131話 紺菱夫婦と対面
お母さんが作ったプリンを
ここにいる全員が食べた後で話をあらためてはじめることになった
「昨日 はじめて芽衣が持って来たのを食べたときも
思ったんだがおいしいですね このプリンというものは」
銀四郎がプリンを食べた後で感想を言う
「この子が冷蔵庫を作り出したおかげで
冷やせるものも作れるようになりましたから」
母親が俺を見ながらそう返事をすると
銀四郎が思い出したように
「あ そうだった 芽衣にも冷蔵庫やキッチン台も
いただいたようで…なにからなにまで…色々と」
銀四郎が俺を見て汗を流しながら言う
「冷蔵庫もキッチン台も複数台同じもの作っているだけですから
本当ならば明智さんが開発して販売するまで
国民には手に入らないものなんですけど」
「明智…あ あの発明家でしょうか?」
「はい テレビやラジオも作った人ですね」
「あの人に冷蔵庫なども作らせる予定だったのですか?」
「はい 日本の冷蔵庫をわたしておきましたので
分析して作って貰う予定ですが
ここでは魔法もありますし科学だけでなく
魔法で冷やしたりも可能ですし
物質に魔法を込める技術が確立されれば
冷蔵庫などは容易に作れるはずです」
俺がそう説明する
「なるほど…わたしどもには洋服
明智さんには家電…ですか」
「他には…お母さん達には料理ですけど」
「美幸さんが作ったもの 色々食べさせていただいたけど
どれもこれもおいしくて…私も作れますでしょうか」
みさきが母親にそう尋ねると
母親がみさきを見て
「作り方はめいちゃんも把握していると思いますし
キッチン台等もありますから
比較的簡単に出来るようにはなったと思います」
「芽衣 色々 教えてくれる?」
「はい そういえば 幸正くん お父様達の指輪には
ネット機能付けてないですよね」
「うん めいちゃんだけにしておいてるよ さすがに」
「調べたいことあったらわたしに聞いて
印刷するから」
「芽衣 いいの?」
「そんなに手間もかからないから」
「ありがと」
そんなやりとりを見ていたあと
俺は銀四郎に気になることを聴いてみることにする
「おじさん 質問いいです?」
「はい なんでしょう?」
「下着とかの販売日って…来週末でしょうか?」
「一応は…その予定です
私どもの店以外だとわたしの兄と両親が経営している店
ここからだいぶ離れている場所なのですが
そちらでも同日販売予定です」
「なるほど そうなると そちらが本店で
おじさんは独立したかたち?」
「そうですね わたしは四男坊ですし…本店は兄が継いだ訳なので
皇室の方との取引は元々本店がしていたもので
たまたま緊急に妃様から呼ばれて…と言うのが今回のです」
「ぼくのやらかしで…迷惑かけちゃって…ごめんなさい」
「いえいえ わたしとしてはチャンスをいただいて
むしろありがたいのです
洋服にしても今までにないデザインですし
着物文化しかない…この国としては
こういう発想が出来なかったわけですし」
「そうですか それで…販売は2箇所? それとも?」
「あ はい 本店 こちらの他には…あと3箇所
ありまして…そちらも兄弟が関わってます」
「5箇所ですか」
「はい 全国に散らばってます」
「場所とか教えて貰っても?」
俺は反月勢力への対策として
ここ以外の4箇所も防衛対策を考えていた
それを見て芽衣は呆れた顔で俺を見て
「幸正くん もしかして5箇所全部に防衛手段を設置するつもり?」
そんなことを俺に聞いてくると
銀四郎が芽衣と俺を交互に見てから
「あの 防衛って? ただの下着などの販売に?」
「女性のパンティとかはじめての販売になりますし
洋服文化を快く思わない とくに月宮一族を目の仇にしている連中も
全国に散らばってますよね?」
「あ 言われてみれば そうですね」
「一般国民に危害も及ぼしたくないですし
販売を邪魔しに来る連中は即刻排除 これが1番でしょう?」
「そうですね」
俺の言葉に銀四郎が頷く
芽衣はというと…
「それで…5箇所にそれぞれわたしたちが配置するかたち?」
「うん めいちゃん みほちゃん ぼく あとは侍女さん達かな
みくちゃんにはさすがにそれはやらせない方がいいかなと」
「確かに未来様は…皇女ですし」
「もっとも…さくらさん一人いれば5箇所全部に守護者の盾を発動すれば
危害は及ばないですが販売ものとかに危害が及ぶのも嫌ですし」
「あ たしかに さくらさんがいればお客さん達はへいきそうだね」
俺と芽衣のやりとりを聞いて
母親は頭痛そうにしていて
銀四郎達はぽかんとなっていた
「幸正 あなた それでどうするつもり?」
母親が俺に確認してくる
「5箇所の住所教えて貰って
ミアさんに頼んでそれぞれの住所の場所を特定して貰って
瞬間移動でとべるようにしておく…そして当日店にそれぞれ移動する
といったところですか?」
「はぁ いつも思うけどあなたって…深愛様にもそんなことを頼む」
「ぼくもやろうと思えば可能ですけど…」
「…そう言われればそうだね」
「と言うことで おじさん それぞれの場所 教えて貰えます?」
「はい 住所等は後で芽衣にわたします」
「ありがとうございます あと下着とか服の販売ですし
人形とかは店頭におくのでしょうか?」
「人形ですか?」
銀四郎が首をかしげて言い返す
芽衣はウインドウを開いて洋服店のサイトを銀四郎達に見せる
「こんな感じに人形に服とか着せて店頭に飾るわけです」
「「なるほど」」
「どうします?」
俺がふたりに問いかけてみると
銀四郎が頷きながら
「いただけるのでしたら…」
「わかりました 1つの店に5体ぐらいあれば間に合いますか?」
「えっと そうですね 下着と洋服 男女それぞれと
男性用だとブリーフとトランクス…で」
「わかりました 一般的な身長のマネキンで平気ですか?」
「はい」
この国だと平均が男性が160、女性が150そこそこだ
現代日本の日本人に比べると小さい
とりあえず、マネキンを25体ほど作り出して
そのうち5体を芽衣に渡す
「めいちゃん アイテムボックスにわたしたから
店頭に設置して」
「はい あ ただの人形じゃないよね?」
芽衣が俺に確認してくる
「一応 店に近づいてくる悪意ある輩を検知すると
自動的に防衛結界が発動させるようにはしておきました
やろうと思えば…そいつらを自動的にどこかに瞬間移動させることもありですが」
俺がそう答えると母が呆れたように
「あなたね やり過ぎでしょ」
「幸正くん ほんとに反月勢力に容赦ないよね」
「自動にしないからめいちゃん達が捕まえて
あとで西の街の魔の森の近くに牢獄作るから
そこにまとめて放り込むというかたちにする?」
「そのあとはどうするの?」
芽衣がこわばるように言ってくる
「ぼくとみほちゃんがそこで待っていて
そいつらに拷問して指示した連中洗いざらい吐かせて
徹底的に潰しにかかるよ」
「みほさんにたのむの? わたしじゃなくて?」
「めいちゃん 店あるでしょ 侍女さん達4人いるから
5人で店は大丈夫でぼくとみほちゃんは別のところで
指示した連中を潰した方が早いかと」
「みほさん だいじょうぶかな」
「みほちゃんがいやがったらぼくだけでするから大丈夫」
「もう…」
芽衣は諦めたように呟く
「あのう」
銀四郎が遠慮がちに俺に話しかけようとする
俺は銀四郎を見て返事をする
「はい」
「下着と服だけなのに邪魔しにくるのでしょうか?」
「その辺はわかりません こなかったらこなかったで
いいじゃないですか?」
「確かに わたしどもとしては安全に販売出来るならありがたいのですけど
そこまで反月勢力っているのかどうか疑問でして」
「そうなのですね 邪神教とか少数派なのです?」
「はい 一般国民はそんな宗教に入ってないと思いますし」
「なるほど ぼくの心配しすぎなのかな」
「と…思いますが防犯対策は感謝します」
「はい」
販売のことなどの話が一通り終わると
お昼近くになっていて
母親が時計を見ながら確認する
「そろそろ お昼ですが どうします?
作り置きは色々ありますけど」
「あ おばさま わたし フレンチトースト作ってきましたので」
「めいちゃん そうなのね じゃあ おかずだけ用意します?」
「はい お父様達もいい? おじさまも食べるよね?」
「「あぁ…」」
「俺も問題ない フレンチトーストがどんなものかはよくわかってないが」
銀四郎とみさきと父親がそう答えると
芽衣は机の上にアイテムボックスからフレンチトーストを
とりだしていきそれぞれの前に配っていく
母親は焼き鳥やとんかつもどき 煮物などを
これまたアイテムボックスから取り出していく
それを見たみさきが口を開く
「芽衣も美幸さんもアイテムボックス 便利ですよね」
「この子から貰ったものだけど
作り置きした食べものを仕舞い込んでおけるのは
かなり便利ですね 腐ったりもしないですから」
「幸正くん お母様達の指輪ってダメージ無効と状態異常無効だけだよね」
「一応はその制限にしてあるけど解除する?」
「いいんですか?」
みさきが慌てるように俺に伺ってくる
「指輪は装備者登録してあるし問題ないです
あまり不特定多数がみているところで使うのは
安全面から言って避けた方がいいけど」
俺はふたりのアイテムボックスを制限解除する
「「ありがとうございます」」
おかずも出し終えると
母親が合図をしてから「いただきます」を
みんなで言ったあと食べ始めるのだった
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