164.意地悪フェンリル
現実に帰ってきて、俺はフェリにニュースを見るよう言われた。
テレビでは、ニュースキャスターの県が、とんでもないことを言っていた。
「な、長野県を……神州……だって……?」
神の居る県、神州、だそうだ。
大真面目な顔で、長野県知事、安倍 守が言っていた……。
俺は……。
リモコンの電源ボタンを押した。
『あ、消した』
「何も見なかったうん。何も見なかった……!」
『ぬしのせいで、県の名前が変わってしまったなぁ~? ええ~?』
「あああああああああああああああああああ……」
え、なんで!?
馬鹿でしょ!? 神?
いるわけねえだろぉおお!
『あんだけのことしておいて、そりゃあないよ』
「あんだけ?」
『病人を全員なおしたり、火山の噴火を止めたりなぁ』
ちょっとまて!
前者はともかく、後者ってなに!?
噴火!?
俺いつとめたの!?
『それにぬしは今、神気を帯びている。神の気はこの土地に恵みと奇跡をもたらしてることだろう』
「な、なんだよ……意味深な……何が起きてるんだよ」
『くくく! おしえて……』
「おしえて……」
『あーげないっ! その方が面白そうだ……くくく!』
こ、この……クソい……クソおいぬ様がぁ……!
「メシ抜きだな」
『そんなあああああ! メシはくれ! メシくれメシぃいいいい!』
でっかいワンコが、お腹を見せてびったばったんと体を揺すってる。
イヤイヤしてるのかな。
「じゃあ何が起きてるのか教えろ」
『それはできんな』
「メシ抜き」
『メシぃいいいいいいいいい!』
……結局メシメシうるさかったので、メシはやった。
しかし何が起きてるのか……ううん、こわい……。