139話 由美
由美視点です
数ヶ月前に両親が交通事故で亡くなったり
肉親もいなかったりで生きていくのも困難で
高校に進学していてもバイトばかりの生活
息抜きで大滝を眺めに来ていたところ
知らない外人に絡まれて
わたし…このまま犯されて殺されるのかな?
頭にそんな未来がよぎってしまっていても
思わず叫んでしまった一言で救われたのかな
見た目7歳ぐらいの男の子と女の子がふたり
わたしの前に現れて外人を拘束させるのをみて
暇つぶしに読んでいるライトノベルなどで
登場する魔法使いを浮かんでしまったけど
この子達…一体何者なんだろう?
そんなことを考えているうちに
男の子はぶち切れているようで
この子…日本のこともわかっているようだし
外人に対しての嫌悪感もすごいみたいだよね
一体どういう人なんだろう?
問いかけてみたら あとで話すと言われて
その場から離れてほしいって言われた
あぁ…きっと外人を始末するんだろうね
わたしのために殺人犯させてしまうのは
申し訳ないなって思ってしまったけど
言うこと聞いて
その場から離れると
10人も別のところで待機している人たちがいて
びっくりしてしまったわ
中には和服姿の皇室の人にみえる女の人もいたり
この人達いったい…
そうこうしているうちに
男の子が戻ってきて和服姿の人ともう一人
30代半ばの女の人に叱られてました
そのあと、わたしにむかって名前を聞いてきて
そういえば助けて貰ったのに名前とかお礼とかまだだった
「あ はい 助けていただいてありがとうございます
えっと 椛沢由美と言います 16歳です」
自己紹介をすると男の子が驚きを隠せない表情になり
呟いてます
「椛沢…おねえちゃん おじいちゃんの名前…啓太とかじゃないですか?」
わたしにそう問いかけてきました
確かにおじいちゃんの名前はそんな名前でした
「はい そうです」
「ゆきくん このおねえちゃん まさか?」
「啓太の弟に障害者いなかったですか?」
障害者…そういえば…わたしは会ったりはしてなかったので
直接面識はないけれどおじいちゃんの弟は
施設に入っていたのは知ってます
「はい 8年前に亡くなってるとは聞いてますけど?」
「やっぱり…」
「ゆきまさ この子 こっちの世界での関係者じゃない?」
30代半ばの女の人が男の子にそう話しかけていました
(ゆきまさくんっていうんだ…)
「おねえちゃん 両親は?」
「交通事故で亡くなってます 姉弟もいないので一人に」
「そう…ごめんなさい」
「あ ううん それで ぼくのお名前は?」
「あ ぼくたちもまだ自己紹介してなかったですね ごめんなさい
加賀幸正です ここじゃない世界から来ました」
「やっぱり 異世界人なのね」
「はい」
「でも、日本のこと知っているみたいだし
わたしのおじいちゃんやその弟さんのことも知ってるって
もしかして…異世界転生?」
「おねえちゃん ラノベ好き?」
「うん 暇つぶしで読んでいるから」
ラノベと言っていたり
日本の知識も色々あるし…この子はやっぱり転生者なのかな
「うん ぼくは異世界転生…障害者だった 椛沢悠です」
「そっか…だから…椛沢と聞いて驚いたのね」
「うん それで同行者の紹介をするね」
幸正くんがそう言うと
母親と思わしき女の人から順番に自己紹介してくれた
「みなさん この世界じゃない地球からきたんですね
行ってみたいなぁ」
わたしは…友達も高校じゃいないし
こっちの世界にそんなに未練がないというのが正直のところだった
「行き来は出来るけど…由美さんは日本に未練は?」
美幸さん…幸正くんのお母さんがわたしに問いかけてきた
「今のところは…とくにないですね」
「そうなんですね」
そこで…ゆかり様と呼ばれる人が
「いつまでもここにいてもなんなので…どうします?」
「あ うん そうだった おねえちゃん 予定あるの?」
「とくにないよ こんな格好しているけど学校サボっているし」
わたしは深緑のブレザーにチェックのスカート
制服姿でこんなところに来ているがサボっていることには変わりがない
「それじゃあ、ちょっと…ぼくたちに付き合ってくれない?」
「それはいいけど…なにしにここに来たの?」
異世界からなにしにここに来たのか
首をかしげながら聞くと
「金を日本円に換金して買いものしたくて来たの」
「えっ? 買いものなの? 異世界ってやっぱり文化が遅れてるの?」
わたしは思わず失礼なことを口走ってしまって
言ったあとで…「あっ」となって
「ごめんなさい 失礼なこと口走ってしまって」
「「「「いえいえ」」」」
大人達は苦笑いしながらそう言ってくれた
「それで…換金するのにも身分証明書とかいるじゃない?」
「言われてみればそうですね そこで わたし?」
「だめ?」
「命とか処女喪失の危機とか助けて貰ったし
それくらいなら…大丈夫」
「ありがと」
「「「ありがとうね」」」
そうして
わたしは幸正くんと一緒に仙台市内に瞬間移動するのだった
「わぁ…テレポート たのしい」
思わず口ずさんでしまい
美穂さん達からジト目されてしまって赤くなってしまった
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