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【Web版】異世界行ったら長野の神になりました  作者: 茨木野
第3章

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103/243

103.神の前に人は無力



 界人かいとの所業が、全国区で放映されていた。

 あがた清美の手によって。


 彼女はあるぴこTVの局アナになっていた。

 彼女は【長野神ながののかみ】……つまり、界人かいとの偉業を全国に流す。


 曰く。


【浅間山が大噴火するところだった】

【それを救ったのが長野神】

【すごい】


 と。


「…………」


 それを見ていた、公安の刑事、贄川にえかわ無一郎むいちろうは一言。


「こいつ……アホなのか?」


 そうとしか言いようがなかった。

 あがたが報じた物は、ニュースというのにはあまりにかけ離れた、いわば夢物語のようなものだった。


「科学的な根拠が何も無いのに、誰が信じるんだっての……!」


 なにせ、大噴火が起こってもいないのだ。

 また噴火が起こるというデータもない。

 そんな状況で、神が日本を救った?


「誰が信じるんだ、こんなアホ話……」


 無一郎むいちろうの受話器の向こうから、公安刑事の見晴者レイカーの声がする。


『ま、ゼロだろうね。……今のところは』

「……今のところ?」

『ああ。おそらくあがた清美は、長野神ながののかみ……つまり界人かいとくんに相当、心酔しているのがうかがえる』


 まあたしかに。

 自分の異能力を使って、手に入れた界人かいとの情報を、公共の電波に乗っけている。

 

 しかも神としてあがめている。

 どう考えても、信者……いや、狂信者的所業と言えた。


『今回の件は未遂で済んだからいい。だが……彼はこれからも確実に何かやらかす。それをあがた清美が報じまくる。するとどうなる?』

「……長野に、神が居る?」


 そう、一般人が信じてもおかしくない。

 すでに安曇野の病院で一度、大きな奇跡を起こしているのだ。

 同じことをすれば、嫌でも気づく。


 しかも今回は、前回と違って、あがた清美という伝道師がついてる。


 彼が能力を使って何かすれば、それを全国に、あますところなく報じるだろう。

 そうすると、日本に神が居るのだって、信じる人たちも激増するに違いない。


『そのうち長野に移住してくる人も増えてくるだろうね』

「そりゃ……神がいるんだからな」


 その恩恵にあずかろうと、全国から集まってくる可能性は高い。


『日本の首都が長野になる日がくるかもね』

「冗談はよしてくれよ……」

『いや? あたしは冗談で言っていないよ?』

「…………」


 無一郎むいちろうにも、冗談に聞こえなかった。


「……どうすればいい? 彼を制御するとか?」

『無理』

「だよなぁ……」


 界人かいとと公安とでは、実力差が離れすぎてる。

 彼が本気を出せば、公安なんて瞬殺だ。

『今は下手に手を出さない方が良い。せっかく、長野神のおかげで、悪い練能力者れんのうりょくしゃたちが活動自粛、廃業してるんだからね』

「でも……じゃあこの報道はどうすんだよ?」

『まあ……ほっとくしかないね』


 あがたをとめようにも、彼女にもまた凄い能力がある。

 下手に手を出せばカウンターを喰らう。

 かといって、飯山いいやま界人かいとを制御することは不可能。


『我々はただ傍観するしかないのさ。神がどうか暴走しませんようにって、祈りながら』

「……何に祈れば良いんだよ?」


 神が地上にいるのならば。

 見晴者レイカーは開き直ったようにいう。


『そりゃあもう、地上の神ご本人に、でしょ』


 電話が切れる。

 無一郎むいちろうは途方もない無力感に包まれていた。


「界人君……君ほんとうにすごすぎるよ……だから……お願いだから……おとなしくしててくれ……」


 おとなしくも何も、界人自身、騒動を望んでいない。

 彼が無意識に力を使い、彼の自覚していない外で、大事件が起きてるだけなのだ。


「はぁ……ごめん零美れいみ、息子達、当分家に帰れそうにないや」


 無一郎むいちろうはスマホのアルバムを開いて、自分の家族の写真を見ながら、そうつぶやくのだった。

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★茨木野の新連載です★



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『【連載版】追放聖女はキャンピングカーで気ままに異世界を旅する』

― 新着の感想 ―
[一言] 界人君の何気ない言霊が魔法に成り世の中を震撼させてしまうのでしょう。
[一言] やりすぎたらガチで神罰落ちそう!((((;゜Д゜))))
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