表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/241

76.公安、界人を神認定する



 界人が停止者ストッパーの能力を打ち破った、一方その頃。

 公安の刑事……贄川にえかわ 無一郎むいちろうはというと。


「はあ……はあ……やばかった……」


 彼は界人の家からほど近い、駅のトイレの中にいた。

 個室に座り込んで、簡易の治療キットで止血したところである。


停止者ストッパー……やはり、レートSの練能力者れんのうりょくしゃの力は桁外れだ。応援を呼ばねば……」


 無一郎はスマホを取り出して、公安に連絡を入れる。


『はいはい。生きてて何よりだよ、変身者トランスフォーマー


 電話の向こうから聞こえてきたのは、女の声だ。

 

見晴者レイカー……」


 電話の向こうにいる女……見晴者レイカー

 彼女もまた公安の人間であり、練能力者れんのうりょくしゃだ。


見晴者レイカー。君は、一部始終を見ていたのだろう?」

『もちろんだよ。停止者ストッパーの嬢ちゃんに撃たれた君が、なんで生きてるのかもね』


 停止者ストッパーと相対したとき。

 無一郎は空に向けて銃を撃った。


 一瞬、停止者ストッパーの意識が空に向いた。

 その瞬間、無一郎は髪の毛を一本抜いて、無一郎の姿に変身させた。


 そして自分は、そのすきに小さな虫に変身し、難を逃れたのだ。


『変身の能力って便利だね。影分身みたいなことまでできるなんて』


 とはいえ、分身体には複雑な命令は下せない。あの場でやられたフリ以上のことはできなかった。


「そんなことはどうでもいい! すぐに異次元者アンノウンのもとに、公安の練能力者れんのうりょくしゃを送ってくれ! 停止者ストッパーが彼を殺そうとしてる!」


 無一郎はあのあと、停止者ストッパーがどうなったのか知らない。

 だが確実に、異次元者アンノウン……つまり、界人を殺すつもりだ。


 分断者ディバインダーを、界人は倒した。しかし相手は、時間を止めるほどの力を持った、強敵。

 さすがに勝てる相手ではない……。


発火者イグナイター加速者アクセラレーターを送ってくれ!」

『あ、それ大丈夫』

「どうして!?」

『だって、異次元者アンノウン停止者ストッパーを倒したから』



 ……一瞬、頭の中が真っ白になった。すぐにはできなかったが、徐々に、見晴者レイカーの言葉を理解する。


「ま、まてまてまて! 倒した!? 界人くんが!? 停止者ストッパーを? 公安が、長年かけて逮捕できなかった、強敵を!」


 停止者ストッパーは長く、公安にとって頭痛の種だった。

 なにせ相手は時間を止められる。どれだけ追いかけても、追い詰めても、時間を止められたのでは勝ち目がない。


 今まで、何人の公安の刑事、練能力者れんのうりょくしゃたちがその命を落としてきただろうか。


『そ。すごいよね彼』

「い、いや……それが事実なら、すごいってもんじゃあない」

 停止者ストッパーは、公安が組織ぐるみになっても捕まえられなかった相手。

 それを一人で、しかも、こんな短い時間で、倒してしまった……。


「界人君は……やばすぎる。公安っていう組織を凌駕する力を持ってることになるんだぞ……?」

『ほんとね。まったく、彼はすごすぎるよ。たいしたもんだ。さすが、世界魔女の孫ってところだろうね』


 見晴者レイカーは公安の中でも古参に分類される練能力者れんのうりょくしゃだ。

 そんな彼女でさえも、驚く。


 長年公安の活動をしてきて、多くの練能力者れんのうりょくしゃを見てきただろう、見晴者レイカーが、だ。


『あれはね、うちらとは次元が違う。化け物過ぎる』

「……同意だ」

『あれを飼い慣らすのは無理だろうね。下手したら公安だって潰されちゃうよ』

「そ、そんな……」


 まさか、と言い切れない。現に公安が太刀打ちできなかった練能力者れんのうりょくしゃを、単騎撃破してしまったのだから。


『上には、彼を飼い慣らすような愚かなマネは止めとけってうちのほうから言っておくよ』

「……そうだな。公安の手にはあまる……というか、手出ししてはいけない存在だと思う」

『同感だね。あれは、神に近しい存在……というか、まさに神だ』


 神……。

 全知全能の力を持った、特別な存在をそう呼ぶのならば、飯山界人が該当するだろう。


『我々、練能力者れんのうりょくしゃの力を全て持ちあわせ、異世界を行き来できる力を持つんだから、神でしょ、あれは?』

「…………触らぬ神にたたりなし、だな」


 正解、といって見晴者レイカーが通話をきる。

 無一郎は安堵の息をついて、便座に腰を下ろす。


「神……か。まったく……本当にすごいね、君は」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] なんつうかストッパーなんて本気で排除する気なら、認識外から狙撃すれば瞬殺できる雑魚でしかないのに、それを倒して神扱いとか、バカバカしすぎる。 まぁそれ言い出すと練能力者(笑) なんてほ…
[一言] そういえば停止者のバディの赤髪の男は何してるんだろ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ