134.知らぬがほとけ
俺は散歩からの帰り道、参拝客と出会った。
参拝客達は、神社に行く予定だったらしい。
そんで長蛇の列の先端まできたところ……。
俺んちがある山の、麓に、そりゃあ立派な神社ができていたのだ。
みんなこの神社にお参りしていって、帰っていった。
ふーむ……。
俺は神社の奥へ向かって歩いていく。
ここもなんか、立派な階段がいつの間にかできていた。
山の中を進んでいくと……。
ばあさんの屋敷が見えてきた。
『わが主~』
フェリのやつが、露天風呂にのんきに浸かっていた。
『『『へろー、界人ちゃーん』』』
「ペットども……またきたのか。しかも、団体さんで」
フェリと一緒に露天風呂に浸かっている、猫とか亀とかの小動物ども。
こいつらは、神らしい。
で、なんでか知らないが、神の連中はここの露天風呂を気に入っているらしく、定期的に湯治にくるのだ。
まったくもって迷惑な話だ。
「帰れアニマルズ」
『『『まあまあまあまあ』』』
どうやら長居するつもりのようだ。
強制的に転移してやろうか。
しかし小動物的な、愛くるしい見た目をされると、敵意は萎えてくるな。
ほっとくか。
「なあフェリ。おまえさ、下の方に神社ができたのって知ってた?」
知らないとは思うが、念のため聞いてみる。
『知ってるぞ』
「え!? なんでおまえ知ってんだよ」
『なぎとたまに散歩にいくからな。ああ、もちろん姿は小さな子犬に変えているぞ。たっくん事件があったからな』
前にフェリの馬鹿でかい姿で散歩してたら、子供に見つかるという事件があった。
あれがあって、フェリは姿を変えるようになったみたいだ。
「あんな大人気の神社なんて、いつからできたんだ」
『吾輩より、そこのアニマルズのほうが詳しいのでは?』
は……?
なんで……?
「おい神ども」
『『『わしゃしらーん』』』
とぼけた調子でそっぽ向く神たち……。
まさか……。
「おまえらが作ったのか! あれ!」
『『『しらーん』』』
「こっち見て言えや、え、おい」
神たちは風呂から上がると、
『『『ばいびー』』』
「あ、こら! ちくしょう……逃げやがった……!」
神の連中、都合が悪くなると逃げるんだよな……ったく。
『まあ良かったではないか』
「よくねーよ。あんな人気スポット作られちゃ。奥の俺んちまで参拝客がきたらどうするよ?」
『来ないだろう?』
「なんでだよ」
きょとん、とするフェリ。
え、なにか間違ったこと言ったか……?
『主よ。一応聞くが、あの神社、誰をまつってるから知ってるか?』
「はぁ……? 知るわけないだろ。どこの神かしらねーけど、家の近くに勝手に神社なんて建てないでほしいよなぁ」
なんか人気の神さまらしいしよぉ。 するとフェリが、ゲラゲラゲラと爆笑しだした。
『これは傑作だ! そうかそうか、よその神をまつる神社を、勝手に、神たちが作ったと!』
「違うのか?」
『はーあ。くくく……やはり、我が主は面白いな! 退屈しなくていい! くっくっく……!』
何なのまじで……?
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