63.やはり彼は世界を救う賢者(誤解)
カイトが商会を後にした。客間に残された商人、クゥジョーが「ふふっ」と笑う。
「なるほど……口ではああ言いつつも、やはりカイト様は、世界平和のために動いていられるのですね」
カイトはクゥジョーに問いかけてきた。【人の寄りつかない場所を教えてくれ】と。
だから、クゥジョーは教えたのだ。【化け物が住んでいるせいで】、人が寄りつかない場所を。
「七獄……人外魔境、奈落の森、妖精郷にならぶ、世界四大秘境の一つ」
世界四大秘境。強力な化け物が跋扈する、危険地帯。
そんな危険地帯に、なぜわざわざ、カイトが行くのか……?
それは、世界を救うためにほかならない。
人が寄りつけない場所へ行き、そこに居る化け物を倒しに行くのだろう。
世界に平和をもたらすために。勇者の導師として。
「おっと、そうでしたそうでした」
ぱちんっ、と指を鳴らすとクゥジョーの秘書が、レターセットを持ってくる。
クゥジョーはそこに、『賢者様は七獄に向かわれました』とかいて、秘書に渡す。
「これをフクロウ便で、勇者さま達に送りなさい」
ブレイバから言われていたのだ。カイトが現れるようなことがあったら、居場所を教えてほしいと。
「やはりカイト様。あなたは世界を救う賢者様なのですね。ふふ……その役に立てるのでしたらこのワタクシ、全力でサポートいたしますよ!」
……しかし残念ながら、カイトは別に賢者でもないし、世界を救うなんて大それたことは、たくらんでいないのであった。
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