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ルイスVSリリアンヌと取り巻きーズ



 (さて、こいつらをどうしてくれようか……)


 リリアンヌを守るように立ちふさがった自身の側近候補を射るような目でルイスは見た。


「お前らは物理的に殺されるのと、社会的に殺されるの、どちらを望む?」

「ルッ、ルイス様!!?」


 イザベルはそっとルイスの腕を引き、小さく首を振る。


 もはや、ただの死刑宣告に取り巻きーズとイザベルは冷や汗をかいた。


 ここで大人しくしておけば、イザベルの制止でルイスが止まる可能性はあっただろう。

 だが、彼らはそのチャンスを自ら潰した。



「何を言ってるんですか? そもそもの原因はイザベル嬢にあるのですよ」

「そうそう、なんで俺達が罰せられるのさぁ」


「ヒューラック、カミン、黙れ。お前たちは俺の婚約者に対する礼儀がないだけじゃなく、(おとし)める発言をした。

 イザベルが許したとして、俺が許すとでも思っていたのか?」


「ルイス、いい加減にしろよ。イザベルが婚約者なのがそもそも問題なんだろ! オレ達は間違ってない!」


 ヒューラックとカミンは怯んだが、メイスの発言に()(さま)同意の声をあげた。


「それは、ヴィランテ公爵家の意向か?」

「それは……」


 言い(よど)んだメイスに対し、ルイスは馬鹿にするように鼻で笑った。


「お前らは(そろ)いも揃ってとんだ無能だな。俺がどんな人間だか忘れたのか?

 なぁ、シュナイ。お前もずっと黙っていないで何か言ったらどうなんだ?」


 白羽の矢が立てられたシュナイの肩は揺れたが、赤い瞳は凪いでいる。


「私には先程のイザベル様の謝罪に嘘は感じられませんでした。ですので、このようにすぐにリリアンヌさんに手を出したというのは信憑性が決して高くはないと思います。

 しかし、今までのイザベル様の行動を考えますとイザベル様がリリアンヌさんを押したとして何ら違和感はありません。

 私は押した瞬間を目撃した訳ではありませんので、この問題に関しては判断が難しいのが正直なところです」


「お前はどっちの味方なんだよ!!」


「私個人としてはリリアンヌさんの味方をしたいと思っております。ですが、神官の一人として個人の感情を優先させることはできません。

 例え難しくとも、感情に流されず公平に判断する努力をする義務が私にはあります」


 煮えきらないシュナイの態度にメイスは舌打ちをしたのを見ていたルイスは静かに口を開いた。


「シュナイ、こちらにつくのなら今のうちだぞ?」

「いいえ。平等であることが私の役目ですので」


 あくまでも自身の立ち位置を譲らないシュナイにルイスは満足げに瞳を細めた。


「シュナイ、ギリギリで自分の立場を思い出したか。

 メイス、ヒューラック、カミン。お前ら3人は今、この時から俺の側近候補から外す。これから先、余程のことがない限り元には戻さない」


「ルイス、お前も俺たちの力がないと困るだろ!!」


「勘違いするな。お前らの代わりなどいくらでもいる。それこそ、能力だけを見ればお前らより優秀な者は多いんだ。

 地位だけで重役につける時代はもう終わりだ。これから俺の側近は能力で選ぶ」



 メイス、ヒューラック、カミンは社会的に殺された。

 優秀な皇太子に地位だけの無能扱いをされた彼らを親は後継者にすることも再び側近にさせようともしないだろう。出世の道は閉ざされたといっても過言ではない。

 彼らに残されたのは高位貴族の子息であるという地位だけだ。



「待ってください!! ルイス様、彼等は私を庇ってくれただけなんです!!

 悪いのは私です。お願いします。許してあげてください」

「なら、お前は彼らの罪を一人で被るのか?」


「えっ……」


「何だ、口だけか」

「もちろん私の罪です。勝手に転んだのですから。庇ってくれた皆は悪くありませんから」


 リリアンヌの顔色は悪く、声は明らかに震えていた。




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