197.日本で1番メジャーな神
俺は闇の大精霊に会いに来ている。
最適なルートが視界に映し出されている……が。
「なんか……同じとこグルグルまわってねーか?」
ふと俺は気づいたのだ。
この通路、さっきも通ったってな。
『ふむ……根拠は?』
「壁見てみ?」
俺は壁を指さす。
【→】と矢印が書かれていた。
「俺がさっき書いておいたんだ。この矢印」
『なるほど……。同じ所を回ってる……となると、おそらく精霊のしわざだろうな』
「精霊の?」
『うむ。大精霊が主に試練を課してるのやもしれん』
「試練って……?」
『大精霊が、その人間に力を貸すかどうか、試練を与えると聞いたことがある』
なるほどなぁ。
そういうのよく聞くもんな。力を貸してほしくば力を示せ……みたいな。
てゆーか、それ俺じゃなくて、ラビリンに課せよ……って思うんだが。
「ラビリンどうする?」
「あう……えと……あうあううう……」
ラビリンは何もできない……か。
うーん、じゃあ俺がなんとかしないとな。
「フェル、この現象に心当たりは?」
『そうだな……我らは魔法で作られた空間に入ってしまってる可能性が高いな。ドーナツの形をしており、そこをグルグル回ってるのだろう』
「OK。じゃあ。空間をぶっ壊せばいいんだ……」
な、と言い終わる前に……。
パキィイイイイイイイイイイイイイイイイン!
「は……?」
な、なんか壊れたぞ!?
で、目の前には……でかいホールが広がっている!
あ、あれぇ!?
「なにこれ!?」
『どうやら大精霊の作った空間が、壊れたようだな』
「壊れた!? なんでだよ!?」
『考えるに、主が空間を壊す、と意思をもったからだな』
「やろうって思っただけですが!?」
『神の意思が、現象としてこの現実に現れたのだろう』
「え、なに? 思ったことが実現しちゃうの?」
『うむ。神となれば、わざわざ実行せずとも、思うだけで大抵のことは実現してしまうのだよ』
「こええよ、神……! 神ってみんなこんなやばいことできるの……?」
『いやいや、並の神は無理だぞ。長野神が、そうとう高い神格を得てるからこそできる芸当だな』
高い神格なんてもってるの……? 俺ぇ……。
いやまてよ、そういえば、現実世界で長野神って、結構メジャーになっていたような。
神の力って信者の数に比例するっていうし……。
あ、あれぇ……?
「俺ってもしかして……神の中でも、上のほうなの?」
『今更か』
そっか、今更なんだな……