115.自動ポーション生成スライム
ストレス発散に異世界に来ている、俺。
ばーさんの屋敷に戻ってきたのだが……。
「おい。大変じゃ」
「? どうしたイージス」
奴隷エルフ姫、イージス。
背が高く、胸もデカく、メイド服を着ている。
「貴様のスライムが、尋常ではないことになっておるぞ?」
「は? スライム……?」
そんなのいたっけ……?
『主よ、ほら、暴食王。テイムしたモンスターがいただろう』
「あーあー、あれな」
そういや屋敷に放置していたわ。
イージスは俺の手を引いていく。
裏庭にやってきたんだが……。
「なんだこりゃぁあああああああああああああああああああ!」
馬鹿でかいスライムが、そこにはいたのだ。
ええ!? なんで!?
「どうなってんだおまえ……」
『ふむふむ……なるほど。どうやら食い過ぎたようだ』
同じくモンスター(神獣だが)であるフェリが、スライムの言葉を翻訳してくれる。
ああん?
「食い過ぎだって……?」
『うむ、主からの魔力を過剰摂取しているようだ』
フェリ曰く、従魔であるこのスライムは、俺から送られる魔力を発散できず、ずっとため込んでいたらしい。
で、こんなぶくぶくに太ってしまっているそうだ。
「俺、そんなに魔力を与えてたっけ?」
『というより、このスライムが勝手に食ってるだけであるな。主は無限に近い魔力量を持っている。このスライムは、無限に近い魔力を、ただ喰らっているのだ』
「満腹にはならんのか?」
『ならん。通常のスライムならともかく、暴食王は文字通り食欲の権化。食料があれば無限に喰らっていく』
「まじかよ……!」
その結果、こんなでっけえスライムに成長してるって訳か。
「おまえなスライムよ、もう食べるのやめとけ」
『ふむふむ……なるほど。ご飯いっぱい、だからいっぱいたべる、だそうだ』
やめてくれー。
うわー。
「これ……どうするかな」
『まあ実害はないだろう? 従魔として制御してるんだから』
「こんなくそでかいスライムほっといたら、目立っちゃうでしょうが!!!!」
今もなお、もりもりと魔力を喰らって、暴食王はでっかくなってるのだ。
『ならばどうする?』
ようは魔力を消費すればいいわけだ。
「なあイージス、魔法を使わずに、魔力を消費するいいやり方は無いか?」
魔法なんてぶっぱなしたら、それこそ目立ってしまうからな。
別のやり方を知りたい。
イージスは少し考えて、俺に提案する。
「回復薬を作らせるのはどうじゃ?」
「回復薬……?」
「うむ。あれは魔法薬といってな、魔力を込めて作られる特殊な薬なのじゃ」
なるほど……! じゃあ魔法薬を作らせて、消費すればいいのか。
「作り方ってわかるか?」
「作り方の書物が、まりりんの屋敷にあるのではないか?」
まりりん……?
「だれ?」
「貴様の祖母だろう」
「あ、ああ……」
なんかいつの間に、あだ名で呼ぶ間柄になってんだ……?
そういや、イージスのやつ、暇なとき屋敷に封印されてるばーさんと、会ってるんだっけ?
ということで、俺はばーさんの屋敷のなかへ移動。
書庫の中に、目当ての本があった。
【錬金術の書 ニコラス・フラメル著】
「これか」
【錬金術を習得しました】
「ふぁ……!?」
え、ええ!?
『どうした、主よ?』
「いや……なんか錬金術、習得した」
「『は……?』」
フェリと、イージスがぽかんとしてる。
だ、だよね……。
「本すら開いておらぬではないか?」
「あ、ああ……なんか本を手に取って、タイトル読んだだけで習得した……」
『かかか! すごいな主の成長速度倍増の称号は!』
あ、そっか。
俺にはまれびとっていう、成長速度を上げる称号があるんだった。
いや、いやいやいや!
「それでも、本を読むことすら無くて錬金術習得するとか……」
『それほどすごいということじゃろうて』
うーん……それで片付けていいんすかね?
まあ……いいか。
この世界での錬金術のむずさって、よくわからないし。
ひょっとしたら、そんなに難しくないのかも。
そうだよ、むずくないから、簡単に習得できたんだよ。
いくら成長速度があがるとはいえ、秒もかからずやり方をマスターしたんだから、きっとそうなんだ!
そういうことにしておこう。
「さ、じゃあ錬金術やってみるか」
必要なのは、薬草と水。
裏庭に生えていた薬草と、屋敷の中にあった水をとってくる。
で、庭に待機してるバカでかスライムの前に置く。
「あとは……おい暴食王。これを食べろ」
スライムがうなずくと、桶に入った薬草と水を食べる。
そして……。
ぺっ、と吐き出した。
そこには、1本の回復薬が完成した……んだが。
「赤い回復薬……?」
なんかポーションって、水薬だから、もっと水色してるんだと思ったんだが。
「まあいいや。おい暴食王。今の感じで、回復薬作っておいてくれ。素材はこの森にあるからさ」
こくん、とうなずくと、暴食王はずるずる体をひきずりながら、森へと向かう。
ポーションを作ったら、ちょっと背が小さくなったので、魔力は問題なく消費されてるようだ。
『で? どうするのだ』
「あとは放置でいいだろ」
『くく……そうだなぁ……』
まーた悪い顔してるよ、フェリさん。
え、なに?
俺なんかまたやらかしちゃうの……?
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