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83.神の奇跡が及ぼした影響



 飯山 界人かいとが、魔法の力を用いて、入院患者を治療した。

 そのことはニュースとなり、大いに世間を騒がせた。


『長野に神降臨か!?』

『重病患者が一瞬で治療される。山の神の奇跡か?』

山神やまがみは実在した! 祝福を受けた母子にインタビュー!』


 全国ニュースとなって日本、いや世界中のひとが、奇跡とともにこの名前を知ることになる。

 奇跡をおこした山の神……。

 つまり、山神やまがみと。


 インターネット上では様々な憶測が飛び交う。

 集団催眠や、国家ぐるみの大規模な実験(新薬の投与)とか。


 だがそのどれもが真実に到達できていない。

 まさか実際に魔法が使え、異世界を行き来できる男がいるなどと……。


 山神のうわさは、各地に広がっていく。

 まずは、公安。


 警視庁公安局の刑事、贄川にえかわ 無一郎むいちろうは、都内の公園で同僚と通話していた。


「大変だ見晴者レイカー! 【治癒者ヒーラー】だ! 治癒者ヒーラーが出現したぞ!」


 治癒者ヒーラーとは、治癒能力を持った練能力者れんのうりょくしゃ(※逆異世界転生者)のこと。

 怪我、病気を治す力は、世界中の人間が喉から手が出るほどほしがる。


 だからこそ、どんな手を使ってでも手に入れたいと考えるものが多い。


「病院まるごと重病人を治した! 今回の治癒者ヒーラーはそうとうな実力者だ! すぐに公安で確保する! 見晴者レイカー、位置情報を教えてくれ!」


 早く確保しないと、敵の組織や、諸外国の連中に連れてかれる可能性がある。

 そうなる前に、公安で保護せねばならなかった。


『落ちつけ変身者トランスフォーマー


 無一郎のコードネーム、変身者トランスフォーマー。あらゆるものの姿に変えることができるから、そう名付けられた。


治癒者ヒーラーは確保しなくていい』

「なっ!? も、もう取られたのか! くそ! 遅かった! いったいどこが確保したんだ!」

『いや、どこの誰も彼は確保できないよ』

「は……? い、言ってる意味がわからんのだが……」


 見晴者レイカーは苦笑しながら、正体を言う。


『今噂の山神の正体は……異次元者アンノウンだよ』

「……………………………………………………そうか」


 異次元者アンノウン。つまり、飯山 界人のことだ。

 無一郎は、安堵した。誰にも、彼を押さえることは不可能だからだ。


 なぜなら、この世界で最強だから。


「界人君か……。なるほど、彼なら治癒魔法を使えてもおかしくないね」

『そのとおり。しかし彼、まじでなんでもできるね。すごすぎる。安曇野の総合病院に入院していた数百人、一瞬で治しちゃった。化け物を通り越して神だね。噂は的を射ていたわけだ』


 無一郎は公園のベンチにどかっとすわる。

 慌てて治癒者ヒーラーを押さえる必要がなくなったからだ。


「山神……界人君は何を思って、病人の治療なんかを?」

『さぁねえ……ただ、今回の件はやりすぎだね。公安でも、さすがに情報操作ができない。起こした奇跡の規模が桁違いだ』


 公安の仕事には、練能力者がやらかしたことの隠蔽も含まれてる。

 しかし今回の件は、もうそんな隠蔽できるとかそんなレベルを遙かに凌駕していた。


『まあでもプラスに考えよう』

「プラス?」

『ああ。これで世界中の殺し屋たちが、活動をさらに自粛するだろう』

「え? なんでそうなるんだ?」


 いいかい、と見晴者レイカーが言う。


『あの規模の人数を、一瞬にして治せる。ということは、裏を返すと、一瞬であの規模の人数の命を奪える、だけの力を持った練能力者が、世界には存在する。そう考える』

「なるほど……治す方法があるなら、壊す方法もまた心得てる……と」

『そう。一般人達は今回の奇跡を奇跡ですませるだろう。しかし、練能力者たちは、違う。今回の件は、同業者のしわざだと考える。そして、この奇跡を起こせる練能力者がいて一番困るのは?』

「能力を使って、悪さをする……殺し屋達……か」


 電話の向こうで見晴者レイカーが笑う。


停止者ストッパー撃破は、あくまで噂程度でしか広まっていなかった。しかし今回の件は、実際に起きた出来事として歴史に刻まれた。世界中の殺し屋達は知っただろう。日本に、怪物がいるって』


 噂と違って、今回の件は実際に生きた証人が何人もいるのだ。

 殺し屋たちは嫌でも痛感させられるだろう。


『公安としては、山神の噂をもっともっと広く流す予定だ』

「抑止力になるから?」

『正解。しかしさすがだね、異次元者アンノウン……いや、界人君は』

「だな……生きてるだけで、全世界の平和を守ってるんだから」

『本人は自覚してなさそうだけどね。実際、すごいよ。平和の神といっても過言ではない』


 そう言って見晴者レイカーは電話を切る。無一郎も同意だった。

 現在彼がマークしている殺し屋達が、驚くべき速度で廃業を表明していってる。


「飯山界人君……ありがとう。君のおかげで、世界は平和になってるよ。まさに守護神……だね。ふふ……破壊神もいれば、守護神もいる。日本はすごいとこになったよ」


 だが、そんなことになってるとは、当の本人は、全く知らないのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 男だけど、女神とされる山神で良いのか? 神格化が進んでいくな。こっちの世界ではまぐわっているだけなのに。
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