108.長野神って誰?
俺、飯山界人は田舎でゴロゴロしたかった……。
『ぷはー』『いきかえるわいのー』『かいとちゃーん、いいおゆねーい』
庭からはワイワイと神の連中の声が聞こえてくる。
ああ、静かな田舎暮らしはどこ行ったのん……。
『くくく、主よ。面白いものをやっておるぞ』
俺は居間にいる。フェリが顔を上げて俺の方を見て、にやっと笑った。
「面白いモノ?」
俺はフェリの隣に腰を下ろす。
ふっかふかや。
やっぱりフェリさんの体毛はふっかふかやで。
いつだって干したシーツ匂いがするぜ……。
「面白いモノってこれ?」
『違うわい。テレビじゃほれ』
テレビぃ……?
そういや最近めっきり見なくなったな。
サブスクでアニメもドラマも見れるからなぁ。
で、テレビか。ふむん?
ニュースやってるな。
あれ?
「なんかこの美人アナ……どっかで見たことあるような……」
あ、そうだ。
あれだ。県ってやつだ。
あいつ、たしかまえに宗教団体の教祖の補佐やってたやつだ。
俺が教祖をぶっ倒したあと、大量の女どもを連れてきたから、忘却の魔法で全員記憶を消したんだっけ。
それ以降、うちにこなくなったが……。
「局アナやってたんだな。で?」
フェリが顎で画面を刺す。
『次のニュースです。長野神、またしてもお手柄です』
「…………はぁ?」
長野神ぃ……?
「山神の次は長野神ってか。あほくさ」
県曰く、どうやら凶悪犯が長野に入った瞬間、記憶を消去されたうえに逮捕されたそうだ。
いや、記憶消去って……。
「忘却か?」
『だろうな。主がやったのか?』
「いやいやまさかまさか」
そんなことしてない。
じゃあ……この悪人(仮)は、いったい誰に忘却の魔法をかけられたのだ。
県がニュースを読み上げた後に、微笑みながら、画面向こうの視聴者に語りかける。
『長野神さまのおかげで、本日の長野県は平和を保てております。是非一度、長野に足を運んでみてはいかがでしょうか』
そう言ってニュースが終わった。
……これさ。
「全国ネットのニュースだよな? なんでこんな、長野びいきなんだろうか」
『くくく……さぁな。ところで長野神についてだが……』
「あ、それな」
ニュースで言っていた。
悪人が忘却の魔法を食らったって。
それがマジだとしたら……。
「俺以外にも魔法の使い手が、いるってことか? 長野に」
『…………』
「あ! それとも……おい神ども! おまえらがなんかやったんだろ!?」
庭でのんきに、風呂に入ってるアニマルズに向かって声を張りあげる。
だが動物ども+女神どもは、
『しらーん』『おまえ界人ちゃんになんかやったろ?』『さーてのぅ、わしじゃないのぅ』
まじなんか冗談なんかわからん言い方しやがる。
くそ……わからん。
「まあいいか。人々が山神から長野神に移ったことで、俺への注目度も下がるってもんか……。なぁ?」
『くくくのく』
「なんなんだよまじで……」
まあ、せめてもの救いは、最近殺し屋どもがめっきりこなくなったのと、公安の刑事もからんでこなくなったことだよな。
代わりに神がひっきりなしにやってきてウザいが。
『さてのぅ、殺し屋は、果たしてこなくなったのかのぅ。くくく』
「おまえまじでなんなの……?」
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