128.お祝いじゃ
アーニャの件が片付いた。
やれやれだ。
面倒ごとはこれきりにしてもらいたいもんだ。
家でゆっくりしたい……。
『『『界人ちゃーん』』』
「なぜ来るアニマルども!!!!」
ほわほわ……と空を飛んでいる、小動物たち。
こいつらは動物園を脱走したアニマル……ではない。
こう見えて、この国の神(自称)らしい。
俺の助けた金猫、黒亀などの、動物どもがなんか現れたのだ。
「帰れ」
『つれないのぅ』『お祝いの御神酒をもってきたっちゅーのに』『界人ちゃんのお祝いの酒なのに』
「はぁ……? お祝いだぁ?」
えっさほいさ、と神どもが樽を担いで、俺の前に置く。
「何のお祝いだよ。つーかこの酒は?」
『疲れたのう』『風呂入るか』『お風呂上がりのいっぱいはうまいからの~♡』
聞けよアニマルズ。
しかし神の連中は、俺の家にある露天風呂へと向かっていった。
「なんなんこの酒……?」
するとフェンリルのフェリが、すんすんと鼻を鳴らす。
『こ、これは……!』
「どうした?」
『と、とても美味い酒の匂いがする!!!!!』
「はぁ……さいですが」
神どもはお祝いの酒とか抜かしていた。
では、何のお祝いなのか。
……わからんし、興味もなかった。
「勝手に飲むなよフェリ。妖しいもんなんだから」
『うまうま』
「って、飲むなよ……」
フェリは樽の中に顔をツッコんで、がぶがぶと酒を飲んでいる。
あまりに美味そうに飲むものだから、ちょっと気になっちゃうじゃないか。
「…………」
神たちは、これがお祝いの酒だといっていた。
しかも俺へのって。
まあ、じゃあ俺が飲んでも問題ないだろう。
そう思って、俺はキッチンからグラスを持ってくる。
いっぱいすくって、飲んでみる。
う、
「うめえ……!」
なんだこの酒、ちょーうめえ。
今まで飲んだことないくらい、美味い!
ちょっと辛いけど、でもそれがいいっていうか。
ジュースみたいにするする飲める。
『お?』『界人ちゃん飲んでるな』『うむうむ』
風呂上がりの動物どもが、こっちへやってくる。
「あんがとな、お土産」
『なんのなんの』『普段お世話になっておるしのぅ』『しかし御神酒のめたってことは』『いよいよじゃのぅ』
ん? いよいよ?
「どういうことだ?」
『こりゃあ会議をひらかんとなぁ』
『正式に【成った】ってな』
『御神酒を飲めるってことは、つまりはそういうことじゃしな』
『他の連中も承諾してくれるじゃろうて』
『じゃ、集めるかのぅ』
神の連中は言いたいことだけ言って、さっさと帰っていった。
『自由な連中だな、あいつら』
「ほんとそれな……」
まあ、いいか。
美味い酒がただで手に入ったってことだしな。
「しかし成った、って何に成ったんだろうな?」
『神に成ったじゃあないか、主が』
「いや成ってねえよ」
『困ってる人の声が聞こえたのだろう?』
うぐ……ま、まあ確かに……。
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