224.対策
天使トゥアハーデちゃんが、うちに攻めてきた。
「うっめー! 肉にビールって、うっめー!!!」
……俺を倒しに来たはずのトゥアハーデちゃんだったが。
豚肉の生姜焼きをくって、ビールでそれを流し込んでる。
……その姿からは、天使という感じがまるでしない。神聖さのかけらも無い。単なる晩酌時のおっさんだった。
あぐらをかき、ベロベロによっぱらいながら、ビールを飲む姿はまさにおっさん!
「満足したら帰れよ……」
「おしゃけーおいちー♡」
「日本語が通じてない……!」
べろんべろんに酔ってるせいで、話が通じてなかった。
やれやれ、これはこのまま一泊する流れだな……。
『うまいな、これは』
はぐはぐ、とフェルが皿の上に乗ってる生姜焼きを食べる。
口元がソースでべったり汚れていた。こちらも神獣フェンリルって感じがまったくしない。
「界人さん……これからどーするんすか、この人……?」
同居人のなぎが、トゥアハーデちゃんを指さす。
どーするか……なぁ。
「まあ明日追い返すさ」
「帰りますかね……?」
「それは……どうだろう」
わからん。まさかと思うがこのまま居着くってことはないだろう。
一応、神の遣いとしてやってきて、俺を抹殺しにきたわけだし。
「天界? の神様も、アホなことしますね。界人さん襲うなんて。勝てるわけ無いのに」
「いやいや、そんなことないだろ……」
「でも現実でも異世界でも、無双するような、神の力もってるじゃあないっすか」
いやまあそうなんだけどさ……。
「でもやっぱり天の神を相手するとなると、ちょっと怖いな」
「じゃあ……対策とか取るんすか?」
「そうだなぁ」
どういう対策が取れるかわからんが……。
「一応、ばーさんに聞いてみるか」
俺の祖母は、世界魔女と呼ばれる、凄い魔女なのだ。
彼女なら何か知ってるやもしれん。
ということで、俺は異世界にいるばーさんのところへ行くことにしたのだった。