91.師はいつもそこに
界人が勇者ブレイバを救った。
彼は今、七獄というダンジョンのなかにいる。
現在のパーティメンバーは勇者ブレイバと、幼なじみのカリスだけだ。
レンゲルは天導教会のシスターとして、巡礼の仕事が入ってしまったので、パーティメンバーから離脱したのだ。
さて。
彼らは七獄にてレベル上げを行っていたところだった。
そこに、自分たちより強いモンスター、灼岩竜と遭遇。
敵は古竜、SSランクの化け物だった。
神威鉄並みに硬い外皮に加えて、灼熱の熱線を放ってくる、恐ろしい化け物である。
単なるレベル上げのつもりが、ちょっと勇み足だったか……。
灼岩竜の攻撃が当たるまさにその瞬間……。
どがん! という音とともに、灼岩竜が姿を消したのだ。
「だ、大丈夫だったの……?」
カリスがブレイバに尋ねる。
「ああ! 師匠がたすけてくれたよ! やっぱすげえや師匠! あんな化け物簡単に消し飛ばせるなんてー!」
笑顔のブレイバ。
一方で、魔法使いカリスは前から少し疑問だったことを口にする。
「ねえ……ブレイバ。師匠……賢者様ってどうして助けてくれるのかしら?」
「そりゃ……………………師匠だから!」
だめだこりゃ、とカリスはため息をつく。
前から疑問だったのだ。
あの師匠の男は、どうして力を貸してくれるのかと。
「まさか、勇者パーティの一人……? いや、なら、旅についてこない理由もわからないし」
「うぉおおお! ピンチに颯爽と現れて、去っていく! 師匠すげえ! かっちょえー! おれも師匠みたいな強い人になるぞー!」
……彼らは知らない。
界人は単に、年下からカツアゲしたのが(結果的に)、申し訳ないから助けているのだと。
【★☆新連載スタート!】
先日の短編が好評のため、新連載はじめました!
タイトルは――
『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』
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