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230.出会い
ばーさんの倉で、しゃべる妖刀を見つけた。ま……だからなんだって話だがな。
別に妖刀に興味はねーし。
おいてくかな。
『まあまてまて。おまえこの家の人間だろう?』
「まあな。それで?」
『ということは、ラブマリィの親類縁者ってことだろう?』
「……そうだな」
こいつ、ばーさんの本名を知ってる……?
何者だ……?
『言ったろう? 我は生きたまま妖刀になった存在だと。生前、我も異世界にいたのだよ』
「ほぉ……」
こいつももと異世界人らしかった。転生したら妖刀だったってか……?
『ここでわれと出会ったのも何かの縁だ。どうだ、おぬし天下がほしくないか? 我を使えば天下など容易に……』
「いらん」
俺は倉を出る。
『まてまてまて。なんだおまえ、いらないのか? 力が』
「いらねえよ……もうこれ以上」
ただでさえ、今俺には神の力があり、それを持て余してるのだ。
これ以上強くなっても、使いこなす自信なし。