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たった六ヶ月のラプソディ  作者: ライトさん
22/28

女の子とお腹の虫

子ども頃から物語を読むのが好きで、何時か自分自身の物語も書いてみたい。そんな思いを抱いて早幾年。書き始めるのももの凄く難しいけれども、それよりももっと書き続けることは難しい。そしてそれよりももっともっととんでもなく終わらせることは難しい。

多くの方々が見事に物語を書き上げ、そして終わらせ切っておられること、本当に尊敬してしまいます。適うなら何時かそんな皆さんの仲間入りが出来たなら、そして誰かの心を満たすことが出来たなら、その時は私にとって最高の一時になる…なりますように!


 僕達が宿、つまり亮子さんの実家に帰り着いたのはそれから小一時間ほど経過してからのことだった。


 部屋には既に食事の用意がされている。亮子さんが病院を出る前にご両親に電話していたから、多分帰り着く頃を見計らって用意してくださっていたのだろう。


 心底腹ぺこだった僕には、その心遣いが最高にありがたかった。

どうしてそんな風になったのかは分からなかったけれど、今までの人生の中で最もお腹が空いた経験かも知れない。いや、空腹感なんて言う生やさしい物じゃない、まさに飢餓感そのものだった。


 気を利かせてビールなんかも用意して下さっていたけれど、そんな物より何よりご飯が食べたかった。


 大盛りの上に更に山盛りにしてもりもりと食べている僕を見て亮子さんが声をかけた。


「だ、大丈夫なの?そんなに食べて?」


 全く、自分でも不思議だった。これだけの量が一体自分の身体の何処に入っていくのだろう?

 女性二人にしては少し多いかなと思うくらいのご飯が、おひつの中にはたっぷりと入っていた。なのに足らなくてそのおひつをおかわりしてしまう。そしてそのおかわり分を食べ尽くす頃になってようやっと僕は人心地付いた。


「呆れた、ものすごい食欲ね?」


亮子さんは目を丸くしている。でもその気持ちは僕も同じだった。


「実を言うと自分でも驚いているんです、こんなに食べたこと後にも先にもありませんから」


 そう言いながら僕は幸せな満腹感を楽しんだ。お腹に入った物は満腹感と共に、少しずつ力のような物をわき上がらせてくれる。


「それがもし、葵を元の身体に戻すために必要な物だとしたら・・・明日は考えなくちゃいけないわね」


 亮子さんは独り言とも付かぬ風にそんなことを呟いている。

でも本当にそうなのかも知れない。僕は何かが自分の中で回復していくのを感じながらふとそう思った。


 ご飯を食べた後しばらく経ってから、お風呂に行こうと亮子さんに誘われたように思う。多分僕は行くとか何とか言って頷いていた。でも僕の記憶に残っていたのはそこまでだった。


 いつの間にか僕は激しい睡魔に襲われ、何か葵ちゃんに話しておかなくてはと考えていたにもかかわらず、前後不覚に眠り込んでいた。

 それこそ一切合切何も感じず考えず、まるで泥のような眠りの中に僕はあった。


 翌朝、かなり早い時間に目を覚ました僕は、自分がいつの間にか浴衣姿になっていることに気がついた。


 多分亮子さんが着替えさせてくれたのだろう。亮子さんも疲れていたに違いないのになんだか申し訳ないことをした。


 目が覚めたとはいうものの、どこか未だ夢現のような所があったが、時が経つと共に次第にはっきりと目が覚めていく。

と、何やら盛大な音がする。あちゃ、またしてもお腹の虫が騒いでいるらしい。一度ならまだしも、こう何度も立て続けだと恥ずかしさで顔から火が出そうだった。全く一体何だって・・・。


『おはよう』


葵ちゃんの言葉が優しく心に響く。


『おはよう葵ちゃん』


『朝から凄いお腹の音ね?』


 どうやら葵ちゃんにしっかりと聞かれていたようだ。でもその葵ちゃん、どうもどこか変だった。心の言葉だから音という物はないのだけれど、なぜだかくぐくもった感じがする。


『どうかした葵ちゃん?』


心配になってそう聞いたのだけれど、しばらく返事がなかった。


ますます心配になってやきもきしていると、ようやっと返事が返ってきた。


『ご、ごめんね良美さん』


『大丈夫葵ちゃん?』


僕にしてみたら気が気でなかった。しかし葵ちゃんの答えは意外な物だった。


『うん、大丈夫だよ。何ともないよ』


それを聞いて僕はほっと胸をなで下ろした。


『って言うか、ごめんね良美さん』


『ごめんねって何?』

 

僕は面食らって問い返した。


『だって良美さんのお腹の音、前にも増して大きいんだもの』


『?』


僕はようやっと合点が行った。


『もしかして葵ちゃん笑っていた?』


『当たり!』


 僕はがっくりと肩を落とした。高まりつつあった緊張感は一気にだだ下がりになってしまう。思わず


「あーああ」


と声を出してしまった。そして大きくため息。そしたらそこに今度は本物の笑い声が聞こえてきた。

 もちろんそれは他の誰でもなく亮子さんだった。


 彼女と来たら枕を口に押し当てながら、涙を流しながら笑っている。姉妹揃ってこんなに笑い上戸だなんて・・・。

 自分では気がつかない間にふくれっ面になっていたらしい。

布団の上で身体を起こした亮子さんは手を合わせて拝むようにしながら言った。


「ごめんごめん良美ちゃん。」


 きっと本当に心からそう思ってはくれているのだろう。でも亮子さんは未だに笑いの衝動を抑え切れずにいた。

 だからと言ってそんな亮子さんを咎めることは僕には出来ない。でもよほど恨めしそうな顔をしていたのだろう。亮子さんは目に見えて苦労をしながら笑いを押さえ込もうとしている。


 亮子さんはおおかたの部分でその企てを成功させつつあった。ただいたずらっ子のようにきらきらと光らせた目の輝きだけはどうしようもなかった。


「朝から絶好調のようね、良美ちゃん?」


僕はただもう笑っているしかなかった。


「ともかくとっても元気みたいで良かったわ。それはそうと朝ご飯の時間までは未だ間があるから、今のうちお風呂に行っておきましょうよ。昨日は良美ちゃんそのまま寝ちゃうんだから・・・」


そう言う亮子さんに僕は苦笑いした。


「ん?どうしたの良美ちゃん?」


「こんな風に気軽にお風呂に誘ってくれるなんて、きっと今のうちだけなんだろうなって思って。」


一瞬亮子さんはきょとんとした。しかしその後急にニコニコし始めた。


「え? 何? 何かおかしなこと言った?」


亮子さんは頭を振った。


「ちっとも。それにね私は別にかまわないのよ。」


「かまわないって何が?」


僕は自分で言い出しておきながら、既に話の展開について行けなくなっていた。


「だからお風呂の話よ。」


「へっ?」


「へっじゃないわよ、それに多分葵も同じだと思うわよ」


「それって一体?」


「あのね良美ちゃん、うちの温泉はね、つい最近まで混浴だったの。だからうちの家族はまるっきりってこともないけれども、殆ど気にしないの。」


僕は思わず目を白黒させてしまった。


「気にしないって言われてもそんな・・・、それに葵ちゃん、家でお風呂に入る時は・・・」


「それは当然よ、ただ一緒にお風呂に入るのと、他人に自分の身体を洗われるのとでは、天と地ほども違うもの。私だってあなたに身体を洗われるかと思うと赤面しちゃうわよ。」


『そうなの?』


と思わず葵ちゃんに確かめる僕。


『うん』


と、極々遠慮がちに返事をしてくる葵ちゃん。もちろんそれが分かったからと言ってどうなる訳ではなかった。でも何となくカルチャーショックのような物を受けた僕だった。


 とにかく今後どうするかは別にして、今回は三人でのんびりお風呂を楽しんだのは言うまでもないことだった。


 お風呂から戻ってみると、部屋の布団は既に綺麗に片付けられてしまった後だった。タイミングを見計らったかのように亮子さんのお母さんがやってきて、他の部屋に朝食が用意されていることを教えてくれた。


お腹が空きまくっていた僕は早速部屋を出て食べに行くこととする。


「ご飯たっぷり用意しているから遠慮無く食べてくださいね。」


 どうやらお母さんには、昨日の僕の食べっぷりのことがしっかりと伝わっているらしい。

僕は耳まで真っ赤になりながら、思わず亮子さんの陰に隠れてしまった。

 そんな僕の気持ちを察してくれたのだろうか?亮子さんは明るく言った。


「別に恥ずかしがらなくたって良いじゃない?あれだけ美味しそうにたっぷりと食べてくれたら作った側にしても嬉しい物よ」


僕達のそんな会話を耳にしたのか、先に立って歩いていたお母さんが振り返っていった。


「亮子の言う通りよ、それにこの子だって高校時代はおひつを抱えて食べていたんだから」


「か、母さん!」


亮子さんの顔が朱に染まった。なんだ、亮子さんだって恥ずかしいんじゃないか。


「あの時は部活で運動していたから特別なの」


「ふふふ、そうだったかしらねえ?」


 お母さんはそう言って笑ったかと思うと歩みを早め、パタパタとその場を去っていった。

食事が用意してある部屋に行くと、お母さんの言っていたことがその言葉通りだったことが分かった。


 さほど大きな物ではないというものの、用意されているおひつには蓋が閉まらないくらいご飯がたっぷりと盛られている。

 さすがにこの量には亮子さんも目を丸くした。しかし亮子さんは少し後、その大きく見開いた目を更に大きくさせることになった。


「うそ・・・すごい」


 亮子さんがそう言うのも無理からぬことだった。もっとも実のところ、一番驚いているのは僕自身だったりする。実際あの量のご飯を食べきることが出来るとは、食べてしまった後でも未だ信じられない気分だった。

「ねえ、あなたのその身体の何処にあれだけのご飯が入っているって言うのよ?」


 亮子さんはしげしげと僕のお腹を見つめながら言った。言われてみたらその通りだ、まさにちょっとしたミステリーかも知れない。

 でもどう言えばいいのだろう?その時の僕の身体にとってそれは必要なことであり、無意識下からも自然にそうしなくてはならないという思いが湧き起こってきていたのだった。


「もう少しご飯もらってこようか?」


 亮子さんがおひつを抱えながら恐る恐る僕に伺いを立ててきた。しかしいくら何でもこれ以上は入らない。


「うううん、さすがにもう入らないです。」


ご飯をもらいに行こうと腰を浮かせかけていた亮子さんを僕は慌てて引き留めた。

 なんだかお腹のそこからわき上がってくるようなこの感覚。これはきっと葵ちゃんが笑っているに違いない。


 そんなこんなで終えた朝食は実に楽しかった。ご飯というのはやはりこうして誰かと食べるのが良いな、そんな風に思ってしまった。


 朝食を終えた僕達は急いで出かける支度をした。こうこそ葵ちゃんを元の身体に戻す正念場なのだ。


 亮子さんは先に支度を終えると、少しやることがあると言って先に荷物を持って部屋から出て行った。多分亮子さんは家を出る前にご両親に会って話をしていくのだろう。

僕はと言うと、だいぶ女の子としての暮らしに慣れたとはいうものの、まだまだ手際が悪く、部屋を出たのはそれから少し経ってからのことだった。


部屋の扉から出かけてふと振り返った。


『葵ちゃん、また帰ってこようね。今度はちゃんと自分自身でね』


『うん、そうだね』


 別に寒い訳でもないのに、何故か身体が震えてしまう。どうしたんだろう?

僕は直ぐに気がついた。葵ちゃんの万感の思いが伝わってきているんだ。

 宿の玄関までやってくると、既に亮子さんが彼女のお母さんと共に待っていた。


「ごめんなさい、お待たせして」


僕がそう言うと亮子さんはにっこりと微笑んだ。


「うううん、そんなこと無い、大丈夫よ」


そんな彼女、ふと手を見ると何やら大きな風呂敷包みを下げている。


「?」


僕の視線に気がついた亮子さんはひょいとそれを持ち上げて見せながら言った。


「目ざといわね良美ちゃん」


「目ざといってそんな、普通に誰だって気がつきますよ」


 そんな僕達の会話がおかしかったのだろう、お母さんがコロコロと笑っている。

僕は風呂敷の中から漂ってくる、何やら美味しそうな匂いに気がついた。


「なんだか美味しそうな匂い、もしかしてお弁当?」


「やだ、もうばれちゃったの?せっかく内緒にしておいて後で驚かせてあげようかなって思っていたのになあ」


亮子さんは口惜しそうに唇をかみしめた。


「田舎料理なので大した物ではありませんが、たっぷり入れておきましたから」


ニコニコしながらそう言ってくれるお母さんに、僕は深々と頭を下げた。


「そ、そんなとんでもありません。それにこちらのお料理ものすごく美味しかったです。なんだかここまでしていただいて申し訳ないです」


するとお母さんは僕の手を取って握りながら言った。


「確かにあなたが娘にそっくりだって言うのも関係有るかも知れない。でもこうして話しているとちゃんと別の方だってちゃんと分かっているのよ。だけどそれでもどう言えばいいのかしら?なんだか他人とは思えないのよね。不思議だわ」


 お母さんの言葉を聞きながら、僕の心臓はドキドキと大きく脈を打ちっぱなしだった。

さすがと言えばさすがと言える母の勘なのかも知れない。

 亮子さんはそんな僕の思いとは裏腹に、今にも吹き出しそうな顔をしている。


そんな亮子さんに彼女のお母さんから一言。


「亮子ちゃん、何をそんなに妙な顔をしているの?」


今度は亮子さんが慌てる番だった。


「え?」


 その間がおかしくて今度は僕の方が吹き出しそうだった。

お母さんは僕の手を離すと亮子さんの方へ向いた。


「今日の予定を聞いていなかったのだけれど、このまま帰ってしまうのかしら?」


そう言うお母さんはどことなく寂しそうだった。


「えっと」


そう言いながら亮子さんはちらりと僕の方へ視線を向けた。


「今日はあちこち回った後、午後から葵の所に行こうと思うの。」


お母さんはにっこり笑った。


「あらまあ、葵ちゃんきっと喜ぶと思うわ」


「う、うん。だから今日は母さん午後のんびりして良いからね」


「でも・・・」


そう言うとお母さんは僕の方を見た。


「良美さんにご迷惑ではないのかしら?」


僕はぶんぶん音がするのではないかと思うほど激しく頭を横に振った。


「迷惑だなんてとんでもない、私自身・・・どう言ったら良いんだろう?亮子さんにはいつもとっても良くしてもらっているし、葵ちゃんともなんだか本当の姉妹のような気がしているんです、だから本当に気にしないでください。」


「そう?そうなのかしらねぇ?」


 お母さんは未だちょっぴり不安そうと言うか、申し訳なさそうにしている。だから僕は精一杯の気持ちを込めていった。


「そうなんです、私も葵ちゃんに会えるの嬉しいんです」


そう言うのを聞いたお母さんはすっと側に寄ってくると僕の身体を抱きしめた。


「良美さん、あなたって本当に優しい方なのね」


 僕はお母さんの予想外の行動に慌てたが、彼女のなすがままにしていた。

お母さんの身体からする香りがなんとも懐かしい、そう言えば僕の母さんもこんな匂いがしていたっけ?こんな優しい温もりをしていたっけ?


「さあ、遅くなるからそろそろ行こうか?」


 亮子さんがそれとなく出発を促した。僕はそっと身体を解き放ってくれたお母さんにぺこりとお辞儀をした。


「帰っても帰らなくてもあの部屋とっておくからね」


玄関を出て行く僕達の背中をお母さんのその言葉が追いかける。

 僕は駐車場に向かう道すがら何度も何度も振り返り、見送ってくれるお母さんに手を振った。


「良美ちゃんたら・・・」


僕のそんな姿に何を思ったのだろう?亮子さんの目に微かに光る物が見える。


 当たりの木々は皆朱や黄色の葉に覆われ、冷たく冷え込んだ大気は冬の到来を予感させている。

そんな中、山間から差し込んでくる日の光が、優しく僕達を暖めてくれた。


「頑張らなくっちゃね」


僕は誰に言うともなく独り言のようにそう呟いた。


『ありがとう』と葵ちゃんの囁くような心の声。


「ありがとうだなんて・・・」


「何? 良美ちゃん?」


 僕はいつの間にか言葉を口に出して言っていた。

亮子さんは黙って僕の返答を待っている。


「葵ちゃんと話していたんだよ」


「うん」

 彼女はそう言ったきり、それ以上何も聞こうとしなかった。

小鳥の声が辺りに響く。駐車場に止められた車はうっすらと霜が降りている。道理で寒い訳だ。


 僕達はきゅんと冷え込んだ雰囲気に震えながら車に乗り込んだ。

亮子さんはエンジンをかけると大きく深呼吸をした。


「さあ行こうか?」


「うん」


 その後僕達は葵ちゃんも含めて誰も口をきくことなく、静かに病院に向かった。

見た目は平静だったけれど心の中は違う。次第に高まっていく緊張感、そしてやらなくてはと言う思い。


 僕は自分の持てる力の全てを出し切ろう、そんな風に心の中で決心していた。

車が走り出して少し経つと、エンジンが温まってきたせいか車内が急に暖かくなってきた。

病院までの小一時間、亮子さんの滑らかな運転で車に揺られていると、あんなに緊張していたのにいつの間にか眠ってしまった。


 もっとも眠ってしまったとは言っても、実際に寝ていた時間は極々短い物だったと思う。

でもその眠っている間に、僕はなんだかとても楽しい夢を見ていた。いや、そんなような気がする。


 運転のリズムの僅かな変化で僕は目的地が近いことを肌で感じていた。

運転席から亮子さんの静かな声が聞こえる。


「目が覚めた?」


「うん・・・ごめんなさい、眠ってしまって」


亮子さんはフフと笑った。


「そんな、ちっともかまわないわよ。どう気分は?」


「うん、上々だよ」


「そう?良かった」


車の行く手に葵ちゃんのいる病院が見えてきている。


「もうすぐ着くわよ」


「はい」


 僕は返事をしながら大きく伸びをした。体中の骨や筋がミシッと言うような音を立てつつ、徐々に活性化していくような感覚に囚われる。


『葵ちゃん?』


『何?』


『頑張ろうね』


『うん』


 そんな会話をしているうちにも、亮子さんの運転する車は病院の駐車場に滑り込んでいった。


 車外に出て大きく息を吸う。こんな街中でも僕達の住んでいるところとは大違いで空気が美味しい。


「さあ行こうか?」


「はい」


 僕は亮子さんの横に並ぶとゆっくりとした足取りで病棟へと向かった。未だたった三回目なのに不思議と見慣れた感じがする。

 ふと気がつくと亮子さんの手が僕の手をそっと握りしめていた。暖かくてとても安心できる手だった。


前書きであんなことを書きながら、はたして私はどこいら辺まで来ることが出来て居るのだろうか?千里の道も一歩から、とにかくボチボチ行こか。

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