67.ただのカレーなのに魔法付与
荒野で勇者ブレイバ君達と偶然出逢った俺。
レトルトのカレーを出して、あげた。
「さ、食い終わったし、子どもは寝る時間だ。それに寒いだろ外」
日が落ちてきて、かなり肌寒く……。
……あれ?
なんか体がぽかぽかするな。
「あったかいです! カイト師匠の料理のおかげです!」
「ああ、まあカレーってスパイス利いてるしな」
すると、魔法使いのカリスちゃんが、ふるふると首を振る。
「違うわ、師匠。魔法が付与されてる」
「え? なにに?」
「このカレーによ!」
……はぁ?
何言ってるんだろ。
「ただのレトルトカレーだぞ?」
「でも、耐寒の魔法が私たちに付与されてるわ」
「まじで?」
俺は鑑定スキルを使う。すると、確かにカレー食った全員に、耐寒のバフがかかっていた。
「フェリ、どういうことだ?」
「主の料理を作る、という動作が魔法になったのだろう」
「魔法に……なる?」
フェリはお腹をぽんぽんさすりながら言う。
「高い位の魔法存在は、動作そのものが魔法になる。吐息が上級魔法になったり、言葉に力が宿ったりな」
「言霊ってやつか」
「しかり。高い魔法適性の持ち主は、呪文の詠唱を必要としなくなる。そしてそのうち、魔法を使うという意識をせずとも、動作そのものが魔法に変わる」
無意識に魔法を使うようになる、みたいなことなのだろうか……。
「主は世界最高の魔法使いだからな。その動作が魔法となったのだろう。料理を作ることで、バフとなる魔法だ」
「そんな魔法ってこの世に存在するのか……?」
ふるふる、とフェリとカリスちゃんが首を振る。
「聞いたことないわ、料理がバフ魔法になるなんて!」
「世界広しといえど、主くらいだろう。ようは、主のオリジナル魔法ってやつだな」
「オリジナル魔法て……しかも、料理っていっても、俺ただカレーを温めただけなのに……」
現実じゃ子どもだって出来ることだ。
「おそらく、まれびとの称号持ちであることも影響してるだろう」
世界扉を得たときに、手に入れた称号のことだ。
成長速度が爆速になるってやつ。
「元々高い魔法適性に加えて、まれびとによる成長チートも加わり、動作が魔法になるレベルの魔法の使い手となったのだ」
「す、す、すごいわ……! さすが師匠ね! 勉強になるわ……!」
カリスちゃんが今のことをメモしてる。そんなメモすることだろうか……。
「! そうかわかりました! 師匠!」
ブレイバくんが、何かに気づいたような表情で言う。
「おれらに、修行つけてくれてるんですね!」
「……はぁ」
修行……?
「カリスに魔法の勉強を教えてくれたじゃないですか! くう~~~~~! やっぱり師匠は優しいです! なんだかんだ言って、修行つけてくれてるんですから!」
……ああ、これ修行になってしまうのか。
まあたしかに、凄い魔法を披露した、って結果的にはなってるし。
「「「勉強になります!」」」
そんな気全然ないんだけどぉ……?
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