったのが原因だとか
チート能力を持っていると
やらかしてしまうものなんだなぁって思っちゃう
そんなこんなで寝るのが遅かったりしましたが
思ったよりも早く目が覚めたようで
時計を見ると6時台でした
制服に着替えて仏壇に手を合わせて
「お父さん お母さん まさか…おじいちゃんの弟が
こんなことになっているなんてびっくりでした
でも、一人きりじゃなくなったので
安心してください」
部屋から出て洗面所に行き顔を洗ってから
居間に向かうとおじさんがくつろいでいました
「おはようございます」
「おはよう 昨日は寝れた? 遅かったようだけど」
「あ はい 色々と整理してまして
それで…幸正くんは庭にいるようだけどなにを?」
窓からみえるけど
こんな朝早くからなにをしてるんだろう
「幸正は刀の鍛錬だな」
「刀ですか…幸正くん 武器なんていらないのでは?」
「まぁ、そうだな 武器は飾りだろう あの子にとって」
「それでも鍛錬 ちょっと見に行ってきます」
わたしは庭に出て行き幸正くんに声をかける
「おはよう」
「あ おねえちゃん おはよう」
「刀だけど」
「うん ダンジョンで手に入ったからせっかくだから使えるように…と」
「そうなんだね 構えを見ると某漫画を参考にしてるでしょ?」
「うん どうして? かなり古い漫画なのに」
「わたし友達いないから…漫画とか小説とか見てること多かったの
アニメもそう」
「そうなんだ おねえちゃんは武器 どうしたい?」
「そうね 魔法使いタイプだと思うから
杖になりそうかなぁ」
わたしがそう言うと幸正くんが杖をとりだして
「こんな感じ?」
「それ 幸正くんの杖?」
「今は篭手にしていることの方が多いけど」
「そうなんだね わたしはロングレンジから攻撃したいかなぁ」
「なるほどね みほちゃん みくちゃんの二人も
魔法使いタイプだから」
「二人ともなのね めいちゃんは…そうすると前衛?」
「うん」
「前衛1後衛3なの?」
バランス悪いと思ってしまい首をかしげて聞くと
「基本的にビット攻撃多いかな」
「ファ○○ルみたいな?」
「うん そう」
幸正くんは自分のビットを展開させていき
自分の周りをくるくると回るように命じていた
「なんて言うか…魔法使いと言うより…ニュ○タ○プだね」
「そうなっちゃうね おねえちゃんはどうするの?」
「どうしよう 保留かなぁ でも、制服のままより
衣装チェンジはしたいかも」
「そうなのね 今 着ている制服って
甲子園でも優勝したことあるところだよね」
「うん そう」
「チアリーダーの衣装とか……」
幸正くんが赤くなりながらそう言う
あの衣装好きなのかな
「あの衣装 みてみたいの?」
「うん」
「じゃあ、変身後はあれにするね」
「ありがと あと、アイテムボックスに牛と猪とマグロ
移動するからどこかで売れるならお金に換えてくれたらいいかな」
そう言うとアイテムボックスへの
移動承認ウインドウが目の前に展開される
「これ タッチパネル?」
「ううん 脳内で念じてくれれば動くから」
「そうなのね 承認」
わたしが承認すると牛と猪とマグロがアイテムボックスに移動される
量もかなり多いのでびっくりしてしまう
「多いよ 何匹分なの?」
「とりあえず、各2匹かな」
「2匹でこんなにあるの? うわぁ」
「学費とかもかかるでしょ」
「あ うん 私立だから」
「バイトも大変だろうし…売れるなら…と思って」
「ありがとね」
こんなやりとりをしていると
家の中からおばさんの声が聞こえてきて
「幸正 ゆみちゃん ごはんできたよー」
「「はーい」」
家の中に戻り朝ご飯を食べると
わたしは鞄を手にして
「行ってきます」
「「「いってらっしゃい」」」
あぁ…いってらっしゃいの声もあるのもうれしい
昨日 たまたまなんだろうけど
巡り会えたことに感謝したい
向こうの世界について外履きを履いて瞬間移動して
学校近くに移動する
教室に入っていくと教室内がざわついている様子だった
わたしは気にせず自分の席に座り
ぼんやりと外を眺めていると
隣の席の子がやってきて
「おはよ」
「あ おはよう」
「昨日 さぼり?」
「うん」
会話はするけど友達と言えるかどうかわからない相手
「そっか それで…椛沢さん
ニュース見た?」
「へ? ニュース?」
昨日からネットもみてなかったから
なにもみてなかった
「みてないのね
なんか 日本中で突然死が多発したらしいのよ」
あー…幸正くんがやらかしたことね
「怖いね 原因は?」
「不明なの 突然バタリとだって」
「そ、そう 共通点は?」
「それはあるたい まず、不法滞在者で
犯罪者だったこと あとね 議員も亡くなってるのが多数いるから」
「議員も?」
「うん 日本を陥れるために動いてるような議員がすべて」
「あらら…」
「天罰だとかネットで騒がれてるよ いま」
「そうなんだね」
わたしは念話を幸正くんに送ってみることにした
朝ご飯の時に指輪の使い方教わって
念話の実験もこっちの世界と向こうの世界で出来るかどうか
やってみようって感じで
「ゆきまさくん いい?」
「うん 念話 繋がるね ちゃんと」
「そうだね それで教室に着てるけど
昨日のあれ 騒がれてるよ」
「……突然死?」
「うん 議員もだって」
「そっか あのゴミどもの関係者に議員もいたのね」
「把握はしてないのね」
「うん 関係者全員というかたちで殺したから」
「もう やり過ぎでしょ」
「そうすると…左翼議員が一斉即死?」
「そうかも 何人死んでるかはわたしもわからないけと」
「そっか 天罰だとか言われてる?」
「うん ネットで言われてるみたい」
「なるほどね これに懲りて日本を売るような議員が出てこないことを願うね」
「なんだかなぁ あまりやり過ぎないでね いい?」
「うん でも、おねえちゃんに危害とか加えるような奴は
速攻で始末しますよ」
「もう…ありがとね じゃあ、あとでね」
「うん」
わたしのこと大切にしてくれるのは
おじいちゃんの孫だからと言うのもあるかもしれないけど
うれしいかな
「椛沢さん 椛沢さんっ」
「ん? あ なに?」
「急にぼーっとしてしまったようだから心配したわ」
「ごめん ごめん それで…桜木さんだったよね」
「名前すら覚えてくれてないのね 隣の席なのに」
「ごめん」
「桜木さちこだよ」
「忘れないようにするから」
「バイトもあるし余裕がなかったのは
横で見ていてわかっていたから」
「うん 高校入学して矢先だったもん お父さん達」
「だいじょうぶ?」
「少しは落ち着いたかな」
「よかった それで気になっているんだけど
その指輪って彼氏?」
「えっ? あ…これ ううん 彼氏なんていないよ」
「そうなんだぁ」
隣の桜木さん よく見るとセミロングで清純そうな外見の子だった
わたしの方はメガネかけていて地味と言われる外見
「今日はバイトだったよね」
「わたしのスケジュール 把握してるの?」
「把握というか火木土とバイトですぐ帰るのみていたもん」
「そっかぁ わたし ずっと友達いないって思っていたから」
「もう じゃあ あらためまして よろしくね」
「わたしでいいなら」
「明日は?」
「明日は…ここじゃ言えないから昼休みに屋上で」
「うん わかった」
異世界のことどうしよう
「幸正くん また ごめん」
「うん?」
「隣の席の子 わたしのことずっと気にかけていたみたいで
わたし それすら気づいてなくて…」
「ちゃんと友達いたじゃない」
「うん あらためまして友達にって」
「よかったね」
「うん それで明日どうしようって」
「ダンジョン?」
「うん 桜木さん 向こうの世界に連れて行くのは?」
「行き来出来るんだからいいんじゃないの
驚かれると思うし…どう判断するかは
その子次第だけど」
「そっか 明日 放課後 幸正くんもこっちに来て」
「うん 今日のお昼は? こっち 11時半で学校終わるけど
おねえちゃんって…お昼休み何時?」
「わたしの方は12時15分が4時間目終わりで
午後が1時半からなの」
「じゃあ、12時半までに家に移動しておくから
ちょっと着て」
「うん わかった」
予鈴が鳴ると先生ももうじき来る
「あ 予鈴鳴ったから」
「うん またあとで」
「うん」
念話を終了させてため息をつく
でも、こうやって念話出来るのって便利だなって感じる
携帯電話代わりになるね
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