139.トラップ余裕
俺は庭にできたダンジョンに潜っている。
どうやらランクが低いダンジョンのようだ。
サクッと終わらせて、さっさとダンジョンクリアだ。
「っと、なんだあれ……?」
ふとダンジョンの通路を歩いていると、床にキラキラと、光るものを発見した。
しかし……。
「あれとはなんじゃ?」
奴隷のイージスが首をかしげる。
え、なにそのリアクション。
「だから、それだよ。キラキラ光ってるだろ?」
イージスが本気で困惑してるのか、額に汗を搔いてる。
あ、あれぇ……?
「フェリ。おまえは見えるよな?」
『いーや。吾輩にはただの通路にしかみえないぞ?』
はぁ?
どうなってんの?
「え、だってほら、これ! あるじゃんこれこれ!」
俺は金色に光るそれに手を触れる。
カチッ……!
バカッ……!
「落下トラップじゃ!」
床が開いて、大きな穴が出現する。
穴の下にはとげが無数に生えていた。
うぉおおお!
「墜ちるぅうううう!」
「「…………」」
「あれ……? 墜ちてない?」
そう、俺、おちてなーい。
どうなってるの?
床が開いて、穴が出現しているのに……。
「う、浮いてる……?」
俺はぷかぷかと、落とし穴の上で浮遊しているのだ。
「魔法でも使ってるのか……?」
「い、いや……?」
無意識に魔法を使ってるんでは無く、本当にただ、浮いてるのだ。
フェリはククク……と笑っている。
『主は神だからな。浮いててもおかしくない』
「いやいやいやいやおかしいでしょ。俺人間なんですけど?」
『日本の神々から、神々認定されてなかったか……?』
くっ……確かに……。
いやでも……まじか。
「俺って意識しなくても空飛べるわけ……?」
『すごいな主。マジの神ではないか。トラップの場所まで見抜けるしな』
あ、そっか。
さっきのキラキラは、トラップ……つまり、危険な場所を教えていたのか。
「え、誰が?」
『トラップという邪悪を、主の目が見抜いていたんだろう』
「え、ええー……まじかよ……」
なんか、どんどん俺自身が、人間じゃなくなっていってる気がしない……?
「化け物なのじゃ……」
『いいや、神なんだなこれが』