206.帰る
俺は呪術師ラビリンに呪いを解いてもらった!
やったぜ!
「これで呪いに苦しまずにすむ! ありがとう、ラビリン!」
「は、はひぃー!」
俺はラビリンの肩をばしばしとたたいて感謝の言葉を述べる。
「おまえ、すげえよ! あんなすごい呪い解いちゃうなんてな!」
じわ……とラビリンはなぜだか涙を瞳に浮かべていた。
「うぐ……ぐうすぅう……うえええええええええん!」
「え!? ど、どうしたよ……?」
「ずびばぜん゛……うれじぐでぇ~……うぇええええええええええん!」
な、泣くほどうれしいことなんてあったろうか……?
「ぐすぐす……こちらこそ、ありがとうなのです! おかげで、すごく、すっごく、すっっっっっごく! 自信が付きましたのです!」
「お、おう……」
自信?
どういうこっちゃ?
ま、俺だけが得してたら、なんか嫌だったし、ラビリンに何か良いことが起きてるんだったらそれでいっか。win-winってやつだ。
「んじゃま、かえろっか」
「はいなのです!」
俺はラビリンに手をかける。
「ほら、フェルもこいよ」
『うむ』
フェル、ラビリンに触れる。でも、二人とも発情はしてない!
ああ、呪い解けたんだなぁ。はぁ……良かったぁ。
「んじゃな、精霊さんよ。って、あれ? いねえ」
精霊のやつがいないぞ?
どこ行った……?
『くくく!』
あ! また笑ってやがるぞ、フェルさん!
「おい何隠してるんだよ。言えよ」
『くく……嫌だ。我はもう主は怖くないしな』
くっそ。まあいいか。
「んじゃ、大転移!」
こうして、俺は闇の大精霊のほこらから、ばーあさんの屋敷へと帰っていったのだった。