166.長野県良いとこ一度はおいで
異世界や現実での諸々のトラブルに悩まされている、俺。
いったいいつになったらスローライフを謳歌できるのだー……。
「ふぁー……」
と思っていたのだが、案外早くスローライフできるようになった!
そ・れ・は……!
じゃーん!
認識阻害魔法ぅ~。
俺を見た人に、界人と認識できなくなる(別の人間であると、認識を変える)魔法を使ったのだ……!
結果、外を普通に出歩いていても、ナガノカミ! とか言われなくなったのである。
「最初っからこれやっときゃー良かったぜ」
ということで、素性を隠して、俺は現実をまったりと過ごす。
今日は朝から、いつもの喫茶【あるくま】(※東京にある)でコーヒータイムしたあと……。
長野に帰ってきて、松本駅近くのスーパー銭湯でまったりと湯に浸かる+マッサージを受けて……。
松本城の近くを、ぷらぷら歩いていた……のだが。
「んお? なんだあ?」
『どうした、我が主よ?』
俺の隣を歩く、ばかでっかいワンコ、フェンリルのフェル。
彼女にも認識阻害の魔法をかけているため、こうしてデカい犬が歩いていても、騒ぎにならないのだ。
「なんかさー……人多くね?」
元々松本城は観光スポットということもあり、その周辺には観光客が多く見受けられる。
が、なんか今日は異常に人が多い気がするのだ。
『パワースポット巡りだろうなぁ』
「なんだよ、パワースポットって」
『今長野県……おっと、神州は全国一のパワースポットだからなぁ』
「は?? なにそれ? なにそれ?」
訳わからん単語が二つ続けてでてきてびっくりなんですけど?
『主はにゅーすを見ないからなぁ』
「ああ、俺はもう隠居したからな。社会問題には興味ない」
『くくく……少しは興味持った方が良いぞぉ』
にやにやと笑うフェリ。
通り過ぎる観光客たちが「ここがあの」「神のご加護があるってマジですかのぉう」「おお! 祈ったら腰の痛みが本当になくなった!」「すごい、さすが神の居る国、神州!」




