213.天使
現実に戻ってきた。
今度こそゆっくりするぞ……と思った矢先。
なんか、空から女の子が降ってきたらしい。
「あれっすあれ!」
漫画家にして同居人のなぎが、あわてて空を指さす。
……確かに、空から一直線に、誰かが落ちてくる。
落ちてくるっつーか、こっちに向かって突進してきてないかこれ……?
『む……あれは、まさか……』
フェルさんが庭にやってきて上空をにらみつける。
またこれフェルさんは知ってて、俺は知らないってパターン?
しかしいつものふざけた調子ではなく……。
『主よ、気をつけるのだ。あれは天の使いだ』
「ほ……? 天の使い……? 天使ってこと?」
『然り。気をつけろ。天使は……厄介だぞ』
おやまあ、フェル。
いつもなら俺をからかう余裕のあるこいつだけど、今回はそんな雰囲気じゃない。
多分マジで厄介な相手みたいだ。
これはちょっと気を引き締めないといかんな。
しかし、ばあさんの遺産を継いでから、初めてじゃないか?
強敵と相対するのは。
なんだろう、少しわくわくする。
やっとこのチート能力に、拮抗するほどの、強い力を持った敵が現れたんだからな。
「いいぜ、返り討ちにしてやんよ」
ちょっと少年漫画主人公みたいに、言ってみたりする。
で、だ。
その天使は俺のもとへ一直線に落ちてくる。
そして……。
「ぎゃふん!」
……………………はい?
天使は、何かにぶつかっていた。
んで、そのまま気を失い、ふらふらと落ちてきた。
ドサッ!
「「…………」」
俺もなぎも呆然としていた。
さっき、こいつは空から勢いよく、俺を殺しにやってきたはず。
だのに、こいつは何かにぶつかって普通に気絶していた。
「ぎゃふんって……」
『なるほど……くく。どうやら主の結界に負けたようだな、天使のやつ』
そういや、この場所って俺が無意識に結界を張ってるんだっけか。
んで、天使は俺の結界に阻まれて気絶……と。
「………………今回もたいした相手じゃない?」
『みたいだな』
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