117.無自覚浄化
異世界でのストレス発散を終えて、俺は異世界から現実に戻ってきた。
世界扉をくぐって、うちの蔵の中に戻ってきた。
『主よ。はんばーがー食べたいぞ』
フェンリルのフェリが、現実に戻ってくるなりそう言った。
「いいけど、料理なら作るが」
『あのジャンクな料理、時折無性に食べたくなるのだ』
「さいですか」
まああとで買いに行くか。
蔵からでると……。
「うぉ! まぶしい……よく晴れてるなぁ」
雲一つ無い空が広がっていた。
だが……
「ん? なんだこりゃ?」
蔵の前は結構水びだしだ。
もしかして……雨でもふったんだろうか。
「フェリ、毛皮が汚れるから外に出る
……」
『わーい! どろんこどろんこ~!』
「……でるなって言うそばから、ったく」
フェンリルはごろんごろん、と濡れた地面に転がる。
べったりと土で汚れていった。あーあーあー。
「露天風呂入ってから、屋敷にはいれよー」
『うむ~』
俺は入口から入って、玄関をくぐる。
「ただいまー……って、あれ?」
JKがいない……。
いつもなら直ぐ出迎えてくれるんだが……。
と、そのときだった。
PRRRRRR♪
玄関の黒電話(昭和レトロ)が鳴ったのだ。
「はい飯山ですが」
『界人さん! 帰ってきたんすね!!!』
電話の向こうから聞こえてきたのは、同居人であるJKの、南木曽なぎだ。
「どうして帰ったってわかったんだ? てゆーかおまえ今どこ?」
『避難所っす!』
「はぁ……? 避難所ぉ?」
なんでまた……?
え、なにか起きてたの……?
『と、とにかくうちは無事っす! 今は安曇野の小学校にいるっすよ』
「そ、そう……」
『あとでまた連絡するっす! じゃ!』
ぶつん、と電話が切れる。
え、ええー……。
「何がどうなってんだ、これは……?」
『あるじー』
庭のほうから、フェリの声がする。
そっちへ行ってみると……うぉ!
「おま……風呂入ってこいって!」
超絶どろんこのフェリがいた。
まったく……。
「ちょっと動くな。魔法でなんとかするから」
『え?』
「【浄化】」
……その瞬間。
カッ……!!!!!
ピッッカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
……と、ものすんごい光が、俺の手から発せられた……。
『うぉおお! 目がぁ! 目がぁ!!!!』
フェリが目をやられて、ごろんごろんと転がる。
「す、すまん……」
浄化は、汚いものをきれいにする魔法だ。
そのおかげで、フェリのどろんこボディは綺麗になった。
「まさかあんな威力がでると思わなくてさ」
『フェンリルでなかったら目が潰れてたぞっ!』
「すまんってば……って、ん?」
庭が……なんか綺麗になってる?
雨上がりで、結構ぬかるんでいたはずだったんだが……。
「浄化の魔法で、ぬかるんだ地面が戻ったのか? そんな効果あったっけこの魔法に……?」
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