171.アニメ化する神
俺、界人は異世界では賢者、そして現実では神として超有名になっていた……。
「どうしてこうなった……」
長野の山奥、ばーさんの屋敷。
茶の間で俺はぐでーっとしている。
テレビの前にはフェンリルのフェルがいて、テレビをずっと見てる……っていうか。
「なんか家のテレビでかくね?」
まえはちっこいやつだったけど、今はとんでもないデカさのテレビが鎮座していた。
「おまえいつ買ったの?」
『買ってはない。お供え物だ』
「は……? 今なんて?」
『だから、お供え物だ』
はいぃ?
お供えもの? テレビを? つーかなんでお供え物がここにあるんだ?
つーか誰への?
『無論、長野神へのお供え物だ』
「まだその話続いてたんだ……」
長野神っていうのは俺のことだ。
どうやら俺は知らぬ間に神パワーを身につけているようなのだ。
その力で色々やらかし、気づけば神。
『山の麓に神社があるだろ? 長野神をまつってる』
「そういやそんなものありましたね……」
『そこに毎日のように大量のお供えものがされてるのだ。我はそれを毎日回収しているのだよ。感謝しろよ、我が主』
まじか。この犬そんなことしてらしたのか……。
『包装してる菓子などはいいが、肉やら魚やらは腐ってしまうからな』
「ほーん……そっか。おまえそんなことやってたのか」
『感謝しろよ』
「ああどーも」
まあ生ゴミ化して腐らせる羽目にならずにすんでるから、いちおう感謝しておく。
でも別に頼んでないし、なんだったら、信者にお供え物なんて欲しいって言ったこと一度もないし……。
そもそも長野神をまつる神社なんて作って良い許可だしてないし!
「はーあ、安住の地はどこにあるんだろうか……」
『ここにあるではないか。働かずとも飯が食え、だらだら過ごすことができる』
「俺はもっと誰にもかかわらずのんびり生きたいの!」
『贅沢ものだなぁ、っと、そろそろ始まるかな』
は?
始まる……?
ニュース番組がおわり、朝10時を告げる。
『それゆけ! ながのかみ!』
「は!?」
なんか……知らんアニメがはじまってる!?
え、なに、それゆけながのかみって!?
『なんだ知らぬのか? 最近始まったアニメだぞ』
「しらねえええええええええええ!」
『県が出てるテレビ局があるだろう? そこで毎週土曜日の朝10時に放映されてる、教育番組だ』
「だれになんの教育ほどこそうとしてるんだよぉおお!?」




