118話 遠心分離機
長めです
「ただいま」
帰宅して家に入りながら挨拶をすると
母親が顔を出して
「おかえり 今日はどうするの?」
「とりあえず、お昼ご飯…あるものでいいかな」
「わかったわ 牛丼作り置きしてあるから
それでいい?」
「うん ありがと」
俺は荷物を自分の部屋に置いて手を洗ってから
席について…用意して貰った牛丼を食べる
「それでダンジョンは行かないんでしょ」
「うん 今日はデザート作り色々しようかなって」
「デザート そういえば ご飯関係ばかりだったね
作ってたの」
「昨日 侍女さんにも甘いもの なにかない?と言われて
フレンチトースト教えたけど
他にも出来そうなものないかなって」
「フレンチトーストなら楽よね
ネット色々見ているから日本の食文化は
かなり把握してきたけど…手間もかからないよね あれは」
「うん 他にはゼリーと思ったけど
ゼラチンがこの世界というか…この国で出来てないよね」
「あ…あぁ…うん 寒天ならあるけど
ゼラチンは出来てないね」
「作り方見てみたけど難しそうだったし
これはもう…お偉いさんに丸投げ案件かな」
俺がそう言うと
母親はジト目して俺を見ながら
「はぁ…まったく すぐそうやって丸投げする」
「そんなこと言ったって…作れるようになると
食べものも増えるでしょ」
「そうだけどね ゆかり様に伝えておくわ」
「ありがと」
「それでなに作る予定?」
「プリンとアイスクリーム
プリンは出来ると思うけど…アイスはわからない」
それを聞いた母親は頭を抱えてしまう
「アイスはむずかしそうじゃない?」
俺の話を聞きながらネットを見て
アイスの作り方をみて母親がそう言ってくる
「牛乳 たまご 生クリーム 砂糖…となってるわね
生クリームが売ってないというか
まだここじゃ作られてないわよ どうする予定?」
母親がそう俺を見ながら聞いてくる
俺は牛丼を食べ終えると
とりあえず、プリン アイス用のカップを100こ作り出したあと
ネットを見ながら遠心分離機の詳細を表示させる
「熱した牛乳を遠心分離機で分離させるのが
生クリームとバターの作り方みたいだから
能力で遠心分離機1台作るしかなさそうかなと
電力の代わりに魔力で動かすタイプに変更で」
「ずると言えばずるだけど…仕方ないわね これは」
「1台はここで使うとしてサンプルとして用意すべきだよね?」
「そうね 仕組みとかわかれば
ここの技術でも作れるなら作って貰うのが無難だからね」
「それで生クリームも量産出来ればケーキとか
クレープとかも出来るようになるじゃない?」
「確かにね わたし そんなに料理スキル高くないから
才能ある子がいた方が…と思うけど」
「そっかぁ 専門の人いるほうが作ってくれるよね たしかに」
「誰かいないかしらねぇ?」
「うん」
とりあえず
カップを100個と遠心分離機2台を作り出して
美穂達を待つことにした
母親は牛乳 卵 砂糖などの準備に台所に向かうようだった
…
……
………
しばらくすると
美穂と絵美とミアさんがやってくる
「「「おじゃまします」」」
「「いらっしゃい」」
美穂達の挨拶に俺と母親が返事を返しながら玄関に行く
「ゆきくん アイス作り ほんとに出来るの?」
美穂が不安そうな顔をしながら俺に聞いてくる
「生クリーム作るのが難しそうだから
ちょっとずるして遠心分離機作った」
「遠心分離機?」
首をかしげながら復唱する美穂に
俺は遠心分離機を見せる
「みくちゃんたちまだ来てないけど
とりあえず、生クリームだけ作り始めようと思う
お母さん 遠心分離機の説明書確認しながら」
「はいはい わかったわ 絵美さんも手伝って」
「えぇ」
「ぼくとみほちゃんで牛乳温めておくから」
「わかったわ」
母親が俺に返事を返しつつ説明書を見ながら
遠心分離機がどうなってるか確認していく
俺と美穂は手持ち出来る2リットルポットを2つ用意して
そこに牛乳を入れていき
ファイアで牛乳を温めていく
「ゆきくん 魔法で温めるとか
間違った使い方してるよね 魔法」
呆れるように美穂が言う
「温めること出来るんだから問題ないでしょ」
「もう…」
美穂は俺の返答にやれやれって言う風に返事を返す
牛乳が温まったのをみてから
牛乳を母親に渡すと母親と絵美が遠心分離機に
牛乳を入れていく
「幸正 魔力はあなたがやりなさいよ
わたし そんなに魔力持ってないんだからね」
母親が俺にそう言ってくる
俺は遠心分離機に魔力を注いでいくと
母親がスイッチを入れる
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンとモーター音が鳴り
回り始めながら外へ生クリームの液体が出ていくと
美穂が瞳を輝かせながら呟く
「生クリーム こんな感じなんだぁ」
俺は出来たばかりの生クリームをみながら
決心したように
大型冷蔵庫を5台作り出して1台は美穂に
アイテムボックス経由で渡して
1台はその場に設置して
魔力充電をする残り魔力が少なくなると
メモリが青から赤へ変わり目視でわかるようになっている
「ねぇ ゆきくん 冷蔵庫作り出しちゃったね」
「これが1番確実かなと思って
冷蔵庫は近いうちに作られると思うし」
「そうだね 英雄さん頑張ってると思うし」
「とりあえず、生クリームは冷蔵庫に入れて冷やしておいて」
「うん」
そこへ未来と侍女さん達もやってきて
玄関越しから声が聞こえてくると
ミアさんが玄関に行き招き入れて戻ってくる
「おじゃまします」
「「「「今日もよろしくお願いします」」」」
未来と侍女さん達が挨拶をしてくると
俺たちは未来達の方を見て
「「「「「いらっしゃい」」」」」
そのあと侍女さんの一人が俺に話しかけてきた
三つ編みでめがねをかけている子だが
「幸正様 昨日はありがとうございます
フレンチトースト作ってみまして…おいしかったです」
「よかったです」
「それで今日は…わたしの言葉のせいで甘いものつくりですか?」
侍女さんが困惑気味に言う
「今まで…そう言うもの作ってきてないから
というのもあるから気にしないでいいから」
「え あ ありがとうございます」
未来は目の前で動いている遠心分離機を見ながら
「ゆきくん わたくしたちがくる前にはじめていたのですね」
「あ うん 下準備しておこうと思って
生クリーム 足りないと思うから
みくちゃんにも牛乳あたためてもらえる?」
「わかりました」
「あと みくちゃんにもアイテムボックス経由で
冷蔵庫渡すから家に帰ったらどこかに設置して
電力は魔力にしてあるから」
「冷蔵庫…結局作り出してしまってるのね」
「アイス作りしようとすると必要で
あと生クリームは冷やしておいて
バターの方は塩を加えて四角い容器に入れて固めて」
「わかりました わたくしに丸投げしてませんか?」
「他にもすることあるし…ごめん」
「仕方ありませんね」
「ありがと」
未来は持って来た牛乳をポットに入れていき
俺や美穂と同じようにファイアで熱していく
そして1回目の牛乳4リットルが分離終わった頃に
芽衣もやってきて
ミアさんが出迎えてくれてやってくると
「おそくなりました」
「「「「「「いらっしゃい」」」」」」
「めいちゃん 気にしないでいいから 遅いとかは」
「うん ありがと いま 生クリーム作ってるところなのね」
「うん みくちゃん 牛乳 プリンの分もあたためてくれる?」
「わかりました 侍女さんの中で手が空いている人は
卵を割って溶いておいてください」
「かしこまりました」
俺は侍女さんに話しかけて
「プリン用の卵には砂糖も混ぜて溶かしてください」
「かしこまりました」
未来の声に侍女さんも卵の方の作業に
取りかかるのだった
俺は芽衣にも冷蔵庫を渡す
「家に帰ったら台所に設置して
電力は魔力にしてあるからめいちゃんが充電するかたちで」
「冷蔵庫 あった方がなにかと便利だものね」
「うん」
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