160.帰還
《界人Side》
現実に、戻ってきたぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「界人さんおかえりっす~!」
「なぎ! ただいまー!」
世界扉をくぐると、眼鏡姿の漫画家、なぎが俺を出迎えてくれた。
なんだか……すげえ久しぶりな気がする……!
「なぎ~」
「う、うわわっ。な、なんすかぁ~……♡ もぉ~……♡ 急に抱きついてびっくりしたっすよぉ~……♡」
なんかすんごい嬉しそうに言う。
いやぁ……。なつい。実になつい。
「俺、現実に返ってこれたんだなぁ」
「? そーいや今回けっこー長く向こう行ってたっすね」
「ああ……なんつーか、色々あってな」
ふーん、となぎが素っ気なく言う。
あ、あれ……?
俺がいなくてさみしかった! みたいなことない……のかな。
「あ、界人さん! 自分、界人さんがいないあいだに、けっこー漫画書きためてみたんすよ!」
「まじか! どれどれ?」
「あとで見せるっす! いやぁ、界人さんと一緒だと、すごいはかどりましたわ~」
なぎは元々人気漫画家だったのだが、俺が出版社をクビになったと同時に、漫画を辞めたと思ったんだが……。
ちゃんと次回作考えてたんだな。
「ちなみにタイトルは?」
「長野神」
「おぃいいいいいいいいいい!」
またか!
また長野神か!
「内容、絶対俺のこと描くつもりだろ!」
「そっすよ」
きょとん顔でいわれたー!?
「やめてくれ、はずか死ぬ」
「えー、でも界人さんがひたすら俺何かやっちゃいましたってやってる姿、絶対おもしれーと思うっすよ、ラノベとかにすれば受けると思うんだけどなぁ」
「誰がこんな、田舎のおっさんがやらかしまくる話、小説にしたがるんだよ……」
「需要あるとおもうっすけどねー……」
ま、何はともあれ現実に戻ってきました。
さ、スローライフしましょ。