60.異世界にゲームをもちこむ
無一郎君の件が(無理矢理)片付いた俺は、フェリと一緒に異世界へ転移した。
「あー……めんどくさかった」
「あれはまたそのうち来そうだぞ、主よ」
俺の背後には人間姿のフェリがいた。
「あれ、おまえ元の姿に戻らないの?」
「最近はこっちの姿の方が、コンパクトで良いことに気づいてな」
まあ確かにでかいとエネルギーも無駄に消費しそうだしな。
あの大きな魔獣の姿のときも目立って仕方なかったが、今の美人な姿でも、十二分に目立ちそうだが。
「……お帰りなさいませ、ご主人様」
俺たちがやってきたのは、異世界にあるばあさんの洋館。
館の中に転移すると、少し間を置いて、メイド姿のエルフがあらわれる。
「よ、イージス」
彼女はイージス。俺が購入した奴隷だ。
今は異世界でこの館を管理してもらっている。
ぶすっとした表情なのはデフォルト。ちょっと、いやかなりプライドが高く、人間に従うのがいやでしょうがないらしい。
それでも奴隷という立場であるため、主人である俺にいやいやと従わなくちゃいけないのだ。
「こっちは変わりない?」
「……そうだの。わらわ以外にこの館を訪れるものはおらん」
「そうかい。そりゃ重畳。暇なときは外出してもいいぜ?」
周りを見ると、きれいに整理整頓されてるみたいだし。
掃除をして、管理までしてくれるのなら、それ以外で何をしても俺は良いと思っている。
「別にわらわは、したいことはない」
「主とするエロいこと以外?」
きっ、とイージスがフェリをにらみつける。
フェリはどこと吹く風。
まあでも暇なのはよくない。
なんかずっと拘束してるようでさ。
「ということで、娯楽をプレゼントしよう」
俺はアイテムボックスから、携帯ゲーム機を取り出す。
秋葉原で売っていた、中古のゲェムボゥイだ。
「なんだこれは?」
「パズルゲーム」
「ぱ……げ?」
聞き慣れない単語だったか。俺は乾電池を入れて、スイッチを入れる。
「なっ!? なんじゃこれは。画面が、動いておる!? 魔導書の類いではなかったのか!」
ああ、そうか。フェリと違ってイージスは現実にきたことがなかったんだっけか。
フェリは「ふ、液晶画面ごときに驚きよって」と余裕ぶっこいてる。
でも俺は知ってる。はじめてテレビを見たとき、フェリもまたイージス同様に驚きまくっていたことを。
「異世界の遊戯だよ」
「なんと……異世界人は、こんな高度な遊びをしているのか……すごい……」
すごいだろうか。
ソフトはパズルゲームにした。あんまり複雑なのは楽しめないかとおもったのだ。
テト●スのゲームカセットが入っている。
俺は簡単にレクチャー。
するとイージスは、「す。すごい……面白い! おもしろいぞ! こんな面白い遊びは生まれて初めてだ!」といたく興奮していた。
「ゲェムボゥイで満足するなんて、テレビゲームをしってる吾輩からすれば、お子ちゃまだな」
ふっふん、と鼻を鳴らすフェリ。
この子も暇なとき、JKとテレビゲームやってるんだよな。イカがペンキ塗るゲーム。
「どう?」
「面白い! ありがとうじゃ!」
「おう、どういたしまして」
はっ、とイージスが正気に戻る。顔を赤らめてうつむいてしまった。
ほんと、かわいらしいとこもあるんだよなこいつ。
ま、なにはともあれ気に入ってもらえてよかった。
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