186.自動浄化マシーン
森呪術師という希少種族を探しに、妖精郷へとやってきた俺とフェル。
危険な森みたいなんだが……。
「全然そんなことないな」
どさっ、どさっ、と勝手に魔蟲たちが倒れていく。
そんなの俺の持つ邪龍のオーラが怖いのかね……?
「しかし普通の森だな」
樹がバカでかいのと、蟲が馬鹿でかいくらいで、あとは普通。
ちょっと紫の靄みたいなのが、あたりにかかってるけど、まあ普通。
『我が主よ、普通ではないぞ』
「そうなの?」
『うむ。周囲が瘴気に満ちているのに……気づいておらぬな』
「しょーき?」
なんだそりゃ……?
『人体にとても有害な毒ガスが、常に発生してるのだ』
「こわ! ってか……あれ? でも俺平気だけど」
『後ろ見てみ?』
後ぉ……?
前方には瘴気がかかってるけど、背後には、綺麗さっぱり消えていた。
「なんこれ?」
『我が主の歩いたあとに、瘴気が消えているのだ』
「そりゃどうして?」
『神は神気、と呼ばれる特殊な魔力を発してる。その影響だ』
神気……なんか、聞いたことあんな。
現実に居たとき。
俺んちの風呂に含まれてるとかなんとか。
『ぬしが歩くだけで、どれだけ毒ガスが底に満ちていたとしても、直ぐに浄化されるのだよ』
「神だから?」
『うむ……ただの神ではない。長野神、だからな』
……どうやら俺、自動浄化装置みたいになってるみたいだ。
長野もそういや、なんか聖域? みたいになってるんだっけ……。
「ドンドン人間離れしていきますな俺……」
『だいぶ初期からな』