7話 結界強化
翌日 俺は畑仕事をしつつ体力トレーニングをしたあと
美穂と二人で街外れまでやってきた
「ゆきくん こんなところにやってきて…なにするつもり?」
美穂が困惑を浮かべながら俺に聞いてくる
「昨日 ミアさんと交信したんだけど」
「ミアさんって神様みたいな存在だよね 確か ゆきくんを転生させた人」
「うん そう それでね 魔の森の封印結界が弱まってるとか聞いて」
「えっ? それ危なくなるんじゃ?」
慌て出す美穂
「このまま放置していると数年後にレベル40ぐらいの魔物が
外に出てくるとか言われてて…」
「レベル40かぁ 相当高いよね ダンジョンに入る職業の人でも
レベル50そこそこが最高レベルと言われているし
実際ステータスを調べること出来る人がいるかどうかは
平民のわたしたちにはわからないけど
偉い学者さんたちはそんなことしてそうよね
お母さん達 新聞見ているみたいだから
そういうのを呟いてるのは聞いているよ」
「みほちゃんの家でも新聞取ってるんだね
この国だとテレビもまだまだ普及してないから
新聞が情報源だもんなぁ」
「そうだよね ゆきくんの前世 日本だとテレビはほぼ普及なんでしょ」
「うん カラーテレビだし…テレビだけじゃなくてね
ネットも発達しているから世界中と繋がっているし」
「すごい世界だよね 話だけ聞いていてもすごいなぁって感じる」
「でも、この国の技術レベルとか前世の日本に比べて
100年しか遅れてないわけだから…いずれはそうなるんじゃないのかなって」
「そっかぁ そんなに違わないのね 日本と月宮は」
「なぜ、月宮語が日本語と変わらないのかわからないんだけどね」
「そうだよね ここと日本はそもそも世界自体が違うのにね」
「うん 考えられる事は…ぼくみたいな人が過去にもいたからとか?」
「あ…それなら確かにそうだよね 過去に日本語を広めたことがいたから
と言うのが1番ありそうだよね
もしかしたら…月宮の皇族様達はゆきくんと同じだったりして?」
「転生者…になるのかな この国の皇族様は」
「そうかもしれないね それで…封印結界の話は?」
「あ うん 今から結界強化しにいかない?」
「えっ? 出来るの? あ 出来るね なんでもありの能力だもんね ゆきくん」
「うん だからレベル40クラスの魔物が出てこないように結界を強めてしまった方が
街の人たちに危険が及ばないと思うし」
「そうだね それが1番だもんね みんなが安全に暮らしていけるならいいね」
「うん」
俺と美穂は変身して空を飛びながら結界の近くまでむかう
結界付近の上空で停止すると俺は美穂に話しかける
「結界は聖属性だと思うから…みほちゃんが担当になるけど大丈夫?」
「えっ? わたしがするの? ゆきくん手伝ってくれるの?」
「もちろん 聖属性魔法の効果を数万倍まで引き上げる魔法の杖でも
今から作るけどどんなのがいい?」
「あー、ゆきくんの能力で無茶苦茶なものを作り出す訳ね」
美穂は苦笑いしながら言うと
考え込むような感じで右手の人差し指をくちびるに当てながら
斜め上を見る
「やっぱり、杖の先端に星が乗っているものがいいかなぁ」
美穂がそんなことを呟く
俺は記憶の中にある魔法少女の星の杖をイメージしつつ作る
五芒星の杖
攻撃力 9500
効果 聖魔法効果1万倍 ダメージ無効 状態異常無効
作り終えると杖を美穂に渡す
「わぁ…五芒星がついてる ゆきくんにみせて貰った魔法少女の絵に
あったものに近いタイプだよね」
「うん 杖も普段はみほちゃんの指輪に収納される形にしたから
念じたら瞬時に取り出せるしダメージ無効も付けておいたから
バトルジャケット装備しないときにも平気なように」
「ありがと ほんとにゆきくんってダメージ無効とかきっちり付けたがるよね」
美穂は俺の顔に顔を近づけながら言ってくる
俺は思わず顔を赤くしてしまうとニコッと笑う美穂
「それで…ぼくのMPもみほちゃんに渡せるように
手をつなぐから」
「うん 結界強化ね この結界の効果を強めるようにイメージして
魔力を結界に流し込めばいいのかな」
「そうだね」
俺は美穂の左手を右手で繋いで美穂を見ながら頷く
すると美穂は右手で杖を上に掲げながら目を閉じる
「結界強化 プロテクトアクセラレート」
美穂のMPと俺のMPごっそり使われ
五芒星の杖の五芒星が光り輝き光の柱が天に昇ると
上空から結界に虹色に輝く巨大な柱が結界を覆うように降り注ぐ
「ゆきくん これ やり過ぎのやらかしじゃない?」
目の前の光景をみて美穂が俺に困ったように突っ込んでくる
「そ、そうだね とんでもないよね 聖魔法1万倍アップとか あははっ」
「笑ってないで…どうするの これ」
「いいんじゃないの? これで当分 魔物も出てこないわけだし」
「それはそうだけど…はぁ」
美穂は杖を指輪に収納する
「この杖で攻撃魔法撃たない方がいいよね?」
美穂が困惑しながら言う
「聖魔法 ホーリーとかは使わない方が安全だね
それ以外の魔法なら1万倍にならないから」
「聖魔法以外なら大丈夫なのね よかった…」
「とりあえず、家に帰ろう 話したいことあるから」
「話したいこと?」
美穂は首をかしげて俺を見る
「昨日 お父さん達から聞かされたことだけど
みほちゃんのほうでも聞いてない?」
「あ、あー 学校 うん 聞いてる うん」
「その話」
「うん わかった」
俺たちは家に帰り俺の部屋に二人で会話を始める
美穂に渡した五芒星の杖
イメージとしてはさ○らの星の杖ですね