08.JKと同居、あと奴隷ゲット
俺、飯山界人は、元々大手の出版社【タカナワ】ってところに勤めていた。(※ブラック企業)
元マンガ編集者であり、そのとき担当した人気漫画家【南木曽なぎ】。そして電車の中で痴漢されていて、俺が助けたJK少女。
その二人が、長野にある俺のもとへやってきて、しかも俺が魔法を使ったところ(+フェンリル)を目撃したのだった……。
とりあえず二人を居間へ通した。
「うひゃああ! すげえすげえすげえっす! マジモンのフェンリルじゃあないっすかー!」
なぎはお座り状態のフェリを見て、目を輝かせている。
さっきからフェリを触ったりスリスリしたりしている。
「恐くないのか、こいつが?」
「ぜんっぜん! てか、むしろすげーっす! ファンタジーっす! 憧れの異世界ファンタジーな世界が! うひょーい!」
なぎは結構好奇心の強い子だったもんな。この状況に一発で適応したみたいだ。
さて、一方で俺が助けたJKのほうはというと……。
「で、えっと……戸隠麗子ちゃん、だったかな?」
「ひゃい……! そ、そうれふう……」
今なおずっと、麗子は顔を真っ赤にした状態で、もじもじしている。
理由は……まあ俺の顔のせいだろう。
フェリを従魔にしたことで、俺の存在は一段階レベルアップし、イケメン化したのだ。
アイドル顔負けの男がいるので、照れてるんだろう。
「君はここに何をしに来たの?」
「あ、え、えと……その……」
麗子はパンパン! と自分の頬を強く叩く。
「飯山さんに、謝りに、来たんです!」
「俺に、謝りに?」
「はい!」
麗子は俺の前で、三つ指をついて、土下座をした。
「助けていただいたのに、マンションから追い出すようなマネをしてしまって、大変、申し訳ございませんでした……!」
きゅ、急になんだ?【明鏡止水が発動しました】あ、うん。
話を聞いたところ、どうやらこの子は、父親から俺を追い出した件を聞いたらしい。
「いや、それは戸隠さんが謝ることじゃないだろ」
「いえ! わたしが、父の暴走を止められなかったから。わたしのせいで、飯山さんに酷いことを……」
麗子は本気で泣きそうだった。
心から、俺に対して申し訳なさを覚えているのだろう。
自分のせいで、俺が辛い目にあったって、思っているらしい。
優しい子だな。そんなふうに優しい子に、しかも年下の子にたいして、俺は憤りなんて覚えちゃいない。
「いや、別に気にしなくて良いって」
「いえ! わたしが、許せないんです!」
ずいっ、と麗子が身を乗り出してくる。
「わたしを助けたせいで、飯山さんの人生はめちゃくちゃになってしまったんです! その罪は……重いです」
めちゃくちゃにって……まあ確かに、あの事件があって会社をクビにはなったけど。
「そこまで思い詰めなくて良いよ」
「……飯山さん、優しすぎますよ。でも……わたしは……取り返しのつかないことをしてしまって……」
ううん、どうすれば納得してくれるんだろうか。
「俺はね、もう気にしてないから。会社は確かにクビにはなったけど、おかげで色々人生が好転したんだし」
「……でも」
だめだ、完全に、過去の自分を許せないでいる。
まあたしかに、会社をクビにして、人生をめちゃくちゃにした(彼女の談)のは、事実で、消せない過去だもんな。
困った……。
すると、フェリがこんなことを言う。
『では、奴隷契約でも結べばよいのでは?』
「は? なんだよ、奴隷契約って……」
『対象者と契約を結び、その人の所有物となる契約だ』
「はぃ!? しょ、所有物ぅ!? 【明鏡止水が発動しました】なんで、そういう話になるんだよ?」
なぎが「急に冷静になるの受けるっすね」と笑っていた。
『その女は主を深く傷つけた。しかも、それは取り返しがつかないくらいの大事。ならば一生をかけて償ってもらおうじゃないか』
「おいおい、だからって……奴隷になるなんてそんな……非人道的すぎだろ。第一この子も嫌がるでしょ」
しかし……。
「な、なります!」
「はぁ!? 【明鏡止水が発動しました】言ってる意味わかってるのか? 奴隷になるんだぞ?」
「はい! わたし……飯山さんの、奴隷になります。フェンリルさんの言うとおりです、取り返しのつかないことをしてしまったのですから、人生をかけて、お詫びしたい、です!」
いやそんなこと言われてもな……
『よいではないか、本人がこう言ってるのだし』
「そっすよ。だいいち、奴隷契約でもしとかないと、この子が界人サンの秘密ゲロってしまったら、どーすんすか?」
確かに、異世界を行き来できる力は、できれば秘密にしておきたい。
俺は平穏な生活を望んでいるからな……。
奴隷にすれば、たしかに、しゃべるなと命じればその命令は絶対に遵守されるだろうけども。
「てゆーか、なぎ、おまえはどうなんだよ?」
「アタシはここに今日から住むんで」
「は!? お、おま……【明鏡止水が発動しました】急に何を言い出してるんだよ」
「急に冷静になるのマジウケるっすね」
けらけら、と笑いながらなぎが言う。
「うち、タカナワでマンガ書くのやめたんで」
「はぁ!? 【明鏡止水が発動しました】なんでだよ」
「だって界人サンいないし。もう蓄えも結構あるし。界人サンのとこで、色々取材させてもらいたいなーって」
取材って……。
「まさかおまえ、異世界を取材したいのか?」
「いぐざくとりぃ! だってこんな面白そうなもんが、現実にあるんすよ!? マンガのネタになるじゃあないすか!」
キラキラした目でそういう。
「もちろん界人サンの力のことは伏せるっす。だからここに置いてくださいっす」
「ちょ……なんでだよ?」
「へ? そんなの、界人サンのこと好きだからに決まってるじゃないっすか?」
ん?
んん!?【明鏡止水が発動しました】え、好きって……す【明鏡止水が発動しました】。
「冷静になりなさい。俺は大人で、なぎは子供だろう?」
「あはは、うちもう18っすよ? 結婚できるし、赤ちゃんだって作れるっす。男を悦ばせる術だって会得済みっすよ?」
ちろ、と舌なめずりして、手で筒を作り、上下に動かす。やめろ。
「いいじゃん、れーこチャンだってここに置くんでしょ? ならうちも置いてくださいっすよ」
「いやまだ置くとは……」
麗子は潤んだ目で俺を見つめてくる。
「お願いします……飯山さん……もし断られたら、わたし、罪悪感で……死んじゃうかも……」
おいおいなんだよ、どうしてこうなるんだよ……。
ああもう……!
「わかった、わかったよ。だから自殺なんてしないでくれ」
「はい♡ わかりました♡」
はぁ……。
大変なことになった。
『奴隷契約を結ぶんだな?』
「はい! 喜んで!」
『ではすぐ準備をしよう。しばし待て』
フェンリルが口を開くと、俺と麗子を覆うように、巨大な魔法陣が出現する。
「これは?」
『奴隷契約の儀式魔法だ。ほれ、接吻せよ』
「は、【明鏡止水が発動しました】。接吻って、キスのことか?」
『そうだ。古より契約は、粘膜での接触と言われてる。それとも、ここで性行為でもするか? ん? それでもいいぞ』
そんなことできるわけないだろ!
しかし……まじか。キスなんて……。
「俺となんてしたくないよなぁ」
ぐいっ、と麗子が俺を抱き寄せて、向こうから、情熱的なキスをしてきた!
【明鏡止水が発動しました】
ぷは……と麗子が唇を離す。
すると、彼女の首に、黒い革の首輪が出現する。
ともすればおしゃれなチョーカーに見えなくはない。
『これで契約完了だ。これよりそこの女は、主の所有物となった。主の命令には絶対服従する。また今回の契約は、せいどr……』
「うわ! すげええ! 魔法っすよ! 急に首輪が出てきたっす! すげええ!」
なぎが麗子の首輪に触れて、すごい喜んでる。
ん? 今、フェリが、なんか重要そうなことを言ってなかったか……?
「ふふ……♡ これで、わたしは、飯山さんの……ううん、ご主人様の、所有物になれたんですね……♡」
なんか、うれしそうだな、麗子……。
え、もしかして、そういう願望もってたり……?
「これから一生をかけて、償って参りますので、ご主人様、よろしくお願いします♡」
「あ、うちも~。よろしくっす~!」
……こうして俺は、JKと同居することになった。
しかも、一人は奴隷となった……。どうしてこうなるんだよ……。
フェリは小さくつぶやく。
『……今回は男女の契約、つまり性奴隷契約なのだが、まあ問題あるまい』