106話 牛丼を食べる
「ただいま」
練習場から戻り家に入ると
牛丼の匂いが台所からしてきた
懐かしい匂いだったので思わず生唾を飲む
台所から母親と美穂がやってきて
「おかえり」
「ゆきくん おかえり」
「牛丼の匂い ありがとうございます」
「喜んでくれてうれしいわ」
「うん わたし ちょっと お母さん達呼ぶね」
美穂は絵美と宗人に念話を送る
俺は手を洗い居間に行き席に着く
ミアさんはすでに席に着いていてニコニコしていた
美穂もすぐにやってきて席に着くと
「ゆきくん 牛丼って意外と簡単なんだね」
「そうなのね あれって作り置きしておけば
ご飯にかけるだけでいいし手抜きになるよね」
「確かに大量に作っておけば楽だよね これ」
「うん」
美穂との会話をしていると絵美と宗人もやってくる
父親も宗人達と一緒に帰ってきたようだった
母親は台所から色々とアイテムボックスにいれて
やってきて机の上に夕ご飯を配膳していく
それを見た絵見も手伝い始め
ようやく支度が終えると母親が口を開く
「おまたせ 今日は牛丼を作りました
日本のものとは若干違うのはごめんなさいね」
「「牛丼?」」
父親と宗人が揃って首をかしげて復唱すると
母親がウインドウを表示させて
牛丼の写真を見せる
「「おぉ…」」
父親達が写真を見ているうちに
各自に配られているどんぶりの上に牛丼の具を載せていく
「「匂いもそそる」」
「さぁ、食べましょ せーの」
母親の合図に「いただきます」を全員が言ったあと
食べ始めていく
「おいしい…しいたけ? 出汁?」
俺はそんな感じかなと思い呟くと
母親が
「うん 当たり 和風出汁って書かれていたけど
ここにあるのはしいたけぐらいだったから」
「なるほど まだ海が安定化してないから
昆布とかもとれないだろうし
日本に比べて海に関係してる食文化は難しそう」
「そうなのね 昆布ってどういうもの?」
母親の問いかけにウインドウを表示させてみせる
「海草なのね」
「うん」
会話している間に父親達は
「うまいな これ」
「毎日 食べてもあきないくらいだ」
「あぁ」
こんな呟きをしていたり
美穂も食べながら
「ほんと おいしいわ 手間もかからないし
家に帰ったら作ろうかな」
「美穂 作り方覚えたの?」
「うん 一応覚えたから」
「お、美穂 たのむ 毎日たべたい」
「はいはい お父さん 家に帰ったら作るね」
「ありがとう」
美穂も嬉しそうに話している
ミアさんはニコニコしながら食べていた
「お母さん ありがとう」
「いえいえ こんなに簡単でおいしいなら楽だなぁって思うわ」
「カツ丼はとんかつ作った後になるから」
「そうみたいね みてみたけど
とんかつがあれば楽に出来そうだね これも」
「うん 他にも大量に作り置き出来るものなら
カレーもあるけどカレーはスパイスが色々必要だから
月宮だけじゃとれそうになさそう」
「そうなのね 植物ゾーンでとれないの? ダンジョン」
「どうなんだろう わかんない」
「そっか 日本に行って買ってくるのが1番よさそうね」
「確かに あ お母さん お父さん
おじさん おばさん 今日60階層で
ゴールドゴーレムもそれなりに狩れたから
金もかなりとれてる」
「「「「それじゃ、日本に?」」」」
「いくとしたらどうしよう?
入国ビザとかむりだし そもそも世界間転移だもんね」
「そうよね」
「買いものとかなら問題ないよね?」
「それは問題ないと思う 外見は日本人だし ここの人」
「じゃあ、とりあえず買いものを」
「そうね 1回は行って見ないとわからないし」
「「そうだな」」
「はい」
こんなやりとりをしながら夕食を終える
久しぶりの牛丼おいしかった
「お母さん ごちそうさま」
「ううん」
美穂達は帰宅していき
俺も部屋に戻るのだった
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