28.エルフの姫様のプライドをベッドでたたき折った結果
銀鳳商会のギルドマスターから、元王女のエルフ奴隷を購入した。
のろい持ちだったんだが、俺の魔法【解呪】を使うことで、しゃべれるようになったわけだ。
さて。
俺は世界扉を使って、いったんばあさんの家へと帰ってきた。
「な、なんじゃ、この魔道具は!」
扉をくぐっての、イージスの第一声。
彼女は背の高い金髪の、スタイルのいいエルフだ。
年齢はいくつくらいなんだろうか。
姫様だからか、しゃべり方がちょっと古風だ。異世界ファンタジーにこんな日本風なしゃべりかた違和感覚えるけど。
まあでも実際にイージスなど、異世界人って日本語しゃべってないんだよな。
異世界語を俺の耳に届くときに、日本風に変換されてる感じ。
だから、まあ一番適した形がこれってだけなんだろう。
「お、おい貴様!」
「え、なに?」
「今のはもしや、せ、世界扉ではないのか!?」
「ああ。なんだ、知ってるのか?」
まあエルフで、長生きしてるだろうし、知ってるか。
「し、信じられぬ……国宝級、いや、神話級のアイテムではないか。そのようなものを、貴様のような素性の知らぬ、卑しい輩がもっておるとは……」
こいつしゃべれるようになったわけだけど、かなり口悪いな。
「あのね、イージス」
「呼び捨てにするな人間」
腕を組んで、ふんぞり返っているイージス姫。
これじゃどっちが主従かわからんぞ……。
「わらわのほうが年が上じゃ。1000は超えておる」
「ほぉ……」
1000超えてるのに、見た目10代後半から20代前半なのか。
まじでエルフって長生きなのな。
「人間よ、わらわを窮地から救ったことは褒めてやるぞ」
『ふはは、なんだこの女、奴隷の分際で偉そうではないか』
フェンリル姿のフェリが面白そうに、大口を開けて笑う。
確かに偉そうだなこいつ……。俺のが主人なのに。
「命令も、まあ首輪の魔法が効いているから、聞いてやってもいい。しかし心まで屈したわけではないし、貴様を主とは決して認めぬからな」
マジで偉そう……。
まあ、長く生きてる+元王族、相手は下等な人間、となれば、こんな態度になるんだろうなぁ。
まあでもフェリも長く生きてる、すごい神獣なのだが、俺には好意的に接してくれてるが……。育ちの問題だろうか?
「ほれ、人間。早くわらわを部屋に案内せい」
「…………」
うーん、この調子でずっと偉そうにされても困るんだが。
『そういうときは、命令するといいぞ』
「命令?」
『うむ。あやつには服従の魔法がかかっておる。主人からの命令は絶対に遵守する』
「それって永続的なもんなの?」
『いや、一時的だな』
その都度命令してても面倒なだけだ。
『なると、手っ取り早く、相手に上下関係をたたき込まねばな!』
「上下関係って……どうやんだよ」
『閨をともにするにきまっとるだろう?』
ね、ねや……って、おいおい、さっそくベッドインかよ。
『よいではないか、もとよりあの女は本物の性奴隷なのだ。抱いたところで何も問題はあるまい』
「まあそうだけど……」
「おい貴様! 何をぐずぐすしておるのじゃ! さっさとせぬか!」
……あー、確かにこの先、ずっと命令形で話されても、不快になるだけだな。
よく知らない女からずっとこんな、きっつい態度と命令口調されるのも、不快感が大きい。
『それに主よ、吾輩は一つ、気づいたことがあるのだ』
「気づいたこと?」
『うむ。それはな、向こうの世界は、いろいろ発展してるということだ。こちらより、あらゆる面において、進んでいる』
? それって今更言うようなことか?
『ま、抱けばわかるだろう。おいエルフ女』
「わらわに命令するな、獣風情が」
『ふん。おぬしの主人が貴様との性行為を望んでいるぞ』
じろり、とイージスが俺をにらみつけてくる。
「まったく、汚らわしい男よ。出会ってまだ知らぬ女を抱かせろとは?」
「いやあんたは、そういう奴隷なんだろ?」
「あんた? わらわはイージスだ。敬意を払わぬか、下等な人間が」
……あー、なんだろう。
腹立ってきたな。なんか。
「【イージス、命令だ.抱かせろ】」
「ぐあ……!」
イージスの身体から、くたぁ……と力が抜ける。
なるほど、これが奴隷魔法なのか。
ふらふらと立ち上がって、俺のそばにやってくる。
……ふわりと、めちゃくちゃ良い匂いがした。
彼女が嫌な顔をしながら、俺にくっついてくる。
「あ……ぐ……あ……わ……わらわ、を……抱いて……くだ、さい……」
ものすごく嫌そうな顔でそう言う。
奴隷の魔法で、言いたくもないことを言わされてる感じなのだろう。
『くく、そんな強がりがいつまで通用するかな、エルフ姫?』
「なんじゃと?」
『いっとくが貴様の知ってる男と、そこの我が主とでは、物がちがうぞ?』
もの?
「ふん。わらわとて房中術は心得ておる」
ぼーちゅー?
「王族は一定の歳をとると、王族教育の一環で、男と寝るのだ。子を作るため必要な訓練じゃ」
「ああ、あんた処女じゃないのな」
「当然じゃ。わらわをそこらの生娘と同じにするでない」
ふん、とイージスが鼻を鳴らす。
「貴様に買われてしまった以上、仕方ないから満足させてやろう。だがわらわが王族教育でならった房中術は、そんじょそこらの男なら、秒も立たずに昇天してしまうぞ? 貴様の粗末なものがどれくらい持つかな」
……なるほど、セックス術みたいなもんか。
それ込みで、イージスの値段が憶とかいう、バグった値段だったのな。
「まあいいや。ほら、ベッドこっちだから」
「ふん! どれ見せてもらおうか。貴様の粗末で貧弱なものを」
★
で、2時間後。
『主よ、どうだったー?』
ひょこっ、とフェリが顔をのぞかせる。
ベッドの上では、全裸のイージスが白目をむいて、気絶している。
「いやこいつ……ザコすぎない?」
あんだけ大口叩いてた分際で、始める前からノックダウン寸前だったんだが。
『くく……やはりな……』
「どういうこと?」
『主よ。この世界は現実と比べ諸々、未熟だといったろ?』
「ああ、そういやそうな」
『それはセックスについてもなのだ』
え、どういうことだ……?
『この世界は、現実と違って性に対する技術と経験、知識が不足しているのだよ。現実はほれ、AVや本などで、行為を手軽に学習できるだろう?』
「ああ……。そっか、こっちには学習するお手本みたいなのがないのか」
『しかり。ゆえに、性行為はどうしても、口伝や、親からみたいな、狭い知識の伝承となる』
確かにこのエルフ、前戯も知らなかったもんな。
『またこちらの女は自慰を知らぬのだよ』
「まじかいな……」
だからあんな、ちょっと触っただけで魚みたいびくんびくんと、飛び跳ねていたのか。
『そして最大の違いを教えてやろう』
「おう。それは?」
『異世界人は、現実の人間と比べ……あそこが……小さい!』
……。
………………。
……………………。はぁ?
「え、あそこって、これ?」
俺の【息子】を指さす。
『そう。たぶん食ってるものの違いなのだろう。異世界人の男はみな、ポークピッツみたいなもんで、すぐに出してしまう。一方で、現実の人間たるおぬしのそれは大きく、また、長く持つ』
「な、なる……ほど……」
異世界人のあそこって小さくて、精力もあんまなのか……。
まあフェリが言うとおり、食事の質が向こうとこっちとじゃ違うもんな……。
『結果、そこの偉そうにしてたエルフ女は、生娘みたいに嬌声をあげながら、果てまくったというわけじゃな。さすが我が主よ!』
そうだったのか……。
まあ、普段は偉そうにされても、ベッドであんだけ弱々のザコだったのを思えば、多少悪口も我慢できる、かな?