71.停止者の世界
界人の出現によって、日本にいる悪の練能力者達が、活動を自粛する一方。
Sレートの練能力者……停止者は、そんな状況が気に食わないでいた。
練能力者。それは、逆異世界転生者のなかで、自分のスキルや魔法を、自覚的に使える、特殊能力者達のこと。
停止者の女は、特急あずさに乗って、JR松本駅までやってきた。
「てか遠すぎ。不便すぎでしょ……新宿から三時間よ三時間。はぁ……遠すぎ、まじでクソだわー」
ペロペロキャンディをなめながら、停止者は改札へと向かう。
自動改札に、チケットを【通さず】通り過ぎようとする。
ばたんっ!
ピンポーン。
「お客さん」
「ん? あたしのこと?」
駅の職員が近づいてくる。
「切符入れないと」
「切符? ないわよ」
「は……? 切符も無しに、どうやって電車に乗ったの?」
にんまりと笑うと、停止者は、指を鳴らした。
パチンッ!
「って、あれ? さっきのお嬢ちゃんは?」
職員が見失う中、停止者は改札を通り過ぎていた。
「はー、らくしょー。やっぱりあたしの能力は、世界最強なのよねえ」
停止者の能力は、たしかにこの世界において、破格の物だった。
彼女だけが【世界】でただ一人動くことができる。
公安も、そして組織も、停止者の力を畏れていた。
「むかつくんだよね。そこのポジは、あたしのポジなんだっつーの」
世界中から畏れられる、最強の練能力者。それが、停止者の代名詞のはずだった。
けれど、今ではその地位が逆転してしまっているという。
「なにが異次元者だよ。むかつく。所詮は、あたしの敵じゃないっつーの」
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