31.ベヒーモスさんそんな強いですか?
さて、ベヒーモスを魔法でワンパンした俺。
「換金っと」
俺には等価交換スキルがある。
異世界の素材やアイテムを、現実の世界の円に換金してくれるというもの。
もっとも、電子マネーでだけど、最近は電子でほとんど買い物ができるので、全然不自由しない。
『どれくらいの価値があるだろうかな』
「さぁ。まあでもワンパンで倒せたし、そんなでもないんじゃないか?」
俺はステータスウィンドを開く。
等価交換スキルを選択。
死骸となったベヒーモスを選択し、OKを押す。
ベヒーモスの肉片が消えて、俺の前に金額が表示される。
「ええと……なになに……いちじゅう……ひゃく……………………」
お、おかしいな……?
俺の、見間違いだろうか。
『主よ、どれくらいになったのだ?』
「あ、いや……なんか……ゼロがやばいくらいあってさ……」
¥100,000,000
『いくらだったのだ?』
「なんか……一億円って、書いてあるんだが……」
いや、いやいやいや!
一億って! ふざけすぎだろ。小学生の決めた、おままごとの金額じゃないんだから。
「もう一度冷静になろう……ええと、いちじゅうひゃく……」
何回数えても、一億円なんですが!?
「な、なあイージス」
「なんじゃ?」
俺の隣で黙ってみてた彼女に尋ねる。
「こ、古竜って……もしかしてめちゃくちゃ希少価値高いの? 強かったり?」
くわっ、と彼女が目を大きく見開く。
大きくため息をついて言う。
「……然り。古竜はSSランクモンスターじゃ」
「どんなもん?」
「Sランクは複数の街が滅ぶ程度の危機。【災害級】とも言われてるな」
「SSは?」
「国が滅びる程度の危機。【大災害級】。ちなみにSSSもあるが……これは、【世界滅亡級】もしくは【魔王級】と呼ばれてる」
つ、つまり……俺は国を滅ぼすモンスターを倒したってことか……!
「じゃあ……一億円は、妥当な値段……なのか?」
てゆーかそんなやべえモンスターが、なんでこんな森をうろちょろしてんだよ……。
『主よ、どうだった?』
「なんか、めっちゃ儲かった」
『具体的には? コンビニアイス何個ぶんだ?』
すっかり現実の価値観に染まってきてるフェリ。
だがまだ金銭感覚はないらしい。
「えっと……一生山ほど食っても、それでもまだあまりあるくらいの数の、アイスが買える」
『う、うぉおおおおおおおおお! す、すごいではないかー!』
それで価値がわかるってどうなんだろうか……。
ぶんぶんぶん! とフェリが尻尾を振りながら歓喜の雄叫びを上げる。
『これでまた美味しい物がたらふく食えてラッキーだなぁ!』
「まあ、そうだなぁ」
つーか、あんなちょっとワンパンしただけで、一億稼ぐって……。やばいな。
一分も労働してないぞ。異世界……イージーモードすぎない?
「…………」
そんな俺の姿を、イージスは異質な物を見る目で見ているのだった。
★
《イージス視点》
(なんじゃ、あの化け物は……)
イージスは、たった今ベヒーモスを討伐して見せたカイトを見て、そう感想を述べる。
化け物。そうとしか言いようがない。
イージスは知っている。ベヒーモスの脅威を。
あの恐ろしい古竜は、魔法を完全に無効化する外皮を持っている。
ゆえに、いにしえの時代から、ベヒーモスは討伐不可能の化け物と言われた。
いくつもの国が滅びたと聞く。そんな化け物を、あの男はあろうことか、魔法を使って倒してみせたのだ!
(次元が違うってレベルじゃない……これが、まれびとの力……すごい……なんてものじゃない……)
戦慄を禁じ得ない。あんなたいしたことなさそうな男が、こんなに強いなんて……。
「……っ」
強いオスに惹かれかける自分がいて、己を律する。
自分はエルフの国の姫だったのだ。
人間ごとき下等なサルに、惹かれることなんて、あってはならないのだ……!
……そう思いながらも、少しばかりの胸のときめきを覚えたのは、紛れもない事実ではあったのだった。
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