02.異世界への転移、チートスキル獲得
俺、飯島 界人は、祖母の家で不思議な鏡を見つける。
そこに手を触れた瞬間、気を失った。
……気づくと、知らない天井がそこにあった。
「なんだ……なにが、起きたんだ?」
少なくとも、土蔵のなかじゃないってことはすぐ理解できた。
雑多なものにあふれていた土蔵と違い、そこはベッド以外何もない部屋だった。
「はは、んな、馬鹿な……」
脳裏に一つの可能性がよぎる。
中学生の時に読んだラノベでは、鏡を通って、主人公は別の世界に来ていた。
気づいたら土蔵とは別の部屋。これって、もしかして……。
「異世界に来た、とか?」
いや、いやいや、どこのラノベだよ。
いやでも、じゃあこの状況はどう説明するんだ……?
「と、とにかく情報集めないとな」
俺は部屋の中を改めて見回す。
木造の部屋だろうか。やたらと豪華なベッドが一つ。そして振り返ると……。
「あの、鏡だ……」
ベッド後ろの壁には、土蔵で見つけた大鏡が置いてあった。
鏡の向こうには、土蔵が映し出されている。
「これって、いったい……?」
【世界扉:ランクSSS】
「うぉお!? な、なんだよこれ!!!」
目の前に半透明の板が出現し、文字列が浮かんできたのだ!
板には、この鏡の説明らしい文章。こんなの、まるでネット小説でよく見る、鑑定スキルみたいじゃないか……。
「鑑定スキル……なんか、聞いたような。気絶する前に……称号がどうとか」
ここが異世界、である可能性が非常に高い。
目の前に現れた半透明な板の文字通りなら、この鏡は世界扉。
そんなものが現実にありえるわけない。
ならば……。
「す、ステータス、お、オープン」
すると、俺の前にまた、半透明の板が出現する。
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飯山 界人
レベル 1
称号 異世界のまれびと
スキル 鑑定、アイテムボックス、ステータス確認、等価交換
(1/2)
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ネット小説おなじみの、ステータス画面だ!
「まじで異世界じゃん……すげえ」
我ながら、あほな感想しか出てこない。いやだって、まじで来るとは思わないじゃん。
「さっきのは鑑定スキルの力だったのか……」
俺はもう一度、世界扉を見やる。
今度は、はっきりと。
「【鑑定】」
【世界扉:ランクSSS。世界を自由に行き来できる。なお、所有者以外は使用不可】
ま、まじで? 世界を自由に行き来できるって……異世界と現実の日本とをってこと!?
これ、リスクとかないんだろうか。いや、あるなら明示されてるだろうし……。
「ん? 所有者ってなんだ。この鏡の所有者って……俺のこと?」
次に俺は称号を鑑定してみる。
【異世界のまれびと:世界扉を初めてくぐったものに贈られる称号。成長速度に補正がかかる。なお、この称号を持たぬものは世界扉を使用できない※例外あり】
つまり、この鏡は俺にしか使えないってことか。
例外ありってのがちょっと気になるな。
【例外:世界扉の所有者と、一緒にくぐることで、別の人間も異世界に来れる】
あ、なるほど……やっぱり俺がいないとこの鏡は使えないわけか。
……だまっとこ。うん、悪用されたくないし。
成長速度ってのは、お決まりだと能力値的なことだろうか?
そういや、ステータス画面が(1/2)ってなっていた。
2枚目もあるってことだろう。
俺はステータス画面を表示する。
(多分この画面を表示できるのは、スキル【ステータス確認】のおかげなんだろう。)
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攻撃力 1
防御力 1
魔法力 1
素早さ 1
運 999
(2/2)
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お、おお……! で、でた……マジで出た。
てゆーか、軒並み低いな!
あと運が999って……いやまあ、世界扉なんてとんでもアイテムを、ただでゲットできたんだ。
すごい運といえる。
……にしても、このステータスは……。
「全部1って……まあ、戦う機会のない現代日本人なら、こんなもんか……」
しかしスライムにすら負けそうなステータスだなおい……。
でも称号【異世界のまれびと】の効果で、成長率に補正がかかってるって言ったっけ。
「てことは……レベルも、ステータスの数値もあがるんじゃないか……?」
やべえ、それがマジなら、すげえことじゃないか。
レベルを上げて無双とかも、できそう。
「ま、まあ……すぐには戦わないけど……絶対」
今こんな貧相なステータスじゃ、勝てないもんな。
「さて……あとは、残りのスキルについて確認してみるか」
鑑定スキルを使って調べたところ、
・アイテムボックス(SSS)
→無限に収納できる。数、大きさ問わず。また中に入れてる間は時間が止まる。
・等価交換(SSS)
→異世界の金貨、アイテムを、等価値の現実の金に変換可能。
※日本円の場合は電子マネー変換
・ステータス確認(SSS)
→ステータスを確認し、調整ができる。
「アイテムボックスは定番として、等価交換……って、やばいな。異世界のものを、日本円にできるんだろう?」
これなら……たとえばこっちで冒険者とかやって、稼いだ金で、もうけたり。手に入れたレアなアイテムを使わずに、金にできるって訳!?
「すげえ……あ、でも電子マネーなんだ」
まあ現実の金(札や硬貨)が謎パワーで増えていたら、さすがにオカミも不審に思うだろうしな。
それに今の世の中じゃ、電子決済で大抵の買い物ってできるし。
「おいおい……まじか……はは、なんか、未来に展望が出てきたぞ!」
俺には異世界を行き来する力がある。
たとえば日本で売ってるライターとか、安く仕入れて、こっちで高く売って、それを日本円に【等価交換】すれば……。
「楽して金儲けできるんじゃないか……ゆ、夢が広がるな……!」
……まあとはいえ、貿易商的なことをするにしても、まずは現状把握だ。
「まだ部屋から出てすらいないからな……物を売るにしても、人のいるとこにいかないとだし。そもそもどこの、どんな建物なんだここ……?」
ひとしきり、俺の持つ力を確認したので、お次はこの部屋のある、建物の探索をすることにした。