190.またまた
妖精郷っていう森の中で、森呪術師のラビリンと出会った。
さっそく邪龍の呪いを解いてもらおうって思ったんだが……。
「呪いが解けない? どうしてだい?」
こちとら女を無条件で発情させる、なんていう厄介極まる呪いに困って、遠路はるばるここにきたのだ。
手ぶらで帰るわけにはいかない。他にあてもねえしよ。
「らび……おちこぼれだからぁ……」
「落ちこぼれ?」
「はいなのです……」
ぽつぽつ、とラビリンが事情を話し出す。
どうやら彼女は森呪術師ではあるが、一番才能が無い、というレッテルを貼られてるらしい。
才能がない……か。
「具体的にどう才能がないんだ?」
「森呪術師に一番重要なのは、森の精霊と会話することなのです……らびは、精霊の姿すら見えない……」
「ふーん……森の精霊ねえ……いるのかいそんなのが」
と、俺が口走ったそのときだ。
ズアァアアアアアアアアアアアア!
「え、え、なにこれ? 光る……虫……?」
蛍みたいな、小さな光が、こっちにたくさん集まってきたのだ!
「なんだこいつら!」
『主ご所望の、森にすむ微精霊たちだよ』
へえ……これが……って、あれ?
「なんで俺精霊見えるの?」
『神だからではないか? 精霊も神も、同じ高次元存在だからな』
神も精霊も、人間を超える凄い存在だから、お互い見えるってこと……?
ええー……なんだそれ。
「!? う、う、薄ぼんやりみえるのです! 光が!」
「あらら、見えるんじゃん。良かったね」
「は、はいぃ……でも、おかしーのです……今までらび、せーれー見えなかったのに……」
するとフェルさんが説明。
『先ほど主が、おまえを救っただろう。そのときに、主の神気をおまえは浴びた。その結果、才能が目覚めたのだろう』
「え、じゃあ俺の影響で、彼女見えなかったモノが見えるようになったの?」
『そういうことだ』
なんてこったい。
また知らない間に、他人に影響を与えていたらしい。
「う、ぐすぅ……ふえええええん……」
えええ!?
なんかいきなり泣き出しちゃったよ!
「ご、ごめん……なんか気に障ることしたか?」
「ちがうのですぅ~……ありがとうなのですぅ~……ふえーん……!」
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n1872iu/