120.またやっちゃいました★
界人がやらかした、一方そのころ。
公安の刑事、贄川無一郎は久しぶりに、家に帰ってきた。
「あ、とーちゃん! おぃっす~!」
「やぁ、三郎。ただいま」
無一郎は結婚し、5人の子供がいる。
出迎えてくれたのは、そのうちの一人。
三男の、三郎だ。
贄川 三郎。
20代前半なのだが、どう見ても見た目がターミネーターだ。
サングラスをかけた、ごっつい男である。
彼をはじめとして、無一郎の息子娘たちは全員、能力を持っている。
ラブマリィが提唱した説に、【錬能力者は遺伝する】というものがある。
つまり、錬能力者(※逆異世界転生者)の子供には、この世界ではありえない、能力を発現する可能性が高い、ということだ。
しかし、無一郎の子供たちは、能力を持っているが、それを自覚していない、つまり【無能力者】たちである。
「とーちゃんめっちゃひさしぶりじゃーん。どうしたの? 最近忙しいの?」
無能力者でもある三郎は、もちろん、能力者とか、殺し屋とかとは、無縁の世界に住んでいる。
それに無一郎も、息子たちには、そういう血なまぐさい世界とは、無関係でいてほしいと思っている。
だから、無一郎は、子供たちには仕事のことはほとんど話していないし、彼らに能力があることは告げていない。
「うん、仕事がとても忙しくてね」
「そっかー。刑事さんもたいへんじゃー」
ほんとにね……と無一郎は深々とため息をつく。
というか、最近忙しいっていうよりも、困惑させられることが多く、精神的に疲弊してるというのが正しいかもれしれない。
原因はもちろん、飯山 界人だ。
「あ、とーちゃんさぁ。知ってる? 今めっちゃ流行ってるやつ」
「流行ってる……ワインの兄貴? それともデジマス?」
超有名Vtuberと、超有名ラノベのことだ。
しかし三郎は首を振って言う。
「いや、長野神」
……まさか、息子の口からのその単語が出てくるとは思わなかった。
長野神、飯山界人の、もう一つの名前。
「今テレビでちょーやってんじゃん? ほら」
三郎差たちはリビングへと向かう。
大画面テレビには……。
「あ、県……」
県 清美が、笑顔で、長野神に関するニュースを報じている。
『速報です。長野神さまが、また奇跡を起こしました』
また奇跡を起こした……!?
「またあいつ何かしたのか!!!!!!!」
「あいつ? え、なに、とーちゃん知り合いなの?」
「なんでもない! 僕は仕事行く!」
「えー! またぁ……?」
少し寂しそうな三郎。
最近ほとんど家に帰れていない。
仕事を優先させてしまっていることに、申し訳なさを覚えている。
しかし、仕方ないのだ。
なにせ今やってるのは、神の監視。
彼が何かやらかした後の、後始末が彼の仕事である。
無一郎は携帯を取り出して、同じく公安の刑事であり、協力者の見晴者に電話をかける。
「見晴者! またあいつ何かしたのか!?」
『なんだ、県のニュース見てないのかい?』
「ああ……いったい次は何をしたんだ?」
すると、見晴者はあっさり言う。
『未曽有の大洪水から、長野県を救った』
……大洪水。
洪水を止めた……一個人が……?
そんな奇跡を引き起こしたら、また大騒ぎになる。
後始末が、大変なことになるのは必定。
また、家に帰れなくなる。
またか。
「また! お前の仕業か! 飯山 界人ぉおおおおおおお!」
『なんかそれ、敵のボスのセリフみたいになってないかい?』
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