191.あなたは、神?
森呪術師に呪いを解いてもらうため、森にやってきた俺とフェル。
そこで森呪術師の少女、ラビリンに会う。
呪いを解いてもらおうとしたのだが、彼女は才能が無いという。
「すごいのです……精霊が見えるのです! わ、わ、わー!」
俺たちの周りには、ボンヤリ光る虫みたいなのが飛び回っていた。
これが精霊だそうだ。
「見えてるじゃん」
『この娘は元々見えなかったのだろう』
フェルが説明。
俺から結構離れてる。近くに居ると発情させてしまうらしいからな。
『この娘は、どうやら魔法感知能力に、欠陥があったみたいだな。それゆえ、魔法行使に必要な、精霊を見ることができなかったのだろう』
「いやだから、見えてるじゃん」
『いやだから、主の近くにいて、主の神気に触れた結果、感知能力が正常に戻り、精霊が見えるようになったのだ』
ラビリンには、魔法を見る能力になんらかの障害があったみたいだ。
まあここまでは、わかる。
問題は俺がいたから治るって……なにそれ?
『神とは、人に大いなる利をもたらす。そういうものだ』
そういうものなのだでスルーされてしまった……。
ええ~……俺普通に納得できないんだが……。
まあ、いいか。
「精霊が見えるようになったんだったら、好都合だ。ラビリン、これで呪術が使えるようになるんだろ?」
「え、えと……まだ。精霊さん……闇の精霊さんと契約するひつよーが、あるのです」
「闇の精霊?」
「はいなのです。精霊には六種類あるのです。地水火風、光と闇。呪術には闇の精霊との契約が不可欠なのです」
「ほー……ん。じゃあ契約すれば。こんなにたくさんいるなら、君と契約してくれる精霊が、一匹くらいいるんじゃない?」
「は、はひ! やってみます!」
ラビリンが目を閉じて、むにゃむにゃと呪文を唱える。
だが……。
俺たちの周りに居た精霊たちは、すっ……とラビリンから距離を取った。
「失敗ですぅ……」
「え? なんでだよ……?」
すると……。
『いやちょっと』『ぼくらには荷が重いとゆーか……』
ん?
なんだか声が聞こえるぞ……。
「荷が重いってどういうことだ?」
『『『!? ぼ、ぼくらのこえ……聞こえてるの!?』』』
「ああ」
『『『しゅげー!』』』
しゅげー?
すげえ?
何が凄いんだ……?
「も、もしかして……あなた、精霊とお話ししてるです?」
ラビリンが恐る恐る尋ねてきた。
いやもしかしてもなにも……。
「してるよ。普通に」
「す、すごーい!」
「え……? なにが?」
「すっごーい!」
か、会話にならん……。
困ったときの、フェル頼み。
『精霊の言語は、人間界の生物には、聴き取ることができぬのだよ』
「へえ……そうなんだ。でも俺聞こえるけど」
『主は神だからな。人間界の人間ではない』
「あ、そう……」
なんか、すごいことって、全部神だからで済ませようとしてません?
まあ、いいか。
「なあ、おまえら。荷が重いってどういうことだよ。この子は闇の精霊と契約したいんだ」
『でもなー』『そのこ、すっごい器もってるし~』『ぼくらみたいな、微精霊じゃもうしわけないってゆーかー』
凄い器……?
僕らじゃ無理って……。
「じゃあ、誰ならイインだよ?」
『だいせーれーさまなら、ワンチャン?』
「大精霊……?」
『ぼくらの、おやぶん!』
つまり、なんだ。
ラビリンには凄い才能があって、それにこいつらじゃ見合わない。
こいつらの親分なら、ラビリンと契約するにふさわしい……と。
「大精霊ってやつのとこ、案内できるか」
『『『できるー!』』』
よし。
「じゃあ、ラビリン。大精霊のとこへいくぞ」
「はひぃい!? だ、大精霊のとこぉ!? で、でもでも……どこにいるかわからないって……」
「精霊が案内してくれるってさ」
「どひゃあ~~~~~~~!」
この子いちいち、リアクションが大きいな……。
「あのあの、もしかしてですけど……あなたって……神、ですぅ?」
違うんだが。
『よくぞわかったな。そうだ、このものこそ、長野神。山の神だぞ』
「やはりぃ~~~~~~! はは~~~~~~~~~~~!」
ラビリンが俺の前で土下座する。
はぁ……
「こういうのめんどうだから、やめろって言っただろうが」
『すまんすまん』
によによ笑うフェル。
ったく、最近俺に協力的だとおもったらこれだ。
「近づくぞ、ほらほら」
『すみません調子のってすみませんでした』
そんなにエロいこと苦手なのかねこいつ……。
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1872iu/