61.何もしてないのにキャアキャア言われる(困惑)
イージスにゲェムボゥイをプレゼントした後。
俺は、世界扉を使って王都へ向かった。
こないだ勇者ブレイバくんと決闘し、防具とか諸々をゲットした。
でもなんか年下からカツアゲしたいみたいで、とてもダサい。
でも 換金しちゃったので、俺は新しい防具類を作った。
で、それをブレイバ君に渡しに、王都に来たんだけど……。
「賢者様よ!」「紅の賢者様が王都に来てくださったぞ!」「きゃあ! かっこいーーーーー!」
……王都に着た途端、王都民たちに一斉に取り囲まれた。
みんなから好奇のまなざしを向けられ、黄色い声援を浴びせられる俺。
「な、なんだぁ?」
「随分と人気者になったのだな、我が主よ」
「いやなんで? 俺何かしちゃいました?」
人間に戻ったフェリに尋ねるも、彼女はわからないとばかりに肩をすくめる。
ええい、どうしてこうなった。誰か説明をしてくれっ。
「通してください! ああ! 賢者様!」
「クゥジョー!」
人混みをかき分けて近づいてきたのは、翼を生やした商人のクゥジョー。
銀鳳商会っていう、でかい商業ギルドの、トップをやっているやつだ。
「再び王都に来てくださったのですね!」
「あ、ああ……ちょっとこの騒ぎなんなんだよ? 説明してくれ」
一瞬クゥジョーはきょとんとした顔になるも、直ぐに得心がいったようにうなずいて言う。
「わかりました。ご説明いたします。場所を変えましょう」
「たすかる」
ということで、俺はクゥジョーに連れられて、銀鳳商会のギルドホールへ向かう。
道中……。
「賢者サマー!」「こっち向いてください!」「きゃー! すてきぃ!」「抱いてぇ!」
……と名前も顔も知らない王都の民たちから、キャアキャア言われまくった。
な、なんなん? これ……。
俺何もしたつもりないのに、どうして好感度マックスなわけ?
むしろびびる……というか引くわ。
やがて、クゥジョーのギルドへ到着する。
立派な石造りの建物だ。
中に入ると、一斉に俺に注目が集まる。またか。
「賢者様!」「紅の賢者様!」「いらっしゃいませ!」
たしかに俺は紅のローブを着ている。これは、万里ばあちゃんからのプレゼントの品だ。
だから捨てることができず、異世界に来たときは着ている。鎧にもなるらしいし。
しかしさっきから紅の賢者、賢者……って、もしかして……。
「俺のこと……?」
「「「そのとおりです、紅の賢者様!」」」
んー……何か前にもこんなことあったような……。
ま、いいや。忘れたってことは重要じゃないってことだろうし。
クゥジョーによって俺はものすごい豪華な部屋に通された。
客間……じゃなくて、ギルマスの部屋らしい。
なんかふっかふかの豪華なソファに座らされた。なんだこの好待遇……。
「カイト様。あなた様は今、とても人気がおありなのです」
「まあ、なんとなくわかってたけど、なんで?」
するとクゥジョーはこんなことを言った。
「勇者様の導き手……紅の賢者として!」
………………はぁ?
勇者の、導き手ぇ……?