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世界樹の名の元に(仮)  作者: 風鈴草
2/5

二:魔女との出会い(2)

「お兄ちゃーん!」


妹の声・・シーニュの声がする。


振り向くと緑がいっぱいな庭に赤い屋根の家。


僕の家だ。


「お兄ちゃん、ごはんだよー!」


「リタ、早くいらっしゃい」


母さんも僕を呼んでいる。


玄関の奥、少し軋む廊下の先から、シチューのいい匂いが漂っていた。


「遅いぞリタ、お前の分も父さんが食べちゃうぞ」


父さんはいつものいたずらっぽい笑顔を浮かべながら

もう席についていた。


「お兄ちゃん、遅いよ!またお庭のお花いじってたの?」


「母さんも助かるけど、もう少し時間も気にしてね」




ああ、僕の家族だ。




「・・?え、お兄ちゃんどうしたの?!」


「なにかあった?!」


心配そうに駆け寄ってくる妹と、見守ってくれる母。


「無理して言わなくていいぞ、泣きたい時は泣いておけ。」


先ほどとは打って変わってひだまりのような笑顔の父。



どうして。



……




きゅるるる?


「ぐえっ……!!?」


ぼすんっという音と共に結構な質量の何かが腹の上に落ちてきた。


「なん……!?ととと、鳥!!?」


視界いっぱいに薄桃色の羽毛、紅色の嘴、まんまるな水色の瞳が2つ。

あたりを見回すと見覚えのない部屋だった。


「さっきのは夢…か」


きゅー?


水色の瞳が心なしか心配そうにこちらを覗き込んでいるような。


ぺろり


「わあああ!な、舐め!!?」


一体何が起こっているのか全く分からず身動きも取れないが、このピンク色のもふもふに舐めまわされていることは理解できる。


「ちょ、、わっ、ひゃははは、こら!やめろぉ!」


あろうことか首まで舐め始めたため、慌てて嘴を押してみたがびくともしなかった。


「ふふ、ペシェ、貴方は本当に優しいですね。」


雪解け水のせせらぎのような、澄んだ声。

振り向くと絹糸に流れ星を落としたような美しい銀髪。

エメラルドの瞳にかかるまつ毛一本一本まで銀色だ。

まるで…


「天使…?」


「あら、お上手ですね」


ふふ、とすこし嬉しそうに目を細める彼女は一体?


「天使ならよかったのですが」


刹那、エメラルド色が寂しそうに揺れた。

…気がする。

すぐに先ほどと同じくやわらかに僕を見つめ、


「ようこそ、庭園の魔女の店へ」


キィィ…高い音と共に窓が開き、

温かい風が半透明のカーテンを揺らした。


どうやら僕は目的地に着くことが出来たらしい。

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