50.宝くじを当ててもいないのに150億稼ぐ男
俺は世界扉を通って、現実へと帰還を果たした。
「ふぅ……面倒なことになった」
まさか新人冒険者だと思った相手が、勇者だったとは。
後ろからフェンリルのフェリが、世界扉をくぐって、現実に降り立つ。
でかい獣の姿から、美しい人間の姿へと戻る。
「くく……面倒になったなぁ主よ。あれで世界中に、知られてしまったぞ。勇者より強い賢者が、異世界にいるとはなぁ」
「何でおまえは楽しそうなんだよ」
「主がほめられると、下僕である吾輩もうれしい」
そういうもんかね……。
しかし勇者に、そして周りの奴らに力を知られてしまった。
スローライフのためには、何か対策を講じる必要があるな。
まあ一番手っ取り早いのは、もう異世界に行かないこと……だが。
「そうなると、こっちの金を、楽して稼ぐ手段がなくなるのは痛手だな」
異世界で適当に狩りをしたり、アイテムを見つけてきて、換金する。
それだけで莫大な金が楽して手に入る。だから異世界に行かないって手はないのだ。
「で、主よ。先ほどの若者からもらった装備一式は、いったいいくらになるのか?」
世界扉はばあさんの館の、土蔵の中に開かれてる。
俺たちは土蔵を出て、本宅へと向かう。
「どうだろうな。まあでも、勇者の武具っていうんだから、けっこーするんじゃないの?」
まあもっとも、それ売って良いのか問題ってのが発生するわけなんだが……。
「あ! 界人さんおかえりっすー!」
軒先でスケッチブックに何かを描いていたのは、漫画家の南木曽なぎだ。
なんだかひさしぶりに彼女と会う気がする。
まあ異世界での日々がいろいろありすぎたからな。
なぎはスケッチブックを放り出して、俺に抱きつく。
「長かったすね」
「まあいろいろあってな」
「ほほー! なにしてんたんすかー! おしえてほしっす!」
俺は簡単に、向こうでの出来事を話した。
ややあって、軒先に座る俺たち。
「はえー……すごいっすね。いろいろやらかして、さすが界人さんっす」
「それほめてるのか?」
「もちろんっす。んで、勇者君からカツアゲしたアイテムはおいくらで?」
「言い方よ」
俺には等価交換っていうスキルがある。
異世界で手に入れた素材や財宝を、現実のお金に還元するスキルだ。
勇者からもらったのは、剣と鎧、そして盾だ。
「防具はどんぐらいか……」
5,000,000,000円
「…………」
半透明なステータスプレートの上に、表示された金額が、おかしかった。
「界人さん、どんなもんすか?」
「これ……」
「いちじゅーひゃく……え? ご、五十億円ぅうううううううう!?」
宝くじで大当てしたのと、同じくらいの値段がついていた!
しかもこれ、鎧だけの値段だ!
「剣も盾も同じ……値段」
「つ、つーことは……あの勇者くんの一式で、150億円!? す、す、すげえええっす!」
いやすごいってレベル、遥かに超えてしまってるんだが……!?
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