66.カレーすげー
荒野でブレイバ君達と再会した。
こんな寒空のなかで、敷物の上で野宿しようとしたので、テントを分けてあげたら凄い感謝された。
「主よ、腹が減ったぞ」
フェリが俺に空腹を訴えてくる。そういやメシがまだだった。
まあ現実や館に戻ってもいいのだが……。
彼らを置いてけないよな。うん。
あとでわかったのだが、世界扉は、たとえ俺が一緒にいたとしても、異世界人には使えないらしい。
あくまで持ち主である俺が通るための扉ってことだな。
まあそれはおいといて。
「カレーで良いか?」
「うむ! 主のカレーは最高だ!」
「つっても、手作りじゃないんだが」
「む? どういうことだ」
俺はバーナーと小型の鍋を用意する。
お湯を作って、そのなかに【それ】を投入。
「「「じ~……」」」
……フェリと、そしてブレイバ君達が俺のやることを凝視する。
基本現実のものって、こっちじゃレアなもんだからな。珍しいんだろう。
「…………」
「「「じ~……」」」
や、やりづらい……。
あ、そ、そうか。腹減ったのかこいつらも。まあ……しょうがない。
「おまえらの分も作るから、ちょっと離れてて」
ブレイバ君達が俺から距離を取る。素直……。
「アレは何かしらっ?」「見たことない魔道具ですわね」「魔力を感じさせずに火をたくなんて! すごいわ……どんな魔法使ってるんだろう?」「それを解析するのも、修行の一環では?」「! それか!」
どーにもブレイバ君以外の勇者パーティ(魔法使いちゃんと聖女ちゃん)も、俺が師匠的ポジションだと思ってるようだ……。ちがうのに……。
「主よ、なんだこれは? 料理にしてはにおいがしないぞ?」
フェリが不満そうに尻尾と耳を立てて怒りをあらわにする。
基本的に料理っていいにおいするもんな。しないから、料理じゃないって思って怒ったのだろう。
「これはレトルトのカレーだ。あと飯ごう」
「れとると……? はんごー?」
やがて飯ごうでご飯が炊き上がる。
ひっくり返して置いた蓋をはずす……。
「おお! 炊きたてのコメ! こんな小さな器でできるのだなぁ!」
フェリはコメっていえば、電子ジャーで作る物って思ってるらしい。異世界人なのに、なんだかちょっと現代的だ。
今の子もなんか、スーパーに置いてある切り身が、海で泳いでるっておもってるらしい。
「師匠! この白いのはなんですか!」
「米だ」
「こめ?」
こっちにはないのか……。まあフェリも食ったこと無かったみたいだしな。
器に米をよそって、レトルトパウチを切って、カレーをそそぐ。
「おお! カレーだ! なんだカレーではないか!」
「だからそう言ったろ」
「くれ! くれー!」
「はいはい。どうぞ」
人数分作って置いたので、ブレイバ君達にも振る舞う。
彼らは不思議な食べ物に、食べ方がわからず首をかしげていた。
が、フェリがぱくりっ、とカレーを食べると……。
「~~~~! うまいぞ! 主の作るものより、ちょっと味は落ちるが、これもなかなか! うーまーい!」
ブレイバ君達はフェリのリアクションに戸惑いつつも、食べる。
「「「!!!!!!」」」
彼らは……泣いていた。
え、ええー……泣くのぉ?
「なに……これ……こんな……うま……」
「おいしすぎて……ぐす……うう……」
「う、うめえええええええええええええええええええええええええ!!!!」
お、大げさじゃないの……?
「師匠! やばいです! こんなうまいもんはじめてです!」
「いいの、ししょう? 世界最高に美味しい料理じゃないのこれ?」
魔法使いのカリスちゃんまで、師匠呼びになってた。まあいいけど、世界最高の料理って……。
「ただのレトルトなのに……」
「うまい! うまい! うますぎるぅうううううううううううううう!」
まあ、料理が発展していないこの世界じゃ、たとえレトルトでも、美味しく感じるのだろう。
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