110.天使
界人が到着する、少し前まで時間は遡る。
ゲータ・ニィガ王国の南西部にある村……【ツナン】にて。
村の人たちは【それら】におののいていた。
「お、おしまいじゃあ……天使が、舞い降りよったのじゃ」
天使。
翼をはやした人間……のような化け物だ。
身長は2メートルほど、人間の形に近いが、顔が存在せず表情がうかがえない。
頭には天使の輪っか、背中には2対の白い翼が生えている。
「な、なぜ天使様が下界に……?」
「知らん……じゃが……天がお怒りになられたとき、天使が舞い降り、地上に裁きをくだした……わしが子供の頃、一度だけ見たことがある……!」
村長が叫ぶと、恐怖が村中に伝播していく。
天使は天の代弁者。
彼らがきたと言うことは、地上で何か、天の神々を怒らすようなことが起きてるということだろう。
なぜ怒っているのかは不明。
しかし神々は、よほどのことがない限り人間界とは関係を持たない。
訪問してきたということは、それだけのことを、人間がしでかしたということだ。
「逃げましょう! 村長!」
「無駄じゃ……天使様は、【天の矛】をお持ちだ」
「てんの……ほこ?」
天使たちは手を、地上へ向ける。
その瞬間、超火力のレーザーが照射されたのだ。
村はそれだけで、火の海に包まれた。
あまりに早く逃げることすらできなかった。
「うえーん! ままぁ!」「腕がぁ……!」「家が燃えるぅう!」
……村長は絶望した。
天の矛は、一瞬で村を火の海にかえてしまった。
それだけの強い力を、あんな速さで……しかも……。
天使は1体だけでなく、複数体いた。
「おしまいじゃ……」
天使たち全員が、天の矛を放とうとした……次の瞬間。
ドガガガガガガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
……突如として、天使たちが燃えたのだ。
「な、なにがおきたのだ……?」
天使たちは一体残らず消滅し、あとには何も残らなかった。
困惑する村人たち……。
「やっべ! 村まで燃やしちまったか!?」
上空に、赤いローブをまとった男がいた。
白き獣にまたがり、魔法使いのローブをまとうその姿からは……どこか高名の賢者様のように見えた。
「やべ……威力強すぎたか……! しまったすぐ治療を……」
賢者(仮)が声を張り上げる。
その瞬間、天使によって壊滅させられた村も、けが人・死人すらも、一瞬で元通りになったのである。
「あ、あれ……? 俺なにもやってないんだけど……?」
……彼は困惑しつつも、村の無事を確認してから、白い獣に乗ってどこかへと去っていった。
「そ、村長……今のはいったい……?」
村の若者が首をかしげながらとうてくる。
わからない、だが……これだけは確かだ。
「白き獣に跨がる紅の賢者様……彼が、我らをお助けになられたのだと!」
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