107話 芽衣の家庭での食卓
芽衣視点です
「ただいま」
「芽衣 おかえり」
わたしが家に帰宅するとお母様が声をかけてきた
「あ お母様 夕ご飯 今日も幸正くんの家で作ってきたから」
「今日もなの? 毎日 いただいてばかりで
申し訳ないわね」
お母様がわたしの言葉に申し訳なさそうにいう
「あ うん 材料はダンジョンで狩ってきてるものだから」
「それでも…一度 わたしたちも加賀さんに会いにいかないと」
お父様がそこに店の方から戻ってきて
「ただいま」
「あなた おかえりなさい」
「お父様 おかえりなさい」
「あなた 今日も加賀さんから夕ご飯お裾分け貰っているの」
お母様が言いにくそうに言うと
お父様も困ったような顔をする
「毎日ありがたいけど 貰ってばかりだと…」
「そうよね 加賀さんのところにご挨拶にいかないとと思うのだけど」
「そうだな いつがいいのだろうか」
わたしはお父様の言葉に少し考える
幸正くんのお母様とお父様
基本的に家の前にある畑で作業していらっしゃるから
家にいないと言うこともないと思いますが
わたしのお父様はお店がありますし
「お父様とお母様二人ででしょうか?」
「出来れば…俺も挨拶したいと思っているから」
「お店の休みの日は?」
わたしの問いかけに
お父様が腕を組みながら考えると
「日曜なら俺もやすめるから都合はいいのだが」
「わかりました 明日 幸正くんのお母様に確認してきます」
「そうしてくれると助かる」
「それで お母様 これが牛丼の具で
どんぶりにご飯をよせたあとに
具をかけてください」
「あ うん 今から用意するわね」
わたしがとりだした鍋を
お父様がじっと見つめたあと、わたしに話しかけてきました
「とんかつもどき マグロ丼 唐揚げ 照り焼き
牛丼 次から次と色々と俺らが知らない料理が…
これも幸正様の前世の世界の食べものなのか?」
「はい そうです 作ってるのは
幸正くんのお母様やわたしたちですが…」
「これらの料理も今後広まるのか?」
「広めたいとは思われているみたいですね」
「ゆかり妃殿下が? それとも幸正様が?」
「ゆかり妃殿下のほうだと思います
幸正くんもそういう気持ちはあるでしょうけど」
「そうか 服といい 食べものといい
色々と変わっていくのだな これから」
「そうですね 服と言えば下着の方は販売はどうなるのですか?」
わたしは気になったことをお父様に聞いてみた
「下着 ブラはまだまだ時間かかるとして
それ以外なら早ければ来週末には売り出せるはず」
「意外と早そうですね」
「あぁ…必要な糸などの材料も
芽衣のおかげで確保出来ているわけだから
あとは生産ラインだけ」
「それはよかったです 反月宮の工作員とかは?」
「そちらも今のところは面接で落とせている
それに昨日の事件により反月宮の財閥も潰せることになるみたいだから
下請けの会社等に反月宮勢力が紛れ込むのも減らせるはず?」
「そうですか 今のところ何もなくて安心しました」
「俺としても洋服はチャンスだから
反月勢力に邪魔されたくはないから気をつけるようにする」
「もし、仕掛けてきたらすぐに教えてください」
「わかった」
お父様と会話している間に
お母様が夕ご飯の支度をすませてくれたようで
「あなた 芽衣 用意出来たわよ」
「あぁ」
「はーい」
食卓の場について「いただきます」をしてから
牛丼を食べ始める
甘塩っぱいタレと玉ねぎの甘さ
そしてブラックホーンの肉が柔らかくて
「簡単な料理なのに…こんなにおいしい」
わたしは思わず呟くと
お母様がわたしに問いかけてくる
「作り方は簡単なの?」
「うん 玉ねぎを油で炒めていき
今回は干ししいたけの戻し汁を使ったけど
それに醤油 みりん 酒 砂糖を加えた
味付け調味料と肉と玉ねぎを鍋で煮込みながら
あくを取っていくだけなので」
「なるほど 思ったより簡単そうね
肉は牛系がいいの?」
「牛丼だから牛だね うん」
「一般家庭だと…まだまだ牛肉は…」
お母様がそう呟く
わたしもそれは思ってる
「そうだね 冒険者が増えて
ブラックホーンがふんだんに流通されれば
お肉の価格も下がると思うのだけど」
「そうよね 魔物じゃない牛も育ててる農家はあるけど
たかいものね」
「そうだな 国民の平均賃金が上がっていけば
変わっていくとは思うが
それを含めた改革なんだろう 洋服等
製作工程がいろいろあるわけだから
人手が必要になる」
「はい 洋服だけに留まらず
幸正くんはいろいろなことをすると思いますから」
「日曜日 約束とれるように頼むな」
「はい」
お父様がわたしにそう頼んできたことに
きちんと返事をする
それにしても牛丼おいしい
たまに作ろう 沢山作ってアイテムボックスに入れておけば
ご飯作りで手抜き出来そうかも
わたしはそう考えてしまいました
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