214.理由
空から天使が降ってきた。
で、俺の張っていた(無自覚)結界にぶつかって、気を失った。
なんなんだろうね、この子。
白いワンピースに白いはね。まさにザ・天使ってかんじ。
外見年齢は10代後半くらいかな。
ショートカットで、メリハリのあるボディ。
武器らしい武器は携帯していない。
武人ってかんじでもないんだよなぁ。俺を倒そうときたらしい(フェル曰く)が、こんな子がどうやって俺を倒そうっていうんだろうな。
「はぁ……次から次に厄介事が……」
天使を放置しておくのが可哀想だったので、縁側に寝かせる。
用件くらいは聞いてやろう。
起きるまでの間ひまだったので、落ち葉を集めて焼き芋。
芋は、うちの敷地にいつの間にかあった、家庭菜園から拝借した。
なぎ曰く、突然畑が出現したそうだ。なんだそりゃ。
フェルはそれを見て、『土地神がおぬしのために用意したのだろう』と推測を語った。
土地神ってのは、この日本に住んでいる神々のこと。
そいつらは俺の庭にある露天風呂に勝手に入ってくる。その代金的な感じで置いてったのか……。
「って、そうだフェルよ」
『なんだ……じゅるり……まだか芋は』
俺の隣でフェルが伏せ状態で言う。
どうにもこいつは焼き芋を早く食べたくてしょうがないようだな。
できあがるのにはまだ時間がかかる。
それに、気になってることがあるので、聞いておく。
「土地神と神って違うの?」
『違うな』
「どう違うんだよ」
『天にいるか、地上にいるかの違い』
「天?」
『そう、天』
フェルが頭上を見上げる。
『神は主に二種類居る。天に住まい地上の人間どもを管理するやつら。そして、地に住み大地を管理するやつら』
ほぉん……。神様には種類があるのか。
『天の神は基本、地上には不干渉を貫いてる』
「え? でも天使やってきたけど」
『基本は、と言っただろう? 地上で看過できないレベルの異常事態が起きたときだけ、神は地上に使いを送るのだ』
……つまり、看過できないレベルの異常事態、って思われてる……ってことぉ……?
「俺が? なんで」
『自分がしてきたことを思い出せよ』
あー……なるほど。
いろいろやってきたからなぁ(遠い目)
『これだけ力を持ち、そして地上の人間たちから崇拝されている自称・神を、天は許さなかったのだろう』
「自称って。別に自分で名乗ってないし」
周りが勝手に言ってるだけだしな。
「しっかし……今までよく見過ごされてきたな俺」
ここに引っ越してきてから結構立つんだが?
『世界には何十億と人間がいるんだろう? その中の一人を見つけ出すのに時間がかかったんだろうよ』
なるほどねえ……