130話 正太の悩みと紺菱家族との対面
正太視点です
玄関の呼び鈴が鳴ったのを聞いて
美幸が玄関にむかった
俺と息子の幸正は客間で座りながら
待つことにした
今日はワイシャツにトレーナー、ズボンと言った
ごく普通の服装にしているが
これだって…幸正から貰った
指輪の機能で日本の文化を調べることが出来るから
普通に感じるだけである
まだまだこの国は着物が主流なのだから
俺自身もまだまだ着慣れていない
それにしても…自分の息子が転生者だなんて
俺自身は冒険者を諦めて
農業を選んでしまってるが
嫁の美幸は色々と料理もこなしているみたいだし
店も立ち上げる予定になっているようだから
俺はこのままでいいのか?という思いもある
「なぁ、幸正」
「はい なんでしょう?」
「お母さんは店も立ち上げるよな」
「そうですね 弁当屋と併設かな」
「これまで食べたもの どれもおいしかったし
人気は出ると思うから心配はしてない」
「はい」
「俺はどうしたらいい? 農業続けるか それとも」
「お父さん やりたいことある?」
「今更 冒険者にと言うのは考えてないが
農業 どうしたらいいのかというのもある」
俺はそんなことを幸正に語ると
幸正は考え込む仕草をしてから
「明日 日本に行く予定なので
色々と野菜とか果物とか買ってきます? 種とかもいろいろ」
「そういえば 換金しにいくんだったな」
「はい 旅行に行くわけでないから
長居はしない予定ですが 食べものとか色々買ってくる予定」
「そっか 品種改良とかいろいろすごいんだろうな 日本」
「遺伝子組み換えとか詳しいことはわからないけど
農業も奥が深いと思います
せっかく改良して世に出したのに
隣国のクズどもが盗んで無断で生産していたりもあったからね
そう言うの見ていてもはらたってなりませんでした」
「幸正 お前の根底にはそういう隣国がゴミどもの行動が気にいらないから
こちらの世界では国防とかスパイ防止とか力を入れろというのだよよな?」
「はい いつ外国勢力がやってくるかもわからないわけですし
危機感は持つべきですからね
お人好し過ぎるんですよ 日本人は」
「月宮人も似たような感じだろうし」
「それで…気になった作物がありましたら
こっちで量産出来ないかしてみたりは?」
「それもありか そうだな 美幸達が料理に使う材料も
色々必要だしな ありがと」
「はい」
美幸が色々やっているのを見ていて
取り残されている気分になっていたからだろう
俺は俺で出来ることをすればいい
せっかく農業を長年しているわけだから
経験も知識もそれなりにある
明日 幸正達が買ってくる種とか
試しに植えてみたりもやってみよう
そんなことを考えているうちに
玄関から美幸と紺菱家の3人がやってくる
芽衣ちゃんは14歳へ変身している姿だったが
小太りの男性 歳は俺より少し若い感じか…と
女性の方は…男性よりも10歳ほど若い感じに見える
3人が俺と幸正の向かいに机を挟み座る
美幸は飲み物等を持ってくるために台所に向かった
小太りの男性が俺たちを見て口を開く
「初めまして 芽衣の父親で銀四郎と申します」
「同じく 母親のみさきです これはつまらないものですがよろしければ…」
ふたりがお辞儀をしながら自分の名前を言い
みさきさんがお土産として和菓子を持ってきていたようで
机の上に差し出してきた
俺はお辞儀を仕返しながら
「はじめまして 正太です 幸正の父親ですが
俺自身はごく普通の農家です」
「めいちゃんのお父さん、お母さん はじめまして幸正です
えっと…めいちゃんを巻き込んじゃって…その」
幸正も挨拶をしながら
めいちゃんを巻き込んでいることには自覚しているようだ
そんな幸正を銀四郎とみさきは見つめながら微笑む
「巻き込むと仰られているようですが
わたしどもは幸正様から色々と貰ってばかりなので
芽衣を巻き込まれたことには怒ったりもしてません」
「えぇ…むしろ この子と仲良くしていただいててありがたいものです」
ふたりがそう幸正に言うと
幸正は困ったように
「あの ぼくにそんな堅苦しい言葉遣いしなくて大丈夫です
英雄とか正直むいてませんし」
「「そうは言いますが」」
「お父様 お母様 幸正くんがこう言っているんだから
普通に喋った方が楽じゃない?」
「「芽衣…」」
「わかりました 正太さん 幸正くん 普通に喋りますね」
銀四郎さんが芽衣ちゃんの言葉を受けて言葉遣いを砕く
台所から美幸も戻ってきて
飲み物とプリンを机に配っていきつつ
「あらためまして 幸正の母親の美幸です よろしくお願いします」
「「はい」」
「おばさま プリンあまっているんですね」
「あ 昨日の夜にわたしが改めて作ったものです これは」
芽衣ちゃんの言葉に美幸が答える
「そうなのですね」
「よかったら食べてください」
美幸が銀四郎さん達をみてそういうと
ふたりともプリンを食べ始めるのだった
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