132話 食卓
芽衣視点です
わたしとおばさまが机に並べていった
フレンチトースト とんかつもどき 焼き鳥 煮物などを
みんなで食べ始めると
わたしはフレンチトーストを口に運びながら
幸正くんの方をチラチラと伺ってしまっていた
今 自分で口にしてみたフレンチトースト
柔らかくて甘くて…普通に焼いた食パンよりも
食べやすいなと思ったけれど…幸正くんどうなのかな?
わたしが様子をうかがってることに気づいた幸正くんは
わたしの方を見ながら感想を口にしてくれた
「しっかりと染みこませて焼いてくれたようだから
硬くないしパン全体に味が染みこんでるし食べやすい
それにフレンチトーストも何十年ぶりになりそう
久しぶりに食べた感あるけれど 好きな感じの焼き方してくれてて
おいしいです ありがと めいちゃん」
「あ ううん 喜んでくれてうれしい わたしも
幸正くん 前世の方だとおじいちゃんになってる頃は食べれてなかったの?」
何十年ぶりと言われているのを聞いて
わたしは気になって聞いてみた
「50代くらいまでは食べた記憶あるけれど
50代後半からは身体がダメになっていたから
ちゃんとした食べもの自体 食べること出来なくなったかなぁ」
「そうなのね フレンチトースト好きだったの?」
「うん すき 柔らかめの食パンを使うのが1番好き」
「食パンもいろいろあるの?」
「うん 日本…山○パンはいろんなパン作っていたからね
特に好きだったのがダ○ル○フトという食パン」
「ダ○ルソ○ト…」
わたしはウインドウを開いて
ダブルソフトを検索してみた
厚めの食パンになっていて柔らかい感じに見えた
わたしたちの会話を横で聞いていた
お母様がわたしに聞いてくる
「芽衣 普通に前世からの記憶から何年ぶりとか語っているみたいだけど
気にしないで会話しているの?」
「もう 慣れちゃったから…おばさまは突っ込み よくしてましたけど」
わたしは美幸おばさんの方を見て言う
「そうね わたし 突っ込んでたね 毎度
この子の何十年ぶりという口癖に」
わたしとおばさまが会話している間も
幸正くんは幸せそうにフレンチトーストを食べてます
「めいちゃん おいしいです ありがとう
また作ってくれる? …みほちゃん達に怒らそうだけど」
「喜んで貰えて嬉しいし…作るのも簡単だから うん 作るね
みほさんと未来様は…そうだね」
みほさんは特に怒りそうです
わたしに対してよりも幸正くんに対して…
幸正くんの方から今度はお父様達の方に目を向けると
ふたりともフレンチトーストをおいしそうに食べてました
「お父様達も平気です? 甘さありますし」
気になったので伺うことにしました
「あぁ おいしいよ 食パンを普通に焼くより
しっとりしていて確かに硬いものが苦手な人には
こちらの方が好むと思う」
「わたしも…こちらの方が好きですね 普通に焼くより」
ふたりとも好評のようでした
そして…おじさまはと言うと…じっくり味わってました
「フレンチトースト自体 はじめて口にするが
こんな柔らかく焼いているんだな
甘さはあるがハチミツなどをかけたりしない状態なら
大丈夫だな 俺も」
そんな感想を口にしてました
それを聞いた幸正くんがさらに口を開いて
「フレンチトーストも作り方によっては
美味しくないものもあるんです
砂糖 牛乳 卵を溶いてタレを作った後
そのタレに十分漬け込まないで染みこませないまま
焼いてるものとか…店で売っているものは
特にそんな傾向が強いイメージで
そう言うのは食べたくなかったです」
こんな風に力説しています
それを聞いたおばさまがため息をつきながら
「幸正 あなた ほんとにフレンチトースト好きなんだね
おいしいのとおいしくないのと違いまで力説しながら食べるなんて」
「うん おいしくないのはおいしくなかったから
だから久々に食べたフレンチトーストが
ちゃんとおいしいので嬉しいし めいちゃんありがとう」
「うん…」
お礼言われて思わず赤くなっちゃいます
そして…お父様がとんかつもどきを見ながら
「芽衣 これがとんかつもどき 食べてみたいと思っていたものだけど
これは猪の肩ロース?」
「あ そうです 猪です」
お父様の問いかけにおばさんが答えてます
「一般家庭だと豚肉になりますか?」
お母様もさらにおばさまに質問を投げてました
「はい 本来なら豚肉を使ったものですので
この子達が豚肉より暴れ大猪を大量に狩ってきているので
猪肉があまっているので猪にしてます」
「なるほど 芽衣 あなたのアイテムボックスも?」
「はい 暴れ大猪 ブラックホーン 他にも雷鳥 コカトリス 火の鳥
マグロもまだまだありますし…」
「そ、そんなに…」
「あ お母様 食材 すべて お母様に渡しますか?」
「ご飯作るの わたしだから 預かるわね」
「はい」
わたしはアイテムボックス経由で
お母様に肉類をすべて渡しました
お母様はアイテムボックスを確認すると
顔をこわばってしまい
「ど、どれだけあるの? こんなに…食べきれないわよ」
「時間経過もないですから入れておけば腐りもしません」
「そう言われても…こんなにいっぱい…」
こんな風に会話をしながら
お昼ご飯を済ませて…しばらく休んだ後
幸正くんが私のお父様とお母様に話しかけてきました
ここまで読んでいただいた方ありがとうございます
面白いと思っていただいたら
ブックマークや評価つけていただいたら嬉しい限りです