161.暗殺未遂
俺は久しぶりに現実世界に帰還を果たした。
いやぁ、現実が最近やばいことになってから、異世界でスローライフをもとめてたら……。
なんか、異世界でも注目浴びていた。
なんでや……。
ま、まあいいや。
基本に立ち返って、現実でスローライフしましょう!
「ねるかー。ん? なんだぁ」
なんか、視界が少しぼやける。
「どうしたんすかカイトさん?」
「いや……なんか視界が点滅する」
視界になんか光の点がぼんやりと、いくつもあるのだ。
黒い光の点が、あちこちうごめいてるのである。
「なんだこれ、虫かなぁ? うっとおしいなぁ」
俺は手で黒い光の点をさっ、と祓う。
「ぎゃあ!」「ぐえ!」「ひぎぃ!」「げぼら!」「あっべし!」
……なんか遠くで悲鳴が聞こえたような……。
「あ、虫まだいやがる」
視界に入ってくる黒い点、虫(仮)を追い払うように、俺は手をふっていく。
「ぶべら!」「あべべべべ!」「ひぎぃい!」「お、おたすけええ!」「いぎゃあ!」
……ふぅ。
しばらく払ったら虫が消えた。
「目薬いるっすか」
「大丈夫、もう虫いなくなった」
「ふーん……うち、そんなに虫気にならなかったすけどね」
俺にしか見えてなかったのかな。
飛蚊症? いやいやいや……。
『我が主よ』
ぬぅう、とフェリがフェンリルの姿で現れる。
……その口に、なんかおっさんをくわえていた。
「なんだそのおっさん?」
『屋敷の周りに倒れておった。他にもいるぞ?』
「なにぃ?」
俺はなぎと一緒に外に出る。
……うん、まじでなんか知らんおっさんが大量に倒れていた。
「こりゃあ……いったいなんだ……?」
と、そのときだ。
バババババババ!
「ん? ヘリ……ヘリぃ!?」
頭上にはヘリがあって、そこからサングラスをかけたおっさんがのぞいていた。
「おーい! 界人くーん!」
「確か……贄川さん?」
刑事の贄川 無一郎さんだ。
ばっ、とヘリから飛び降りて華麗に着地する。
たしか練能力者(超能力者的なやつ)だったから、あれくらいの離れ業はできるんだろう。
「どーしたんすか?」
「いや、それはこっちのセリフだよ。こんなにたくさんの殺し屋たちを、倒しちゃって」
「は!? こいつら……殺し屋なの?」
この倒れてるおっさんたちが……?
「ああ。しかも高いレートの練能力者たちだ。カイトくん、いったい君はどうやって……?」
「いや……あの……俺、まじでなにかやっちゃいましたっけ……?」
何もしてないんだけど、今回……。